掲載日:2008年06月11日 部位別メンテナンス › 電装系
失敗を恐れずに
「調整による違い」を体感しよう。
絶版車メンテナンスにおける「大きなツボ」と言えるのが電気系。パーツが取り付けられているだけで絶好調な現代バイクとはちょっと違い「調整することで絶好調になる」のが絶版車である。ここでは、4気筒モデルのポイント調整を解説しよう。
ポイント調整がビシッと行われていて、ポイント接点のコンディションが良く、しかもコンデンサーがパンクしていなければ、エンジンの始動性かつ吹けは抜群に良いはず(もちろんその他の部分のコンディションが良い場合ですが)。メンテナンスフリーの無接点フルトランジスタ点火車の場合は、ここに紹介するような調整作業は無しでもエンジンは常に絶好調。ところが、肝心のトランジスタユニットにトラブルが発生すると、とたんにウンともスンとも‥‥。
現代の高性能バイクは、本当の意味でメンテナンスフリーだが、70年代の過渡期に登場したフルトラ点火やCDI点火車のなかには、たびたびトラブルに見舞われる例もあった。そんな時代を経験したベテランライダーの中には「だからポイントが一番」という声も。そのポイント調整における重要なポイントは、
【1】接点のコンディションが良いこと。
【2】スパークタイミングが的確に調整されていること。
【3】調整した状態を持続できること。
である。【1】【2】に関しては、写真解説でも記しているとおりだが、【3】に関しては、スパークアドバンサーのカム山がカギを握っている。ポイントは、ヒール部分がカム山に乗り上げる=常に擦れ合っているが、ここには潤滑が必要不可欠。摩擦でヒールが減ってしまい、ポイントギャップが変わってしまうことでコンディションが維持できないケースもあるのだ。ポイントカムの近くにはフェルトがセットされているが、そのフェルトにグリスを染み込ませてカム山の潤滑を行っているのだ。したがってポイント点火車の場合は、定期的なグリスアップも重要な項目である。
コンタクトブレーカー=通称ポイントを作動させることで、点火タイミングを司っている。このポイント接点のコンディションや作動タイミングが好調不調のカギを握っている。 | 4気筒モデルの場合は、ポイントの断続を司るカム山に進角装置が組み込まれている。この進角装置=スパークアドバンサーの作動性も、エンジン好調不調を左右する。 |
作業手順を見てみよう!
![]() ポイント接点に付着した汚れ、特に、油汚れはミスファイアの原因かつポイント接点コンディションに悪影響を及ぼす。紙で挟んで汚れを取り除くのが始めの1歩だ。 | ![]() ポイント接点のザラつきや片当たりや穴明きには要注意。この程度ならば問題ないが、せっかく点検しているので最善を目指そう。片当たりはアームを曲げて修正する。 | ![]() 接点のコンディションが悪い場合は、表向きに折りたたんだサンドペーパーを挟み、表面の荒れを直すと良い。前後に軽く動かせば、表面はキレイになるはずだ。 |
![]() 接点のコンディションを確認したら(ペーパー処理したらパーツ洗浄液で洗い流す)、まずはメインベースに取り付けられているポイントのギャップをカム山に乗り上げ切ったときに調整する。隙間は0.4mm。 | ![]() タイミング確認ランプを用意して、ポイントのリード線に割り込ませるかポイントにワニグチクリップで直接挟み、Fマークでポイントが開くように調整する。 | ![]() クランクシャフトを回し、進角装置に記されているFマークがクランクケース側合わせマークを通過する瞬間に、ポイントが開く=ランプが作動するようにベースを調整する。 |
![]() メインベース側(左側ポイント=1.4シリンダ用)の調整が完了したら、右側のポイント=2.3番シリンダー用を同じように調整する。右側ポイントはサブベースにマウントされる。 | ![]() ポイントギャップを調整したら(カム山に乗り上げ切ったときに調整する)、左側と同様に2.3番シリンダーのタイミングを調整する。この際はサブベースを作動させて調整する。 | ![]() アイドリングが安定しない原因のひとつに、コンデンサーのパンクがある。パンクすると、ポイント接点が異様にただれるので、そんな症状からも良否を判定できる。 |
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