掲載日:2018年08月24日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
パワーユニットはは高い燃費性能と力強さを両立させたSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンで、最高出力は6.9kW(9.4PS)/7,000rpm、最大トルクは10N・m(1.0kgf・m)/6,000rpmを発生する。この値はアドレス125と全く同じだが、吸排気系の見直しとCVT設定の最適化により、アドレス125よりも優れた加速性能を実現しているとのことだ。
信号待ちからアクセル全開でスタートすると、ガツンとした加速感は感じられず、少々拍子抜けする。ところがメーター上のスピードの上がり方を見てみると、かなり速いのだ。それを踏まえ、あらためて信号ダッシュ時の加速を分析してみると、周囲の同クラスよりも頭一つリードする場面が多かった。
前後ホイールは10インチで、いまどきのモデルに比べると小さい。そのため、低速時やギャップに突っ込んだ際など車体の挙動が不安定になるのではと心配していたが、それは全くの杞憂だった。実際に走らせてみると、むしろコンパクトな車体の割に落ち着いたハンドリングだな、という印象だ。
だからといってキビキビ感がないわけではなく、渋滞路で車の間を縫うような場面では車体の取り回しが軽快でヒョイヒョイと走れてしまい、気分的にもかなり楽だ。それでいて高架が続く幹線道路などスピードが乗るシーンでは、10インチホイールとは思えない安定感もあるのだ。通勤、通学時の“戦闘力”はかなり高く、これならば次世代の“通勤快速”と言ってもいいだろう。
スズキがスウィッシュで目指したのは軽快かつ安定した走りとのことだが、乗ってみると「こういうことか!」と納得できるのだ。この乗り味をを実現できたのは、幅広のタイヤによる接地感の確保、太いインナーチューブを持つフロントフォークの剛性の高さ、燃料タンクをフロアボード下に設置したことによる低重心、複筒式オイルダンパーを持つ2本のリアサス、高剛性のフレーム、最適に調整されたキャスター角など、開発陣がこだわりと苦労をもって仕上げたからであろう。
アドレス110やアドレス125に比べると定価は10万円程度高いので、リーズナブルなスズキ車が好きだというファンには悩ましいかもしれない。しかし、上質なスタンダードと言いつつ“新世代の通勤快速”としての実力をも兼ね備えているスウィッシュは、必ずや路上に旋風を巻き起こすであろう“気になる1台”なことは確かだ。
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