キャブレターの掃除

掲載日:2008年05月30日 部位別メンテナンスエンジン&キャブ    

メンテナンス講座

メンテナンス講座
第1回 キャブレターのそうじ

絶版車オーナーの口癖? のひとつに「キャブの調子が今イチで‥」というのがある。長年乗り続けてきたバイクのキャブレターは、それなりにパーツが磨耗していて、コンディションを崩している例も少なくない。そんな「キャブメンテ始めの一歩」は、お掃除である。

 

詳細写真キャブレターの汚れ落としは想像以上に大変である。徹底的な洗浄を行いたいのなら、パーツを全バラにして洗浄液(アルカリ系クリーナーが強力)に漬け込む方法が手っ取り早く確実だ。しかし、軽度な汚れならば、パーツを全バラにしなくても洗浄は可能である。特に、4連キャブともなると、バラシ以上に復元が大変だ。復元後の調整作業も、メンテナンスビギナーにとっては、かなりの大仕事となる。キャブレターの汚れ具合やコンディションにもよるが、まずは全バラにしないで、取り外せるパーツのみを取り外し、洗浄&パーツをチェックする作業から始めると良いだろう。ここでは、キャブレター掃除の基本要素をレクチャーしよう。

 

まずは、何が調子悪くて分解したのか? その理由を明確にすることだ。不具合の状況によってメンテナンス内容も異なるからだ。例えば、吹けは良いがスロットルの操作性が悪い(バタフライの動きが重い)場合は、スロットル系のメンテナンスが必要になる。逆に、操作性は申し分ないが、始動性が悪いとか、アイドリングが安定しない場合は、スロー系を中心にしたメンテナンスが必要になる。

 

ここでは、スロー系やメイン系の通路洗浄およびフロートバルブ周辺のチェックを実践しているが、この作業はキャブ掃除の基本的作業内容である。パーツを全バラにしなくても、この程度の分解で、調子を取り戻す例は少なくない。まずはキャブがどのような構造であるかに注目し、要所を洗浄することから始めよう。

作業手順を見てみよう!

詳細写真

パイロットスクリュー=スロー系の通路が汚れていることで、アイドリングが不調になる。スクリューをすべて取り外し、内部通路にスプレーを吹き付けて洗浄する。

 

詳細写真

フロートチャンバーを取り外したときに、プーンと臭ったときには要注意。ガソリンの腐った臭い=間違いなく内部通路は汚れていると考えてよいだろう。

 

詳細写真

フロートピンを抜き取り、フロートバルブ(ニードルバルブ)を取り外す。汚れが激しいときは、ニードルホルダー側も取り外し、内部通路を洗浄しよう。

 

詳細写真

フロートバルブの当たり面のコンディションを確認しよう。段差や磨耗が発生していないか要チェック。段差が大きくなる=オーバーフローの直接的な原因である。

 

詳細写真

フロートバルブのニードルホルダーも取り外してみた。ホルダーの通路側にはネット状のストレーナーがセットされていた。このキャブレターはGSX-1100用のミクニ製だ。

 

詳細写真

内部通路に洗浄スプレー(キャブレター用を利用)を吹き付け、しばらく経過後にパーツクリーナーで洗い流す。フロートを組み付け、バルブスプリングに弾力があるか確認する。

 

詳細写真

サービスマニュアルのデータを参考に、フロートの油面高さを確認する。油面高さを調整する際には、フロート付け根のバルブを押し上げるプレート部を曲げて調整する。

 

詳細写真

メインジェットを取り外し、キャブ側の内部通路を洗浄しつつ、メインジェットの汚れも取り除く。一度に全気筒をバラす場合は、パーツを区別して取り外すのが良い。

 

詳細写真

スロージェットも取り外す。奥まった箇所に締め付けられたスロージェットの取り外し時には、キャブメンテナンス専用ドライバーが使いやすい。先端のタッチが良いのだ。

 

詳細写真

左の4本がスロージェットで右の4個がメインジェット。写真ではわからないが、これらのパーツはかなり臭い。チャンバー内に残っていたガソリンが、腐っていたのだ。

 

詳細写真

スロージェットの通路を荷札のハリガネで突っついてみたが、通路は固着したガソリンで、完全に閉じていた。荷札のハリガネはキャブメンテナンスに便利。使えます。

 

詳細写真

キャブレター専用のクリーナースプレーで、ジェット類を漬けおき洗浄する。このような小物パーツの洗浄時には、ペットボトルの底部分をカットして、容器にするのがよい。

 

詳細写真

キャブレタークリーナーには、エンジンを始動しながら吹き付けるタイプと、バラしたパーツの洗浄に使うタイプがある。写真は、双方に仕える便利なタイプ。コーザイ製。

 

詳細写真

クリーナー液に1時間ほど浸しておいたところ、通路が詰まっていたスロージェットは汚れが溶けて開通した。さらに荷札のハリガネで内部にこびり付いた汚れを落とした。

 

詳細写真

ジェット類の洗浄が済んだら、通路が開通しているのを確認しつつ、パーツ洗浄スプレーでシューッと洗い流す。強烈な汚れの場合は、各種ジェット類を新品部品に交換する。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索