掲載日:2009年04月03日 部位別メンテナンス › ブレーキ&ホイール
シンプルな機構だけに
メンテナンスの効果テキメン
スポーツバイクのブレーキは、前後とも油圧式ディスクブレーキというのが現在の常識となっているが、ひと昔、いやふた昔も以前の軽量バイクは、前後とも、もしくはリアのみドラムブレーキを装着している、というのが一般的だ。バイクの性能が向上するにつれて、リアブレーキには制動力よりもコントロール性が求められるようになってきたのだ。そしていまでもドラムブレーキを採用するのは、軽量クラスのバイクか雰囲気重視のノスタルジックなバイクくらいで、性能面のほかにスタイル性も求められるようになってきた。とはいえ、今も昔も走るバイクを減速・停止させるための重要保安部品であることに変わりはない。メンテナンスはしっかりと行いたいもの。ブレーキシュー交換の際は、ホイールを外すことになるので、ただシューを交換するだけではなく、周辺の可動部分もチェックしておこう。ドラムブレーキのメンテナンスに特殊な工具は一切不要で、事前に確認しておきたいのは、ホイールを外すための大きなサイズのメガネレンチくらいだ。
機械式ドラムブレーキの場合「シューの磨耗=ブレーキペダルの遊びが増える」ということであり、ブレーキロッドエンドのアジャストナットを調整してブレーキアームを引き、シューとドラムのクリアランスを一定にする必要がある。それを繰り返すうちに、やがてインジケータが使用限界を示し、要交換となる。
作業手順を見てみよう!
分解作業前に、いったいどれだけ磨耗しているのかを確認しておこう。ブレーキペダルの適正な遊びを確認してからペダルを踏み込み、インジケータが指し示す位置を見る。 | アクスルシャフトを抜くのはブレーキロッドのアジャストナットを取り外し、チェーン調整ナットを完全に緩めてから。硬いのでプラスチックハンマーで叩きながら押し出す。 | リアフェンダーなどパーツの干渉を避けながらリアホイールを後方へ引き抜く。ブレーキパネルとドリブンスプロケットにカラーが組み込まれていたら、形状と方向を覚えておく。 |
ひとまずリアホイールは置き、操作系であるブレーキペダルもチェック。ピボット部の状態を見て洗浄・グリスアップし、組み付ける。これだけでも操作感に違いが現れる。 | ブレーキシューとブレーキパネルをホイールハブから取り外す。中に溜まっているシューの削りかすは吸い込むと大変なので、ブレーキクリーナーを吹き付けてウェスで拭き取る。 | ついでにホイールベアリングの回転もチェックしておく。グリス切れやサビ、グリスの固着など、回転が渋くなっている場合は思い切って交換する。 |
シューの当たっている部分とそうでない部分に段差があったら、400番程度のサンドペーパーで平らに均しておく。サビやシューのカスが堆積していることもある。 | ブレーキパネルから古いシューを取り外す。シューはお互いに強いスプリングで引っ張られているので、弾かれないよう両側をしっかり掴み、力を抜かずゆっくり起こす。 | ブレーキカムにセットされたブレーキアーム、インジケータプレート、フェルトを外す。カムとの合わせ部分にはスプラインが刻まれ、ポンチマークで合わせ位置が記してある。 |
ブレーキパネルを洗浄する。ざっくり洗浄するには中性洗剤と水でゴシゴシこすると早い。古いグリスが固着している場合はパーツクリーナーを併用する。 | カムの根元にオイルを染み込ませた新品のフェルトをセットし、新品のシューはあらかじめスプリングを掛け、片方だけセットしてからもう片方をゆっくり倒すようにする。 | 新品のシューをセットしたブレーキパネルをドラムへ挿入する。円周方向に回してスムーズに動くかどうか、シューとドラムの当たりが偏っていないことを確認する。 |
スイングアームの突起とブレーキパネルの溝の位置を合わせてホイールをセットする。同時にカラーも挟み込みつつ、グリスを塗布したアクスルシャフトを挿入する。 | アクスルシャフトは仮留めのままチェーンの遊びを調整する。サスペンションを縮め、チェーンがもっとも張られる状態で調整すれば、走行中に張り過ぎたということがない。 | ブレーキアームのコマにブレーキロッドを通し、アジャストナットでペダルの遊びを調整する。ブレーキペダルのピボットにグリスアップしておけば動きもスムーズ。 |
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!