掲載日:2012年07月06日 バイク用品インプレッション
撮影・文/野岸 泰之
ベルスタッフは、1924年にイギリスで設立されたメーカーで、エジプト綿にオイルを染みこませた、完全防水でありながら通気性のある「Wax Cotton」を世界に先駆けて衣類に採用したことで知られる。1940年代後半には、多くのライダーやレーサーに支持されたジャケット「Trialmaster」が誕生。伝説の革命家チェ・ゲバラもラテンアメリカをバイクで横断した際に着用したという。そして1970年代、Trialmasterをもとに、素材を軽くて丈夫なオリジナルの「Belflex」ナイロンに変えて作り、大ヒットとなったのが「XL500」ジャケットだ。
今回紹介する「XL500 Replica Jacket Man」は、ライダーの定番となった伝説のジャケットを、オリジナルのTrialmasterのスタイルはそのままに、現代の技術で進化させたモデルである。
表地には防水性の高いPUコーティングナイロンを使用。これにウォッシャブル加工を加えることで、ヴィンテージテイストをうまく出している。裏地は肌ざわりのいいソフトナイロンとなっている。
見た目は落ち着いて重厚感があるが、実際に袖を通すと、その軽さとしなやかさに驚かされる。着用感はかなりゆったりしており、今回着用したMサイズでは、身長170cm、体重70kgのテスターにとっては少々大きく感じられた。胴回りや腕部などのシルエットにも余裕があり、冬場は中にフリース等を着込んでも窮屈な感じはしないはずだ。
レプリカ、と名付けられてはいるが、着脱可能なインナーやプロテクターを装備していることに加え、腕には開閉可能なベンチレーターを装備しているなど、単なる復刻モデルとは一線を画している。シンプルでシックなデザインは、マシンを降りて街中を歩いても違和感はなく、使い勝手はいい。ヴィンテージ感と現代的な快適さが絶妙にバランスしているこのジャケットは、まさに「進化したレプリカ」といえるもの。一度手に入れれば、飽きずに長く着られるモデルだ。これからもジェントルなライダーのよき相棒として、人気を保ち続けることだろう。
上腕部の内側、ちょうど二の腕にあたる部分に、ファスナーで開閉できるベンチレーターを装備している。脇の後ろ部分にはホールが設けられており、風が抜ける仕組みになっている。
両肩、両肘には着脱できるプロテクターを標準で装備。素材はペラペラではなく少し重量感のある、硬めのゴムのようなもの。ヨーロッパの安全基準であるCE規格を取得し、安全性は高い。
ファスナーで着脱できるキルティングのインナーを標準装備しているので、春、秋の温度調節には重宝する。首や裾部にもしっかりとした留め具がついており、着用に際しての安心感がある。
体の正面にあるメインファスナーには、大きなリング状のタブが付く。クラシカルな雰囲気を演出しながら、操作感も抜群だ。グローブをはめたままでも引き上げ、引き下げの操作がしやすい。
小さな紙袋に入れられ、ボタン類一式がスペアパーツとして付属している。ロゴマークの入ったボタンは、ヴィンテージテイストを醸し出す重要なパーツだけに、この配慮はうれしい。
ライダージャケットにとって、首から侵入する風をいかに防ぐかは重要なポイント。襟部分の前立てを二重にすることで、正面からの隙間風をシャットアウトする工夫がされている。
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