大人気のRebel250/500用マフラーがアールズギアから待望のリリース

掲載日/2021年2月16日
取材協力/アールズギア
写真/木村圭吾 取材、文/淺倉恵介
構成/バイクブロス・マガジンズ
アールズギアから、Rebel250用の新しいスリップオンマフラーと、極太エキゾーストパイプ、Rebel500用のスリップオンマフラーが新たにリリースされる。既に販売中のRebel250用スリップオンマフラーと合わせ、人気のミドルクルーザー用のラインナップが充実した。さっそく250用の新しいスリップオンマフラーと、極太エギゾーストパイプ、500用スリップオンをインプレッション。それは、驚くべき体験だった。

優等生のレブルが個性派に変身!
鼓動感豊かなrs gearのマフラー

Rebel250は非常に完成度が高いバイクだ。250ccの単気筒エンジンは低速が粘り、にも関わらず高回転も気持ち良く伸びる。素直なシャシーの特性と相まって、誰にとっても乗りやすく、走りを楽しめる一台に仕上がっている。ベストセラーとなっているのも納得だ。

ただ、注文を付けたい部分がないわけでもない。それは、エンジンの”味”について。より具体的に表現するなら、鼓動感が物足りない。排気量なりといえばそれまでなのだが、せっかくのシングルエンジンだ。シューンと回ってしまうだけではなく、ドコドコとしたエンジンの鼓動を感じられれば、もっと走りが楽しくなるに違いない。前々から、そう思っていたのだが、アールズギア製マフラーのワイバンクラシックを試したところ、ブッ飛んだ。

ワイバンクラシック スリップオンマフラー ステンポリッシュ(6万8000円 税抜)とワイバンクラシック 50Φ極太エキゾーストパイプ ステンポリッシュ(2万7000円 税抜)を装着したRebel250

アールズギアのマフラーに共通する、低中回転域のトルク増大はRebel250でも変わりない。その上、スロットル操作に対するレスポンスが向上しているので、スピードのノリは格段に良くなっている。低中速トルクが過大だと、ギクシャクした乗り味になることがあるが、そうした傾向は皆無。開ける時にもドンツキすることはないし、スロットルを閉じても急激に失速することもない。バックトルクの発生まで配慮して作られていることは間違いない。実にスムーズなパワーデリバリーだ。

フルエキゾースト状態のワイバンクラシックを装着したRebel250をテストライド。パワーアップもさることながら、エンジンの鼓動感がなんとも気持ち良い。スロットルの開け閉めが楽しい!

排気音も実に爽快。政府認証を取得しているマフラーだから、煩く感じるような大音量ではない。だが、パルス感の利いた歯切れ良い音質は、なんとも耳に心地良い。シングルはこうでなくっちゃという音なのだ、これは良い! 気分が盛り上がる。パワー特性と快音のおかげでスロットルを開けるのが楽しすぎて、何度かレブリミットに当たるまでエンジンを回してしまったほどだ。これは、レブリミットに達するまでパワーがタレないということでもある。そして、何より伝えたいのは鼓動感がしっかりと演出されていること。まるで、エンジン内でガソリンが爆発し、ピストンを押し下げている様が感じ取れるかのようなのだ。

ワイバンクラシック スリップオンマフラー ブラックエディション(6万8000円 税抜)とワイバンクラシック 50Φ極太エキゾーストパイプ ブラックエディション(2万7000円 税抜)を装着したRebel250

アールズギアのRebel250用マフラーは、先行してスリップオンタイプが発売され人気を博している。そしてこの度、50Φ極太エキゾーストパイプがリリースとなった。既にスリップオンタイプを愛用しているユーザーは、50Φ極太エキゾーストパイプのみ購入すればフルエキゾーストにシステムアップすることも可能。まずはスリップオンを装着、お金が貯まったら50Φ極太エキゾーストパイプを買い足すといった楽しみ方もできる。

Rebel250用ワイバンクラシック スリップオンマフラー ブラックエディションをノーマルエキゾースパイプに装着した姿。フルエキゾーストと比べると、ルックスの力強さに欠ける。

Rebel250用ワイバンクラシック スリップオンマフラー ステンポリッシュをノーマルエキゾースパイプに装着した姿。

そして、今回はRebel500用マフラーも試すことができた。250と基本的に共通の車体に、排気量が2倍の並列2気筒エンジンを搭載するRebel500。250の人気に隠れ、やや陰が薄くなってしまっているが、こちらも非常に素晴らしいバイクだ。そして、足りないと感じる部分も250と同じで、エンジンにクセがなさすぎること。排気量に見合った鼓動感が欲しいところ。

Rebel500用ワイバンクラシックだが、まずクラッチを繋いだ瞬間からトルクの太さを感じる。走り出した一歩目から力強さが違うのだ。トルクが増加したせいかバックトルクは強まったように感じたが、スロットルのオン/オフでギクシャクしたりはしない。見事なパワーデリバリーだ。

Rebel500用のワイバンクラシック スリップオンマフラー ブラックエディション(6万8000円 税抜)、ステンポリッシュも同価格でラインナップ。

パワーアップによる走りの爽快感を楽しんでいたところ、遅いクルマに追い着いてしまった。そこで気付かされたのだが、このマフラーは飛ばしていなくても楽しいのだ。格段に強まった鼓動感がなんとも気持ち良いっ! 高いギヤに入れたまま低回転で走っても、太いトルクはマシンを無理なく前に進めてくれる。いや、高いギヤで目一杯回転を落としたところから、スロットルを開けていく時こそ、このマフラーの真価が発揮される。ドドッという力強い排気音を楽しみながら、息の長い加速を楽しめる。その時、エンジンから伝わってくる鼓動は快感そのもの。リッタークラスのクルーザー並といったら、さすが大袈裟だろうか? だが、楽しさは決して引けを取らないものだった。

ワイバンクラシック スリップオンマフラーのサイレンサーは、250用と500用で外観上の違いはなくサイズも同一だ。だが、内部構造は完全に別物で、それぞれの排気量に最適化された構造が持たされている。

Rebel250と500は、どちらも素晴らしいバイクだ。アールズギアのマフラーは、その美点を損なうことなく、さらに走りの楽しさをプラスしてくれる。装着して間違いのないマフラーだ。

自分が欲しいと思えるマフラーしか作らない
物作りに一切の妥協を許さない職人魂

アールズギア代表の樋渡 治さんは、1980年代に活躍したレーシングライダー。マフラー職人としての技術も超一流で、数々の名作を世に送り出してきた。その樋渡さんに、Rebel用マフラーの開発エピソードを聞いた。高性能マフラーメーカーとして知られるアールズギア。ラインナップはビッグバイクが中心で、クルーザー用マフラーは実はRebelが初となる。なぜ、Rebelのマフラーを手がけることにしたのだろうか?

アールズギア代表の樋渡 治さん。レーシングライダー時代はスズキワークスチームのエースとして、全日本GP500他トップカテゴリーのレースで活躍。ツーリングで毎年2万km以上は走るという現役ライダーだ。

「人気車種ですし、ノーマルの素性が良い。これは、挑戦する価値があると考えたんです。Rebelは250も500も、本当に良く出来たバイクだと思います。ですが、どちらもエンジンのテイストが弱い。やっぱり、シングルはシングルらしく、ツインはツインらしい味が欲しいじゃないですか? こういうバイクですから、性能だけでなくデザインも大切です。サイレンサーの形には随分悩みましたね。リボルバーデザインと名付けたのですが、カッコよくありませんか?」

なるほど、サイレンサーを排気口側から見ると、拳銃の弾装のように見える。これは他にない意匠、新鮮だ。アピアランス向上の効果は相当高い。それには、サイレンサーがコンパクトであることが効いている。

サイレンサーのエンドキャップは、金属加工で円周状にホールが開けられる。リボルバーデザインの由来が、この形だ。

「スタイルを考えると、大きいサイレンサーは似合いません。シングルやツインは一気筒あたりの排気量が大きいので、排気音量を下げることが難しい。トルクを出せば鼓動感も高まってきますが、音量も大きくなってしまいます。サイレンサーを小さくすることは基本コンセプトでしたし、鼓動感をそのままに音量を抑えるのに苦労しましたね。アールズギアは法律に反するパーツは作りません。ユーザーの方には、安心して走りを楽しんでもらいたいですから。ですから、250用は政府認証を取得していますし、500用も車検対応品です」

こちらはアールズギアのRebel250/500用パーツのハンドルセットバックライザー(2万2000円)。ハンドルがやや遠いRebelのライディングポジションをアジャスト。実は、バーエンド部の位置は変わらないのだが、ハンドルに垂れ角がつくことで、上半身のリラックス度が激変する。マフラー開発の副産物的なパーツで、テストで相当な距離を走り込んだからこそ、ポジションの違和感に気付いたのだ。ブラックアルマイト仕上げ。

安心して使用できるのは、ユーザーとしては実に有難い。それにしても、これだけの性能変化を出すには相当苦労したのだろう。

「開発に時間はかかりましたね、乗り味の良さは絶対に譲れない部分ですから。Rebelに関しては性能面以外の部分も、手間とコストがかさみましたね。性能だけを優先するなら、エキゾーストパイプはもっと細くあるべきなんです。でも、太い方が似合いますよね? ですから、50Φ極太エキゾーストパイプは二重管にしました。実際に排気ガスが流れているパイプは、外から見える部分より細いんです。スリップオンもパイプ部分を二重管にして、見た目の迫力を出しています」

サイレンサー入り口のパイプと、Rebel250用50Φ極太エキゾーストパイプは二重管構造を採用。マッシブなスタイリングを実現している。また、二重管を使用することで熱による変色や錆防止の効果も見込める。

性能、ルックス、全てに一切の妥協なし。だから、アールズギアのマフラーは、多くのライダーから支持されているのだろう。最後に、樋渡さんはこう言って笑った。

「自分が欲しいと思えるものになっていなければ、商品化はしません。だから、納得いくまで作り込まないと気が済まないんです」

アールズギアのマフラーサウンドを動画でチェック!

INFORMATION

住所/三重県亀山市のぼの62-9
電話/0595-85-8778

ワイバンに代表される高性能マフラーをはじめ、数多くの高性能パーツをラインナップ。その全てが高性能なのはもちろん、質感と品質に優れユーザーの所有感を満たしてくれる逸品揃い。代表を務める樋渡 治氏は、全日本GP500などで活躍したトップレーシングライダー。開発能力の高さは折り紙付きで、現在もアールズギア製品をプロデュースする。年間走行距離2万kmを超えるツーリングライダーで、自らが走り込んできた経験を製品に活かしている。本物を求める、成熟した大人のライダーが選ぶパーツ、それがアールズギアのプロダクトだ。