ニンジャZX-25Rをレーシングライクに。ルックスに込められた高いポテンシャル。

掲載日/2024年3月12日
取材協力/アールズ・ギア
取材・撮影・文/木村 圭吾
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
クラス唯一の4気筒をパワートレインとするカワサキZX-25R。その魅力をましてくれるのが、アールズ・ギアが展開するパーツ達である。ポテンシャルが上がる実力と共に、作り込みや仕上がりの高さによるルックスの向上も大きな魅力。2023年秋のマイナーチェンジ後のモデルにはスリップオンタイプのマフラーも選択可能になり、ハイクオリティに手が届きやすくなったのも注目すべき点だ。

世界耐久参戦マシンにも供給
その性能を継承するマフラー。

250ccクラスながらもパワートレインをインラインフォーとしたカワサキ・ニンジャZX-25R。アールズ・ギアもリリースされると直ちにパーツの開発に着手し、製品を送り出した。

「4気筒だから得られる高回転、高出力が特色で、それを活かして魅力を高めるようなパーツを作ってみたいなと思いました」と代表の樋渡治さん。かつて国内全メーカーが250の4気筒をラインナップしていた頃を知っており、実用性だけでは量れない、ロマンを持った心をそそるようなバイクに樋渡さんには映ったのである。

2023年秋のマイナーチェンジモデル用のGPスペックフルエキゾーストマフラー。その名のとおり、排気系を丸ごと置き換えられるために全域でのパワーアップを果たす。

サイレンサーのカラーリングは、上の艶やかなチタンドラッグブルーと、こちらの画像のチタンポリッシュの2種類が用意されている。チタン材による大幅な軽量化もポイントだ。

そして2023年秋にはニンジャZX-25Rのマイナーチェンジが敢行された。中でもマフラーのサイレンサー部分別体になったことが、車両のカスタマイズの観点からはトピックとして上げられる。それによってスリップオンタイプの製品化が果たせたのは大きい。レーシングライクなスタイリングへの変化や、軽量化による運動性能の向上、そして4気筒らしい音質、作り込まれた高い『アールズ・ギアクオリティ』を楽しむことへの敷居が下がったことは、ユーザーにとってのメリットであるだろう。

GPスペックスリップオンマフラー。サイレンサー部分のみの置き換えになるため、リーズナブルにスタイリングのアップやサウンドが楽しめるのもスリップオンタイプの魅力だ。

GPスペックスリップオンマフラーも、カラーリングはフルエキ同様に2種類。デザインは多角形タイプの異形サイレンサーを採用しており、レーシーな雰囲気を高めている。

そして、アールズ・ギアマフラーの真骨頂を味わいたいのならば、排気系を丸ごと置き換えるフルエキゾーストだ!! 込められた性能は2023年の世界耐久レースに参戦するマシンに採用されたマフラーを継承しており、そちらはル・マン24時間耐久レースではデビューウインも果たしている。ニンジャZX-25R用においても、全域でのパワーアップに加えて、フルチタン材による圧倒的な軽量化による運動性能の向上も特筆すべき点だ。ルックス、ポテンシャル共にレーシングライクだが、排ガスや騒音規制にも適合しており、ストリートからサーキットまで走る楽しさが広がるのは大きなポイントであろう。良好なパワー特製に、心地良いサウンド、そしてスタイリングアップと、カスタムマフラーに求められる要素の全てを高い次元で成立させているのである。

こちらはマイナーチェンジ前モデル(適合型式:2BK-ZX250E)用のGPスペックチタンフルエキゾーストマフラー。カウルの間から見えるエキパイも魅力といえるだろう。

■ NINJA ZX-25R SE/KRT EDITION(’23〜) GPスペック スリップオン マフラー
スリップオン(チタンポリッシュ) ¥107,800(税込)
スリップオン(チタンドラッグブルー) ¥113,300(税込)

ライダーの意志を的確にマシンに伝達
剛性の確保とバランスに留意したステップ。

ニンジャZX-25Rではライディングステップも製品として加えられている。マシニングによってジュラルミンのブロック材を加工してゆく削り出しの行程によって製作されている。企画から設計、試作、量産に至るまでアールズ・ギア社内による一貫製造だ。それによって肉抜き加工などの高い作り込みが可能になっているのである。

工場内には、削り出し加工を行うための手前の最新鋭のマシニングセンタを始めとして3台が稼働している。自社内で設計から量産までを完結できているのが高品質の由来の一つ。

そして特に留意したのが剛性の確保と、その左右のバランスを整えた点にある。改めて言うまでもないだろうが、ステップは単に足を置いておくだけの役割ではない。コーナリングでの倒し込みの際などの荷重のコントロールに大きく関わっており、剛性が低ければライダーの意志が的確に伝わらず、左右で差があれば違和感の原因になってしまう。だからといって、肉厚を上げれば良いかと言えばさにあらず。今度は重量が嵩んでしまう。なので必要外の部分を可能な限り削り取ったりの加工が必要になってくるのだ。

それには代表の樋渡さんのトップカテゴリーでのプロライダーだった知見が生かされており、『レーシングコンセプト』のネーミングに相応しい製品になっている。機能的には高い操作フィーリングなどのフルスペック的な内容だ。

ニンジャZX-25Rに装着された状態のブレーキ側のレーシングコンセプトライディングステップ。こちらは表面処理を素材感を味わえるクリアシルバー仕上げとしている。

そして、機会があったら是非とも実物を御覧頂きたい。仕上がりが実に見事なのだ!となるとカラーチョイスはいかに?素材感を感じさせるクリアシルバーなのか、あるいはシックなブラック?それとも存在を主張するオレンジゴールドにするのか?悩ましいけど楽しい問題であろう。

ブレーキ側のレーシングコンセプトライディングステップを真横から見た状態。いずれのカラーもヒールプレートに『R'S GEAR Racing Concept』のロゴが入れられている。

こちらの画像は、ブレーキ側のレーシングコンセプトライディングステップを斜め後方から見た状態。カラーリングは3種類が展開されており、こちらはシックなブラック仕上げ。

チェンジ側はKQS(カワサキクイックシフター)非装着車には、別途オプション品(品番(AC-01-0100-BKP3)の購入が必要になる。画像はクリアシルバー装着車両。

チェンジ側の真横。ステップの位置は左右共に選択可能なマルチポジションタイプ。ベアリングが採用されており、スムースで心地良いシフトフィーリングも実現している。

左側のオレンジゴールドのレーシングコンセプトライディングステップを、斜め後方から。随所に施された肉抜き加工が見える。本品はZX-4Rにも装着可能になっている。

今後のニンジャZX-25R用パーツの展開について尋ねると「将来的にはハンドルを手掛けてみたいですね」と樋渡さん。マフラーやステップの作り込みや仕上がりの美しさを見れば、こちらもアールズ・ギアらしいクオリティを持った製品となるのは間違いなく、質や楽しみが高まったライディングシーンとなるに違いないのだ。

■ Racing Concept ZX-25R・ZX-4Rライディングステップ
適合車種:ZX-25R(’20~’22)(’23~)/SE/SE KRT EDITION
ZX-4R SE(’23~)、ZX-4RR(’23~)/KRT EDITION/40thANNIVERSARY EDITION
ブラック
オレンジゴールド
クリアシルバー

INFORMATION

アールズ・ギア
住所:三重県亀山市能褒野町62-9
電話:0595-85-8778
営業時間:9:00~18:00
定休日:土、日、祝日
https://www.rsgear.co.jp

社名のRには、主力商品であるマフラーのエキパイが描く曲線(アール)や、ライダーに向けたといった意味が込められている。開発段階では代表の樋渡さん自らも実走し、機械では現しきれない微妙な変化を感じ取る“人間シャーシダイナモ”としての能力を発揮。よりライダーの感性にフィットした製品へと仕立てられている。
アールズ・ギア