セルモーター分解そうじ編

掲載日:2008年11月04日 部位別メンテナンス電装系    

メンテナンス講座

精密な組み立てが要求されるため
落ち着いて作業を実施したい

セルモーターはメンテナンスフリーだと思いがちだが、決してそうではなく、必要に応じたメンテナンスが不可欠である。突然トルクが落ちたり、セルボタンを押してもウンともスンともいわなくなってしまったりすることがあるのだ。モーター本体ではなく、ソレノイドスイッチやセルボタンスイッチに不具合があるケースもあるが、セルボタンを押し、ソレノイドが切り換わる「カチッ」という音がするにも関わらず、クランキングしないトラブルの原因は、おおよそセルモーター本体だ。ちなみに、ソレノイドが「カチ、カチ、カチチッ」と断続的に切り換わるような場合は、バッテリーの電圧低下が主な原因というケースが多い。

 

このセルモーター内にも、一般のモーターと同様に給電ブラシが取り付けられている。そのブラシが磨り減ってしまうことで、モーターに電気が流れずに、回転不良を起こしてしまうのだ。一般的に、エンジンコンディションに問題が無いマシンであれば、5万km以上はノントラブルで回り続ける。しかし、エンジン不調でセルを空回しすることが多かったマシンの場合は、ブラシの減りが早く、2万kmも走らないのにブラシが終わってしまったケースもある。

 

分解の際には落ち着いて作業を実施できる、机やパーツトレイの上で作業を行おう。精密な組み立てが要求されるので、いい加減な作業では、逆にモーターに致命的なダメージを与えてしまうこともあるのだ。

作業手順を見てみよう!

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国産車のセルモーター本体は、2本のボルトでアッパー&ロア側を締め付けている例が多い。今回分解するのはデンソー社製セルモーターだ。スズキやカワサキにデンソー製が多く見られる。

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エンドカバーを取り外す際には、モーターを立てた状態で慎重にカバーを取り外す。いい加減に分割すると、内部パーツが飛び出してくることがあるからだ。作業は慎重に。

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軸心(アーマチュア)にはスラストシムが入っているので要注意。復元の際にこのシムを入れ忘れると、モーターが焼きつく原因になる。パーツの順列も忘れないように。

 

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ブラスベースを取り外したら、アーマチュアを抜き取る。水やゴミが混入してショートしたセルモーターの場合は、アーマチュア交換もしくはアッセンブリー交換になる。

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このセルモーターは2ブラシタイプ。機種によっては4ブラシタイプもある(デンソー製でもミツバ電子製でも2タイプある)。ブラシの数が増えると分解組み立て作業は少々面倒。

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使い込んだセルモーターの場合、内部は減って飛び散ったブラシの粉でまみれているケースが多い。パーツクリーナーで洗浄、もしくはエアーガンで汚れを徹底的に吹き飛ばそう。

 

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サービスマニュアルを参考に、アーマチュアがパンクしていないか確認する。水分や異物でショートしていた場合は、導通=パンクしていることが多い。そうなると出費が大きい。

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エンドカバーの内側には特にスラッジが多いので、しっかり清掃する。復元時にはOリングやシールを新品に交換しよう。突発修理時は液体パッキンを併用する。

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組み立ての際には、必ず元通りに復元する。タイプによってはカバーとボディーに合わせマークがあることも。自信が無ければ、メンテナンスはショップに任せること。

 

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元通りに組み立てたら、バッテリー充電器を利用し、モーターボディにマイナスをクランプ、ターミナルにプラス端子をクランプし、スイッチを入れて回転するか確認する。

 

 

 

 

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