掲載日:2009年12月01日 部位別メンテナンス › ブレーキ&ホイール
キャップのビスには要注意
ピストン抜き取りまで油断は禁物
キャリパーと常にセットとなるマスターシリンダーは、どんなモデルでも大きな差は無い。特に80年代モデルともなれば、もう現行車と同じといっても良いほどだ。作業手順はキャリパーOHと同様で、ほとんどの場合は分解清掃とゴム製のカップシール交換で済む。ブレーキは重要保安部品なので、リペアパーツの供給も比較的良好なはず。堆積した汚れによってレバータッチが悪い場合、これらの作業で復活することは多い。今回の作業ではまずマスターシリンダーの分解を行う。作業自体は単純だが、細かい部品が多いのでじっくりと丁寧に行いたい。
作業手順を見てみよう!
マスターシリンダーOHに必要なパーツ。機種によっては、ピストンにピストンカップがセットされた状態で供給されるものもあるが、それぞれ個別で入手できる場合、本来ならカップをピストンに挿入するジグ(カップインストーラ)が必要。キャップ下にセットされる薄いゴム製のダイヤフラムも劣化していることが多いから、作業時には同時に交換しておこう。これらのパーツは一式で2000~2500円程度。 |
| カウルなどがマスターシリンダーの上にかぶさっている場合、作業性向上ために外して本体を露出させる。キャップを外した時にフルードがこぼれないよう、ハンドルは左に切っておく。 |
| がっちり堆積していたフルードのカスをこすり落としたら、キャップを固定しているビスの汚れを掻き出し、サイズの合ったプラスドライバーで緩める。このビスの頭をなめると修復は面倒だ。 |
リザーブタンクにフルード残量が少ない状態でマスターキャップを外した際、ダイヤフラムの蛇腹がこのように伸びていれば問題ない。ただし元に戻らないほど伸びきっていたら、交換が必要だ。 |
| 余計な部分に飛散させないために、リザーブタンク内に残ったフルードはウエスやティッシュペーパーで吸い取ると良い。タンクの底にはドロリとした汚れが溜まっていることが多い。 |
| ブレーキホースを外す際も、バンジョー部の周辺をウエスでカバーした状態でバンジョーボルトを緩める。不用意にブレーキレバーを握ると、残ったフルードが飛び出すので気を付けよう。 |
単品にしたマスターシリンダーをじっくり観察。本体とキャップの合わせ面にも汚れが堆積しており、相当量がここから浸出したと想像できる。ダイヤフラムもこの形状を記憶したままだ。 |
| ドライバーでリザーブタンクの底をこすると、大量の堆積物が取れた。フルードが残っていて軟らかいのが救いだが、フルードが空になって汚れがカチカチだと、洗浄に苦労することもある。 |
| ブレーキフルードは水溶性なので、ピストンを抜いたマスターシリンダーは水洗いする。お湯を使えば頑固な汚れも落ちやすい。タンク底部の小さな穴(ポート)が貫通していることを確認する。 |
マスターシリンダーとピストンの間にゴミや水分が溜まるのを防ぐダストブーツを引き抜く。グッと押し込んであるだけなので、再使用しないならピックツールを突き刺して引き上げて良い。 |
| スナップリングの合い口の位置を把握したら、スナップリングプライヤーでつまみ上げる。プライヤーがリング合い口部分の穴に入りづらい場合は、ピストンを少し押した状態でトライする。 |
| スナップリングが外れたら、ピストンは奥のスプリングによって押し出される。ここでピストンの動きが渋いようだと、かなり腐蝕が進んでいると考えられる。このVTはそこまでひどくなかった。 |
内外の洗浄が済んだら、オイルストーンでキャップとの合わせ面を整えておく。ドライバーで引っ掻くと傷が付いてフルード漏れの原因になるので、面で当たるオイルストーンを使うのがベター。 |
| シリンダー内部に指で触れて分かるほどの腐蝕があったり、あるいはピストンカップが入手できない場合、他機種用の純正マスターシリンダーやリザーバータンク別体などの社外パーツを流用する。その際、純正と同じタッチを得るためにはピストン径を合わせるのが基本だ。そしてその径は、マスターシリンダー本体外側に記されていることが多い。例えばこの場合は“1/2”という数=シリンダー内径が1/2インチであることを示している。 |
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