手にした時にも高い満足感を。作り込まれたビレットパーツ。

掲載日/2024年10月17日
取材協力/アールズギア
取材・撮影・文/木村 圭吾
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
「アクティブ・コンフォート」を標榜するアールズ・ギアのビレットパーツ。幾度ものテストと改良を重ねたその製品は、ライダーに快適性と優れたコントロール性を与える。自社工場内で生み出されたパーツは高い機能性・質感を持つだけでなく、ルックスを向上させるカスタムパーツとしても心を満たしてくれることだろう。

機能性向上パーツとしての役割を、美しさと高級感の中に込めて。

ステップキットを始めとしたビレットパーツのラインナップ拡充に積極的に取り組んでいるアールズ・ギア。同社の主力であるマフラーと同様に高い作り込みがなされており、魅力にあふれた製品となっている。

ビレットパーツはブロック状の金属を機械によって切削加工して作られ、オートバイのカスタムパーツとして用いられる場合は素材の種類から『アルミ削り出し』と言われることが多い。アールズ・ギアでは、その企画から設計、試作、量産までを同社内で一括して行なっており、世に送り出されるまでに、さまざまな角度から検討され、意見が交わされていく。筆者はその模様を実際に見たことがあるが、試作の段階で充分仕上がっているように思え、さらに車体に装着されてしまえば見えづらくなってしまうような部分にも『もう少し彫り込んで!』といった指示が飛ぶ。そこまで加工したらコストに跳ね返るのでは?と思った筆者の心情に応えるかのように、代表の樋渡治さんは「ユーザー目線なんです」と言う。

「製品を手にとって見てくれたユーザーさんに『こんな場所まで作り込んである!』と感動して貰いたいんです。それで製作コストが掛かるのならば、そうならない製法を模索して実行する、それが社内で一貫して製造できる強みといえるでしょうね」

ビレットパーツのシリーズ名は『アクティブ・コンフォート(ACITIVE COMFORT)』と冠せられている。相反する単語の組み合わせにも思えるが、決してそうではない。特にコンフォートと耳にすると、ソファーに腰を下ろしたような弛緩した状況を思い浮かべるかもしれないが全く違う。それよりも優れたオフィスチェアに近い。それは長時間座っていても腰や背中に負担が掛からないため疲労を誘発せず、デスクワークの快適性が増し、効率を上げる結果に繋がる。つまりライディング時の快適性を向上させるためのコンフォートであり、ステップキットやハンドルセットバックキットにおいては、ライダーに不快な負荷が掛からないライディングポジションが形成される。するとバイクに対しての入力も無理のないものとなり、コントロール性も向上する。特にステップキットでは、左右の剛性バランスにも留意されており、それを整え、適切なステップ位置を設定することによって疲労を軽減する。つまり、快適性と操縦性を上げ、質の高いルックスで満足度を向上させるスペシャルな逸品が、アールズ・ギアのビレットパーツたちなのである。

新たに追加されたロゴとエンブレムは、遠くからでもわかるようにシンプルに。

2023年からアールズ・ギアはロードレースの世界耐久選手権に参戦しているチームにマフラーの供給を開始している。それを契機として新たに追加されたのがメーカー名の新ロゴとエンブレムである。それはサーキットのようなシチュエーションにおいて『遠くから見てもわかりやすいこと』をテーマとしており、シンプルなデザインとなっている。そしてマークはアールズ・ギアのブランドでもあるワイバーン(背中に羽の生えた龍=飛龍)と世界地図を掛け合わせたものである。なお、これまでのロゴとエンブレムも継続使用され、いずれになるかは装着される車輌の持っているキャラクターなどによって使い分けがなされる。

Racing Concept Z900RSライディングステップ 適合車種:Z900RS/CAFE/SE(’17’~22)(’23~) ジュラルミン削り出し ステップ位置を4つの中から選択できるマルチポジションタイプ。カラーはブラック/オレンジゴールド/クリアシルバーアルマイト仕上げの3つを設定。ヒールプレートにはレーザー加工でロゴが入れられている。

Racing Concept ZX25R/ZX4Rライディングステップ 適合車種:ZX-25R(’20~’22)(’23~)/SE/SE KRT EDITION ZX-4R SE(’23~)、ZX-4RR(’23~)/KRT EDITION/40thANNIVERSARY EDITION ジュラルミン削り出し ステップ位置を4つの中から選択可能なマルチポジションタイプ。カラーはブラック/オレンジゴールド/クリアシルバーアルマイト仕上げの3つを設定。ヒールプレートにはレーザー加工でロゴが入れられている。KQS非装着車への取り付けには、別途オプション品が必要。

Racing Concept CBR650R/CB650Rライディングステップ 適合車種:CBR650R(’19~’22)(’23~)・CB650R(’19~’22)(’23~) ジュラルミン削り出し ステップ位置を4つの中から選択できるマルチポジションタイプ。カラーはブラック/オレンジゴールド/クリアシルバーアルマイト仕上げの3つを設定。ヒールプレートにはレーザー加工でロゴが入れられている。

Racing Concept Hayabusaライディングステップ 適合車種:Hayabusa(’21~) ジュラルミン削り出し ステップ位置を4つの中から選択可能なマルチポジションタイプ。カラーはブラック/オレンジゴールド/クリアシルバーアルマイト仕上げの3つを設定。ヒールプレートにはレーザー加工でロゴが入れられている。

ACTIVE SPORTS Z900RS(’17~’22)(’23~)サブフレーム 適合車種:Z900RS/CAFE/SE(’17~’22)(’23~) ジュラルミン削り出し。カラーはブラック/オレンジゴールド/クリアシルバーアルマイト仕上げ。MC切削によるロゴが入れられている。

BMW R1300GS('23~)ハンドルセットバックライザーノーマルのハンドルポストに組み込んでハンドル位置をノーマル比で30mmバック、27mmアップさせ日本人の体格にアジャストする。ホース類の交換不要なボルトオン仕様。七宝焼きエンブレム付き。R1200GS系、R1250GS系用のハンドルブラケットも別途設定されている。

R1300GS(’23~)・R1250GS/GS-ADV(’19~)全モデル・R1200GS/GS-ADV(’13~’18)全モデル ツアラーステップ Type2 ライディング時の自然な足首の角度にフィットするように、上面の角度をノーマル比で18度前傾させ、ステップ位置を18mmダウンさせる。操作性や疲労軽減に効果を発揮。

マスターシリンダーガード ブレーキ側/マスターシリンダーガード クラッチ側 ノーマルのマスターシリンダーキャップと共締めし、アクシデントの際に保護。またドレスアップアイテムとしても効果が高い。画像はスズキHayabusaに装着した状態で、カラーはクリアシルバー、ダークブルー、クラッシックゴールド アルマイト仕上げが用意されている。ロゴはMC切削。

自社工場内の一角を占めているのが、ビレットパーツを製作するための工作機械『マシニングセンタ』だ。高度な加工が行なえる5軸が2台と、比較的簡単なパーツに用いられる3軸が1台が設置されて稼働している。

向かって左が新たに使用が開始されたロゴとエンブレム。比較してみると「ここが頭で、羽で…」と飛龍をベースとして図案化したものであるのがわかるだろう。従来からあるロゴとエンブレムも引き続き使用される。

INFORMATION

アールズ・ギア
住所:三重県亀山市能褒野町62-9
電話:0595-85-8778
営業時間:9:00~18:00
定休日:土、日、祝日
https://www.rsgear.co.jp

社名のRには、主力商品であるマフラーのエキパイが描く曲線(アール)や、ライダーに向けたといった意味が込められている。開発段階では代表の樋渡さん自らも実走し、機械では現しきれない微妙な変化を感じ取る“人間シャーシダイナモ”としての能力を発揮し、よりライダーの感性にフィットした製品へと仕立てられている。
アールズ・ギア