掲載日:2009年12月28日 特集記事
記事提供/2009年6月1日発行 モトメンテナンス No.83
Text/田口勝己 栗田 晃 土山 売 丸山淳大 ■Photo/MOTO MAINTENANCE 編集部
■取材協力/ヨシムラジャパン (TEL)046-286-0321
4ストエンジンの構造を知り、バイクいじりの楽しさを知る原点として、長年に渡ってキング・オブ・4ミニの座に君臨するホンダの横型。ビギナーからベテランまで、このエンジンに魅了されていじり続けているサンメカは数多いはず。そんなユーザーたちが今、一番注目しているのがヨシムラヘッド88ccキットである。レース界で鍛え上げてきたチューニングノウハウは、わずか88ccの排気量の中に惜しみなく注入されているのだ
モンキーのチューニングを長くやっていると「エンジンは消耗品」という感覚で捉えるようになってくるサンメカは少なくないらしい。簡単にいじれるのを良いことに、スタンダードに対して2倍の排気量、4倍以上の馬力を出すようなチューニングを行えば、あちこちに無理が重なるのも仕方がないことだ。
そんな風潮に“待った”をかけたのがヨシムラである。馬力を出しながら壊れないエンジンを開発するのは、創業以来レースを通じて培ってきたヨシムラの伝統でありお家芸。そのノウハウを活用し、従来のモンキーチューニングエンジンのセオリーにとらわれずに開発したのが、「ヨシムラヘッド88ccKIT for MONKEY」である。
その要旨をおさらいすると、最大の特徴は熱容量を増した燃焼室上部と、ここをオイルで効果的に冷却するシリンダーヘッドにある。空油冷式とヨシムラが命名するこの構造は、燃焼室の過熱で破損する例が多いチューニングエンジンの信頼性を格段に向上させる。ローラーロッカーアームやタペットシムの採用も、フリクションロス低減と動弁系の慣性重量を減らすメカニズムとして魅力的。
また、組んでしまえば見えないのだが、ピストンやカムシャフト、ロッカーアームやバルブコッターに至るまで、すべてのパーツの質感が高く、見ているだけで満足感が得られるのも、自らの手で組み付けを行うサンメカには嬉しい点だ。取扱説明書の丁寧さも秀逸で、ベテランはもちろんビギナーでも失敗することなくチューニングの世界を満喫できる。
東京モーターサイクルショーに参考出品された専用マフラーや、さらにその先に控えているストロークアップによる106ccバージョンなど、今後の展開にも期待できる。まずはここから、横型エンジンチューニングの世界に足を踏み入れてみることにしよう。
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