掲載日:2017年01月13日 バイク用品インプレッション
撮影・文/野岸 泰之
helstons(ヘルストン)はもともとレザージャケットブランドとして創業したフランスのバイクアパレルブランド。シンプルでオーソドックスなスタイルの中に、ワイルドな雰囲気とデザイン性の高さを兼ね備えたアイテムを数多くリリースしている。そのhelstonsが新たに世に送り出したレザージャケットが、今回紹介するKURT (カート)だ。
このジャケットは、1950~70年代にかけてアメリカで活躍し、2度のAMAグランドナショナルチャンピオンに輝いたほか、多くのレースで華々しい勝利を飾った伝説のプロライダー、ディック・マン氏のオマージュモデル。右胸に羽ばたくDの文字は、当時彼が駆っていたBSAの羽根つきBマークからインスピレーションを得たデザインで、両腕にあしらわれた3本のラインも、当時レースで着用していたレーシングスーツにならって取り入れられたもの。背中にも「D MANN」のネームが掲げられている。表面には汚し加工を施してビンテージ感を高め、武骨でクールなイメージの中にクラシックアメリカンテイストをうまく散りばめているところは、さすがフレンチブランドならではの仕上げといえる。
シェルには0.9~1.1mmの牛革を使用したこのジャケット、手に持つとずっしりとした存在感がある。実際に袖を通してみると、革自体は見た目の印象と違って意外としなやか。しかし、肩、肘、脊椎部分に内蔵されたプロテクターのためか、着用感は非常にカッチリとしたもので、「今からバイクに乗るぞ」とライダーの身を引き締めてくれるような印象だ。これはもちろん、ライディング時の安心感にもつながるもので、着るだけでとても守られているような、レーシングスーツに通じるものがある。また、ヨーロッパでは標準的な装備である腕章タイプのリフレクターが付属しており、安全面に配慮している。
ユーティリティ面で目立つのが、ポケットの多さだ。フロントには左胸と両サイドに、そして内側にも3カ所のポケットが設けられ、すべてがファスナー付き。さらに着脱式のインナーにもきちんとしたファスナー付きの内ポケットが設けられているなど、細かい所も手を抜かず、職人気質の気配りが行き届いている。昨今はバイクウェアに見えないカジュアルテイストのジャケットも人気だが、バイク乗りとしての誇りを堂々と主張しながらもおしゃれなセンスを散りばめた、正統派のレザージャケットとして注目に値する一着といえるだろう。
このレザージャケットのキャラクターを特徴づけるのが、BSAのマークに着想を得た羽根つきのDのロゴ。ビンテージ感を演出する汚し加工がよく似合う。
肩、肘、そして脊椎部分には、ヨーロッパのCE規格をクリアしたプロテクターを標準装備。ポケットに内蔵されているので簡単に着脱できる。
ディック・マンが2度目のAMAグランドナショナルチャンピオンを獲得し、ライダーオブザイヤーに選ばれたのが1971年。その栄光が背中に刻まれている。
キルティング加工されたポリエステルの着脱式インナーを標準装備しているため、温度調節がしやすい。ファスナー付き内ポケットも装備。
袖口にはファスナーで開閉できるマチがつけられ、脱いだり着たりする際に便利。ボタンやファスナーのタブにはhelstonsのネームが入っている。
インナーの内ポケットには、腕章タイプのリフレクターが収納されている。夜間、両腕に巻くことで被視認性が向上し、安全に走行できる。
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