掲載日:2016年11月18日 トピックス
取材・文/一間堂 写真/井上 演 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
ヤマハ『トリシティ』は、前2輪、後1輪という個性的なレイアウトに、ヤマハ独自のLMWテクノロジーを落とし込んだ原付二種スクーターです。短期集中連載のその1とその2では、見た目のインパクトとは裏腹に、コンパクトで普段の足として街中も得意だということがわかりました。今回は、夜間走行での安全性をチェックしていきましょう。
コンパクトで維持費も安く、交通の流れにもしっかり乗れる原付二種スクーターは、通勤・通学の足としても優れたコミューターだと言える。高速道路には乗れないけれど、20~30kmくらいの距離なら何の不満もなく走れてしまう。トリシティもまさしく同じで、実際に通勤で使っているユーザーもいる。そこで気になるのは帰り道…そう、日が暮れたあとの夜間走行ではないだろうか。
夜間走行でポイントとなるのは2つ、「視認性」と「被視認性」だ。
「視認性」とは、ライダーがどれだけ対象物を見ることが出来るかということ。夜間は昼間に比べて周りが見えにくい。そこでヘッドライトの明かりがどれだけ周りを照らし、状況を把握しやすいのかということは重要だ。また、スピードメーターの見やすさも、大事な「視認性」と言える。
対して「被視認性」とは、周囲から自分のバイクがどれだけ認識されやすいか、ということ。テールランプやヘッドライトの明るさ・形状など、クルマや歩行者から自分の存在をしっかり認識されているかは、夜間走行の安全性においてとても重要なポイントなのだ。
街灯の少ない真っ暗な路地裏でテストをしたのが上の写真。左がロービームで右がハイビームだ。
現在、夜間走行時にはハイビームが推奨されているが、市街地などでは対向車や先行車への配慮から、ほぼロービームしか使わないのが実情。だからこそロービームの照射範囲は重要。
実際に確かめてみると、トリシティのヘッドライトはロービームでもしっかりと道の奥まで明るく照らし、走行時に暗くて見えないということはなさそう。幹線道路を外れた住宅街でも、これなら安心だ。
当然ながらハイビームはもっと明るい。道の奥までしっかり照らしているのがわかるだろう。さらに特筆すべきは照射の幅。とても広く、左右にある住宅の壁や門扉もはっきり見える。これなら街灯がひとつもない道でも、不安無く進んで行けるだろう。
1点気になったのが、ハイビーム状態を表すインパネのブルーランプ。これがかなり明るく、少し視線を下に落とすだけで視界にまともに入ってきて、人によっては眩しく感じるかも…。
それにしても、良好な視界は夜間走行時の安全性を格段に上げてくれる。総じて優れたヘッドライトだと言えるだろう。
スピードメーターはもとより、時計や外気温などの表示はすべて大きめ。明るすぎることもなく、夜でも見やすい。
夜間にトリシティを運転するときの視界はなかなか良好だということはわかった。では次に、周囲からトリシティはしっかり見えているか…「被視認性」の確認である。
結論から言うと、夜でもトリシティはかなり目立つ存在。フロントはヘッドライトがもともと明るいうえに、LEDポジションランプが前面の多くを占めていて、存在感は抜群。
ちなみに、ヘッドライトによってうっすらと浮かぶフロント2輪のスタイリングは、夜の暗さで近くに来るまで気付かない人もいるようで、二度見する通行人が多かったように思う。ともかく、フロントからの被視認性は抜群だ。
トリシティはテールランプにもLEDを採用しており、発色の良い赤色でリアの被視認性もかなり高い。また、大型のウインカーはデザインアクセントになっているだけでなく、被視認性を高めるうえでも大事なディテールになっている。
この3回の連載でわかったトリシティの特徴は、決して独特のデザインだけではない。フロント2輪、リア1輪が生み出す安定感はビギナーやリターンライダーでも安心出来る。それに車体はじつはコンパクトで、一般的な原付二種スクーターの感覚で運転したり、駐車することが出来る。
そして夜間でも、視認性、被視認性ともに優れた性能を発揮。遅くなった帰りでも不安はない。
今回、数日間を共にしてわかったのは、トリシティは晴れの日はもちろん、雨の日も風の日も、夜遅くなっても…いつだって気兼ねなく走り出すことができるコミューターだということ。特異なスクーターではなく、オールマイティーにあらゆるシーンを楽しめる1台なのである。
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