掲載日:2017年02月16日 メンテナンス
※この記事は『モトメンテナンス vol.130』に掲載された内容を再編集したものです
ドライバーやメガネレンチやスパナ、これに加えてソケット工具があれば、ほぼすべてのボルトやナットを回せるが、作業効率に注目するなら、奥深い位置のボルトにも届く長い軸と、きつく締まったナットを強いトルクで回せるハンドルを持つT型レンチも持っておきたい。
スパナやメガネレンチのように掛け替えることなく軸を中心に連続的に回せるT型レンチは、いくつものボルトナットを立て続けに回す、分解組み立て作業時などで真価を発揮する。ハンドルの幅が邪魔になってコンパクトな工具箱に収まりづらい泣き所もあるが、使用頻度の高いサイズを試しに買って、使い勝手の良さを実感してみよう。
水分や砂利の浸入で回転部分にダメージを受けたベアリングは、スムーズなタイヤの回転を阻害し、指で回せばゴロゴロとした感触が伝わるばかりでなく、最悪の場合はホイールロックによる大きなトラブルを引き起こすので早期の交換が必要。ホイールハブからベアリングを取り外すリムーバーは、門型のフレームをホイールに立てて、アダプターで引き抜くタイプがあるが、この製品はベアリングの内輪にセットしたアダプターに、先端がくさびのように尖った専用のテーパー棒をホイールの反対側から叩き込んで密着させて使用するのが特徴だ。デザインによっては門型フレームが立てづらい場合もあるが、これならどんなホイールベアリングも叩き抜くことができる。
アダプターのサイズ=ベアリング内径対応サイズはφ10 、12 、15 、17 、19 、20 、25mmの7種類。門型フレームが立てづらいスイングアームのベアリングでも使い勝手は良好だ。
挿入したアダプターがベアリングに食い込む仕組みは上の写真の通り。叩き棒の先端はテーパー形状で、叩くほどに食いつきが強くなる。こうした構造なので、クランクケースなどの止まり穴のベアリングには使えない。
必要に応じて先端部分を付け替えるビット工具愛用者は多い。このビットは汎用性の高さが利点だが、バラバラで購入すると必要な時に限って見つからずイライラの原因にもなる。デイトナのビットセットはバイク用品メーカーらしく、メンテやパーツ取り付けで多用するアイテムが漏れなく組み込まれており、ガレージ用工具としてだけでなく、車載工具として積んでおいても重宝する。
プラス、マイナス、ヘックス(ミリ、インチ)、トルクス、いじり止めトルクスビットを合計30個セット。最近はトルクスビスを使う場面が多いから、このセットが重宝する。
狭い場所でも使いやすいラチェットハンドルは全長100mmで、奥深い場所のビスを回す際は全長40mmのエクステンションを装着する。先端にロック機構があるので、ビットが落ちて慌てることもない。
さまざまな種類があるネジの中で最もポピュラーなプラスビス。バイクでは#1、2、3の3サイズで大半がまかなわれており、ドライバーが3本あれば大抵のビスが緩められる。だがプラスビスにはネジ溝形状に由来するカムアウトという困った現象があり、ドライバーで回す際にはビスにしっかり押し付ける動作が重要となる。長い軸の根元にT型ハンドルが付くことで、ビスに押し付ける力をしっかり伝達できるこのドライバーは、ガッチリ締まって緩まないビスに最適。軸の根元をハンマーで叩けば、固着したビスも緩みやすくなる。通常のドライバーとショックドライバーの間で使える製品だ。
押し付ける力が必要=固着あるいは締め付けトルクが大きいことが多いため、ネジ径が細い#1用の設定はなく#2と3サイズが用意される。見た目は至ってシンプルだが、連続作業で強みを発揮する。
一般的なドライバーにも握りやすく押し付けやすいグリップデザインを採用した製品はあるが、T型ハンドルに体重を掛けた方がより強い力で押し付けが可能だ。一旦緩めば、ハンドル端部を指で弾いてスピーディに回せるのもT型デザインの特徴。
差し込み角1/4インチのラチェットを中心に構成され、持ち運びに便利な樹脂ケースに収まるソケット工具セットで目を引かれるのは、4~14mmのソケットデザイン。6ポイントでも12ポイントでもない、12本の筋が立ったスプライン形状は一般的な6角ボルトや一部の外国車で使われる12角、ヘクスローブボルトや四角ボルトにも使えて、さらにボルトの角部と接触しないためナメたボルトも回すことができる。形状は独特だがボルトへのフィット感は良く、面接触でトルクをしっかり伝達できる。使用頻度の高いサイズをセットしたビットも有効だ。
ソケットの脱落を防止するプッシュリリース式ラチェットハンドルのギアは72歯で、スペース的に余裕のない場所でもハンドルを振ることができる。12種類のビットは専用のビットホルダー(ケースの左上)を介して使用する。
スプラインソケットは4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10 、11 、12 、13 、14mmの13サイズで、バイクメンテで多用するのは8、10 、12 、14mmが中心だ。6角ボルトに本当に合うの?と不安になる形状だが、これが見事に機能する。
差し込み角1/4インチのおかげでソケット外径がスリムなのが特徴で、周囲が立て込んだ狭い場所のボルトにも容易にアクセスできる。
エクステンションバーは全長50mmで、ビットと併用すればドライバーとしての使い勝手も向上する。
大きなトルクで回すことができ、スパナやメガネレンチが使いづらい奥深い場所にセットされたボルトやナットにも届きやすいのがT型レンチの特徴で、ベテランメカニックの中にはラチェット工具よりT型の方が使いやすいという意見もある。8~19mmまで6種類が用意されたレンチのソケットは全サイズ6ポイントで、8mmや10mmなどの小さなサイズはソケット外径もスリムなので狭い場所でも使い勝手が良い。軸の長さとハンドル幅はソケットサイズにかかわらず同じ寸法で、ラバーコーティングされたハンドルは握り心地も良く回しやすい。
使い勝手の良さに加えて価格がリーズナブルなのも大きな魅力で、T型ハンドル未体験のサンメカにもお薦めだ。ソケットの根元にはスパナやモンキーを掛けられる六角部があるが、幅の広いハンドルがあるのであまり出番はないかも知れない。
ソケット部はスリムな仕上がりで、スタッドナットにも対応できるディープ形状だ。
ハンドルを両手で握って回せば、スパナやメガネレンチを超えるトルクを加えられる。
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