アノ伝説のレースの主人公になれる! 世界のサーキットが驚くほどリアルに体感できるMotoGP™19

掲載日/2019年10月7日
取材協力/オーイズミ・アミュージオ56design
写真/稲垣正倫、オーイズミ・アミュージオ 取材、文/稲垣正倫
構成/バイクブロス・マガジンズ
前日のエンジントラブルが響き、チームもピリピリしていた…予選は12位。「いまいち、波に乗れていない」と中野真矢は感じていた。決勝を迎えた朝のフリー走行で、ようやく掴みかけてきた感触があったのが、幸いだった…(2004年9月19日・ツインリンクもてぎ)

伝説のレースを自らの手で再現
中野真矢が表彰台にのぼった舞台へ

ツインリンクもてぎは、スタートにクセがある。特にアウト側はアクシデントになることが多いから、中野はそれを知っていてイン側のグリッドを選んだ。調子の悪さから、ある意味開き直ったような精神状態で、コンセントレーションもよかった。

「案の定だ!」中野は思った。シグナルがグリーンになって1コーナーになだれ込む集団は、アウト側で多重クラッシュ。中野はするすると4番手まで位置を上げ、予選12番手の不利を挽回した。3番手は阿部典文だった。マシンの調子も、ここにきて絶好調、中野は攻めのモードに転化していく。研ぎ澄まされたコンディションの中、阿部がマシントラブルでピットインしていった。これで表彰台圏内だった。前を引いたのは、玉田誠、そしてバレンティーノ・ロッシ。彼らは、どうにも手の届かない位置まで離れてしまっていた。

長い…中野は思った。カワサキに移籍したばかりでトラブルも多く、満足に攻めきれないシーズンだったが、ここにきてチャンスが目の前に転がり込んできた。少しずつ、体制も整ってきたじゃないか、これならいけるはずだ…それにしても、このレースの長さはなんだ!

せっかくのチャンスを逃したくない…だが、胃を素手で掴まれるような苦しさを覚えていたのは、中野だけではなかった。カワサキのピットは中野のマシンが煙を噴いているのをみて、騒然とした。原因もわからない、煙の量もかなり出始めていた。ブラックフラッグが振られてしまえば、この表彰台は泡となって消えてしまう。

やっと折り返しを過ぎたあたりだろうか。中野の視野に、レプソルカラーのマシンが入ってきた。アレックス・バロスだった。苦しい…。どのくらいの距離があるのだろうか…。

ラストスパートを呼び込んだもの

もてぎの奥のヘアピンを立ち上がり、サインボードを確認する。緊張感と、苦しさが同居する中で、中野は日の丸を見た。

レースをよく知る人であれば、中野が4位へ転落するのは時間の問題だった。日の丸でパワーを取り戻し、スパートをかけていく中野。だが、タイヤにかかっている負担はごまかせるものではない。前半、中盤、ハイペースで3番手を維持しつづけてきた中野の、限界が近づいていた。ところが、どうだ。ペースは落ちなかった。消耗したタイヤが、カワサキのピーキーなエンジン特性と奇跡的にマッチ、中野はレースの最も過酷な局面下で消耗したタイヤの新たな乗り方を見いだしたのだった。

中野は、2019年の今、思い出す。「チームのサインボードを出す人が周を重ねるごとに増えてきていました。最初は一人で"行け"って言ってたのが、だんだん"もうちょっとだ!"ってたくさんの人が集まってきました。その期待に応えないとな、とは思っていて。そんな時に日の丸が見えたんです。あ、ここ!」ゲームの画面で、そのコーナーが再現されている。中野は、興奮気味に言う。「ここがレースのターニングポイントでしたねぇ」。

「MotoGP™19」には、歴史チャレンジモードが搭載されている。中野が2004年を思い出しながらプレイしていたのは、この歴史チャレンジモードの2004年9月19日、ツインリンクもてぎのレースだ。ラウンドごとにチャレンジ目標が用意されていて、この中野のステージでは、1分52秒以下のラップで達成。ゲームにおいて、中野の乗ったZX-RRと、中野のレーシングスーツを使えるようになるという仕組みだ。

ZX-RRは、実に忠実に再現されており、中野も驚いていた。「僕は手が小さいので、左手にクラッチの調整ができる機構をつけていたのですが、それに使っていたワイヤーの色まで、再現されていますね…これはすごい」と。「実は、僕は自分のライディングフォームが嫌いなんです。アグレッシブさが無くて。このゲームではそこまで再現されちゃってます(笑)。現役時代は、ライバル達は、顔も見たくないくらい敵対心がつよかったのですが、10年以上時間がたった今みると、各ライダーのクセやフォームをよく思い出します。ほんとそっくりですよ」と中野。

レースのシュミレーションに最適なほど
リアルな「MotoGP™19」

これまでの旧作も、中野はチームのメンバーたちとよくプレイすると言う。「ロードレースは、記憶しなくてはいけないことが多いんです。たとえば、ブレーキングポイントなんかも、コースの看板や縁石などをつかって記憶しています。このMotoGPシリーズは、コースがとても現実に忠実なので、シュミレーションに使えるほどなんですよ」と。逆に言えば、一般ライダーからしても、GPライダーがどのタイミングでブレーキをかけているとか、そういった細かなことを追体験できるということでもある。

中野が特に感嘆するのが、ラグナセカのコークスクリューの斜度表現だが、これはドローンで3Dスキャン、モデリングしているからこそできるリアル感。「路面のシミやここはやばいと思うようなポイントなど、自分の中に染みついている感覚まで再現されている」と中野は太鼓判を押す。

「MotoGP™18」から採用されたアンリアルエンジンによって、細部までサーキットの空間が表現されていることにも、優位性がある。「リアルすぎて、ゲームなのに現実のライディングみたいに苦しいんですよ(笑)。ゲームではGは表現されないんですけど、思わずGに耐えて息を殺してしまったり、ストレートで休める感覚にほっとしたりね。フロントブレーキをかけて前がつんのめる、後ろのタイヤがスネーキングして、という車の動きも再現されていますからね」とのこと。

また、本作から電動バイクの「MotoE」クラスも新コンテンツとして実装。意外と「キュイーン」というモーター音が大きいところも、リアルに実感できる。

MotoGP™19
ジャンル:モータースポーツレーシング
対応機種:PlayStation®4 / Nintendo Switch™
発売日:2019年9月26日
対象年齢:CERO A(全年齢対象)
価格:パッケージ版 7,980円+税 ダウンロード版 7,980円(税込)
   ※Switchはダウンロード版のみ配信
プレイ人数:オフライン 1人 / オンライン 最大12人