掲載日:2012年08月17日 バイク用品インプレッション
撮影・文/山下 剛
その利便性の高さから、ヨーロッパでは主流となりつつあるインナーバイザーヘルメットが、いよいよ国産メーカーから登場した。SHOEIがリリースした「J-Cruise」は、レバー操作でインナーバイザーをセットできるオープンフェイス(ジェットタイプ)ヘルメットだ。
強靭なガラス繊維を多層化した帽体は、高剛性を持つ。ヘルメットのアゴ紐部を持って左右に広げてみると、その剛性の高さがよくわかる。これはヘルメットを選ぶ際に確かめたいポイントのひとつだ。
アゴ紐は一般的なDリング方式ではなく、同社製「NEOTEC」でも採用されているマイクロラチェット式。素早い装着と細かな調整を可能としつつ、高い締結性で安全性を確保している。操作感は良好で、好みの位置に素早くセットできる。
注目のインナーバイザーはポリカーボネート製で、欧州や米国のサングラス規格をパスしたもので、逆光時に使用してみると暗くなりすぎないのに、眩しさだけをカットしてくれる。試しにサンバイザーを使用したままトンネルに入ってみたが、視界はきちんと確保され、安全性にも配慮された設計だ。
もうひとつ注目したい点が、フルフェイスでは一般的であるものの、オープンフェイスとしては初採用となるピンロックシールドだ。シールドを二重にすることで内側の曇りを防ぐもので、通気性の高いオープンフェイスでは不要と採用が見送られていた装備だ。今回はテストできなかったが、寒冷時の雨天走行などの際にクリアな視界を確保してくれるはずだ。
手に持ってみると後頭部あたりがやや重く感じるが、被ってしまうと重さを感じないバランスに仕上がっている。高速域でもフラフラすることもなく、首への負担が少ない。風切り音も静かなもので、インカム使用時にも最適なヘルメットと感じる。このあたりはSHOEI独自の風防実験室でのテストを繰り返した賜物だろう。
SHOEIならではの高性能・高機能をコンパクトな帽体にまとめたオープンフェイスは、街乗りからツーリングまで幅広いシチュエーションで快適に、そしてライダーを安全に守ってくれそうだ。
インナーバイザーは前頭部に格納されるが、一見しただけではそれとわからないほど構造部は薄く、帽体はスリム。内装は着脱式で装着感良好な「3DフルサポートインナーV」を採用。
ヘルメット左側面に設置される、インナーバイザーの開閉レバー。タッチは良好でグローブをはめた手でも操作しやすい。レバー左側の凸部は、風切り音を軽減するためのエッジライン。
バックル式のアゴ紐は、SHOEI独自のマイクロラチェット式を採用。ツメが細かく設定されており、微調整も簡単だ。ラチェット部とはいえステレンス製で、耐久性は高いといえる。
前頭部から入ったフレッシュエアは頭頂部から抜けていく構造。真夏の走行でも涼風をヘルメット内に採り入れる。ベンチレーションはスライド式で、グローブでも操作はしやすい。
「ピンロックシールド」(オプション)に対応するシールドが装備された。これはシールドを二重にすることで内側の曇りを防ぐ機構で、とくに寒冷時の雨天走行で威力を発揮する。
ポリカーボネート製で傷がつきにくく、なおかつクリアな視界を確保するシールドはSHOEIの大きな特徴。また、着脱しやすい構造なのもうれしい。シールドと帽体の密着性も向上している。
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