掲載日:2018年03月06日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
車両の目の前に立つと原付2種とはいえ、やはり2輪と違って少し大きいな、と感じる。特にフロントのボリューム感は独特だ。今回試乗したABS付きモデルは車両重量が164kg(ABSなしは159kg)あるため、押し歩きなどの取り回しではさすがに重く感じる。ただ、前輪が傾くので押し歩きでも小回りは意外と利く印象だ。
走り出すと、取り回しで重かった印象はどこへやら。車両重量は前モデルよりも重くなっているのだが、最高出力、トルクともに向上していることもあってか、発進時やそのあとの加速は、前モデルよりもキビキビとした印象。もちろん同じヤマハのNMAXやシグナスX SRといった俊足モデルには及ばないものの、法定速度の60km/hプラスアルファの速度域までもたつく感じはほとんどなく、力強く一気に加速していく。
コーナーリングはとにかくスムーズ。狭い十字路など、低速で曲がる場合にはフロントの重さが気になる場合もあるが、幹線道路の交差点やバイパス状道路の中速コーナーなどは、前輪が2つある3輪バイクだということをほとんど意識せずに走ることができる。今回後輪の幅がワイドになったことで、さらに安定感が増している。
荒れた路面を走ると、普通のスクーターのように「トントン」とではなく「ドンドン」と重そうに越えていく感覚はあるものの、フロントフォークの挙動は安定していて不安感は全くない。フロントの片輪だけが歩道の段差に乗り上げたような場合でも同様で、ほとんど違和感なく乗りこなせてしまう。3輪のため低速時の安定性は抜群で、フラつきの心配もない。そして、合計3枚のディスクを装備しているため、制動力も強力だ。
渋滞した道路での小回りも、見かけのイメージとは違ってかなり利く。もちろん一般的な125ccクラスのスクーターには及ばないものの、すり抜けなどは意外と気を遣わずに行える印象で、同じ3輪でもホンダのジャイロのようなリア2輪のタイプよりも軽快に走り抜けられる。
3輪がもたらす安定感と安心感はそのままに、パワフルで低燃費のエンジンとゴージャスな装備をプラスしたトリシティ125は、新時代の都市型コミューターとしての価値と利便性をさらに高めた魅力的な1台といえるだろう。
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