ボルトナットを回す以外にも、便利な工具はたくさんある【モトメンテショッピング】

掲載日:2016年12月16日 メンテナンス    

※この記事は『モトメンテナンス vol.129』に掲載された内容を再編集したものです

パソコンやスマートフォンでネットショッピングを楽しんでいるサンメカは少なくない。
だが膨大なショッピングサイトを巡る中で、取捨選択に疲れちゃう、という意見もある。
このコーナーではいつでもお得にすぐ買える! をモットーに
本誌ならではの「バイクいじり」に特化した工具を厳選して紹介しよう。

ボルトナットを回す以外にも、
便利な工具はたくさんある

サンメカが実践するメンテ内容のほとんどは、一般的な工具セットに含まれるハンドツールで作業できる。エンジンオーバーホールや足周りの整備を行う際には、それぞれに応じた専用工具を追加することでよりディープな作業が楽しめるようになる。その上で、汎用でも専用でもない「その他」に属する工具にも注目したい。

アクセサリーを追加する際に、ボルトナットよりスマートなブラインドリベッターは、割れたカウルやパーツの補強にも有効だ。

またフロントフォークのダストシールリムーバーも、マイナスドライバーや幅広のスクレーパーでも代用できるが、先端の円弧形状など専用品として開発された使いやすさが光る。

興味と視野を広げて、メンテ環境を充実させてくれる工具を発見しよう。

unit ダストシールリムーバー

アウターチューブを傷つけず
ダストシールを外せる

インナーチューブに付着した泥やホコリをせき止めてオイルシールを保護するのがダストシールの重要な役割である。インナーチューブへの密着力や締め付けはオイルシールほど強くないので、屋外保管車の中にはダストシールから染み込んだ雨水のせいでオイルシールのリテーナーリングが真っ赤に錆びたものもある。ダストシールはアウターチューブに圧入してあるだけなので、マイナスドライバーで起こすこともできるが、シール形状に合わせた円弧形状で先端が薄く成形された専用工具を活用すれば、アウターチューブに余計な傷を付けることなくダストシールを外すことができる。

本体はスチール製で、幅35mmほどの先端部分はダストシールの下に入れやすいように円弧形状でさらに薄く成型されている。正立、倒立を問わず、圧入されたダストシールに使える。全長は168mm。

アウターチューブとダストシールの隙間に先端を滑り込ませたら、一カ所で大きく起こそうとせず、数カ所を少しずつ持ち上げると無理なく外すことができる。

unit ステアリングステムレンチ 3/8DR

トルクレンチがセットできる
四角穴つき

ステアリングステムナットには外周にいくつかの切り欠きがあり、フックレンチはこれを回すための工具だ。組み立て時の締め付けトルクがハンドリングに大きく影響するのがこの部分で、締め付けが弱ければ加減速時にステムがガタつき、逆に締めすぎるとステアリングがスムーズに切れずにコーナリングで違和感が出る。フロントタイヤを浮かせて直進状態からハンドルを軽く切り、自然に切れ込む程度の締め具合が良いとも言われるが、このフィーリングはなかなか掴みづらい。規定トルクや角度など、機種によって締め付け具合の指示はまちまちだが、いずれにせよ切り欠きをマイナスドライバーやポンチで叩いたりせず、フックレンチで回すことが重要だ。

全長は80mmで、フック部分の板厚は6mm。ステムナットが薄い旧車で使う際は、サンダーなどで厚みを調整すると使いやすくなることも。3/8インチのソケット工具に付けられる。

締め付け具合がトルクで規定されている機種の場合、レンチのセット値と実トルクの差違をなくすため、トルクレンチの軸部とフックレンチには90°の角度を付ける。

KIJIMA ハンドリベッター

ボルトナットを使わず
パーツ同士を固定

筒状の部品にステーを付けるなど、裏側に手が入らない場所でも使えるのがハンドリベッター(ブラインドリベッター)である。取り外し可能なボルトナットによる締結に対して、一度施工すると外れない(ドリルなどでフランジを削り取れば外せる)が、片側から施工できるため航空機の組み立てにも活用されている。接合部の厚みに応じてリベットを使い分けるが、あらかじめリベットのサイズで異なるシャフト径に適したアタッチメントをセットして作業する。

本体先端部分でリベットのシャフトを引きこむが、この際にシャフト径に適したアタッチメントを装着する。シャフト径はリベット本体の胴体部分の太さによって決まっており、使用頻度の高い4サイズに対応したアタッチメントが付属する。同じ太さでもかしめる板厚によって全長が異なるリベットがある。

ハンマーと当て金でかしめる通常のリベットの中心に、シャフトが貫通しているのがブラインドリベットの構造。このシャフトをフランジ側に大きな力で引くことで、先端部分が変形して部品同士を固定できる。

ENGINEER プチラチェ

指先で軽快な
ラチェット操作ができる

天地方向に余裕のない場所のビスを緩める際に役立つのが、全長の短いスタビードライバー。そのコンパクトさを極限まで追求し、素早い作業を可能にするラチェット機構を組み込んだのがこの製品。指の掛かりが良いアルミ製ボディの直径は38mmで厚みは15mm。付属ビットをセットした全長も38mmとコンパクトで狭い空間での作業性はピカイチ。回転方向の切り替えはラチェット本体の表裏で使い分ける。1/4インチのビットが使えるため汎用性が高いのもポイント。

付属ビットは+2番で全長は25mm。作業中の脱落トラブル防止のため、ラチェットのソケット部分にはマグネットを内蔵している。ラチェット空転トルクは軽く、ネジが緩んでも連続してラチェットを使える。

印刷面にビットを差し込むと締め方向、写真のように印刷のない面に差し込むと緩め方向で使える。手のひらサイズというより、指先で直接ビス摘まむように作業できる。

SIGNET Xビームギアレンチ

グリップ途中の90度ひねりで
手のひらで力を加えやすいレンチ

通常のメガネレンチより作業スピードが速く、ソケット工具より使い勝手が良い場合もあるのがギアレンチだ。この製品はヘッド部分の厚みが少なく、ラチェット機構を組み込みながら外径は小さく、回転方向の切り替えは本体の裏表で変更するというシンプルな構造。レンチを押さえる手のひらへの荷重を分散するために、軸部分を中央で90°ひねっているのが外観上の特徴で、同社の一般的なレンチより全長が長いため狭い場所のボルトにも届きやすい。

メガネ部分に加えて、スパナ部分にも面接触を採用してボルトナットの六角部の頂点を保護する。10mmレンチの全長は180mmで、同社の通常のギアレンチより10%以上長い。

軸部分は滑らかに90°ツイストしており、平らな面は大きな力で回しても手の痛みが少なくて済む。とはいえ中間部分も特に握りづらいわけではなく、クリック感の軽いギアラチェットは本締めが可能だから、メンテの主力工具として使える。

KTC UDP-4 オートポンチ

相手素材の硬さに合わせて
ポンチの打撃力を調整可能

対象物からドリルの刃先が滑って逃げないよう、穴開け作業の前にはポンチを打って位置決めを行うのが金属加工の基本である。ハンマーが使えれば通常のセンターポンチで問題ないが、狭い場所で作業する際は片手で使えるオートポンチがあると便利。内蔵するスプリングとハンマーの作用で、本体をある程度押し付けると自動的に強力な打撃力が発生するのが動作原理。KTCのポンチは握りやすく手が滑りづらいよう本体が樹脂コーティングされ、グリップ後部を回せばポンチを打つ力を調節できる高機能モデル。グーッと押すだけでバチンッ!!とポンチが打てる便利さは、慣れると止められなくなる。

全長は160mmで最も太いグリップエンド部分の直径はφ34mm。押し付けるだけでポンチが打てるので片手で使える。汎用工具セットにはないが、持っておきたいアイテムだ。

薄い素材に強い力でポンチを打つと歪んでしまうが、強弱が調整できるから相手にダメージを与えるリスクを減らせる。先端は耐摩耗性に優れたSK材を使用する上に、補修用に交換用ポンチが用意されているから安心だ。

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