SP忠男のエキパイ「POWER BOX」がSRの気持ちよさをもっと盛り上げる!!

掲載日/2019年7月31日
取材協力/SP忠男
写真/井上演 取材、文/佐賀山敏行
構成/バイクブロス・マガジンズ
これまでスクーターやロードスポーツ用マフラーを数多く開発してきたSP忠男から、SR400用エキゾーストパイプが登場した。同社が持つ技術を惜しみなく投入し、SRの魅力であるトルクやパルス感をより増幅したとのことで、多くのライダーがすでに絶賛している。今回はあらためてエキゾーストパイプ「POWER BOX パイプ」の魅力に迫りたい。

多くのライダーがSRにイメージする乗り味を具現化した

1978年の登場以来、その基本的なスタイルをほとんど変えることなく生産され続け、今なお現役で新車が買える稀有なモデルが、ご存知ヤマハ・SR400だ。

スタンダードなスタイリングを持ち、「SR=カスタム」といっても良いほど、このマシンはカスタムすることが当たり前。カフェレーサーにトラッカー、ハイパフォーマンスに、最近ではオフロードスタイルのSRもよく見かける。

ということはつまり、これまでたくさんの専用カスタムパーツもリリースされてきたということでもある。アルミタンクにシート、ハンドルバーにバックステップ、ロケットカウルやビキニカルなどもラインナップされている。もちろんマフラーだってスリップオンにフルエキゾースト、さらにエキゾーストパイプも少なくない。「星の数ほど」という形容が決して大げさではないほどのパーツが、これまでに発売されてきたのである。

さて、スペシャルパーツ忠男(以下、SP忠男)である。マフラーメーカーとして知られる同社は、これまでスクーターやロードスポーツモデルをメインに、数多くのマフラーを開発してきた。その特徴は「気持ちの良い乗り味」。

SP忠男が提唱する「気持ちイー!」マフラーがSR400用として登場。「爽快感×心地よさ×安心感」を実現した珠玉の1本である。

同社のマフラーはただ闇雲にパワーが出て、出力がアップするだけではない。トルクの落ち込みなど、純正マフラーのウィークポイントを開発陣がしっかりと把握し、そのポイントを確実に克服。アクセルを回すと淀みなくトルクが発生し、もりもりと加速していくマフラーを作り上げるのだ。

ちなみに僕は同社製マフラーが装着されたスクーターを何度か試乗させてもらったことがあるのだが、その加速感は、ライダーを思わず笑顔にさせてくれるもの。構造上、どうしても管長が短く、中低速……つまり実用域でのトルクが不足気味になってしまう純正の物足りなさを見事にカバーし、むしろ街中を走るのが楽しくて仕方がないようなマシンに変えてしまうのである。

そんなSP忠男が今回開発したSR用マフラーとは、なんとフルエキゾーストでもサイレンサーでもなく、エキゾーストパイプ。サイレンサーは純正を使用するという。

POWER BOX パイプ(インナーBOXタイプ)
4万5300円(税別)
適合:SR400(2018~)
ほかに「2010~2017」(税別4万2000円)、「~2009」(税別3万9900円)もあり

SP忠男・初のSR用マフラーとしては地味な印象がなくはないが、これこそがバイク本来の楽しさを引き出すことに忠実なSP忠男のSRへの回答……あえてのエキパイのみのラインナップだと考えれば、むしろその割り切りに好感が持て、乗り味への期待もおおいに高まる。

今回用意してもらったのは2018年式SR400、同社のデモマシンである。

奇をてらわないオーソドックスな取り回し。SRが持つ普遍的な美しさを邪魔しない、好感の持てるデザインだ。

スタイリングはいたってオーソドックス。ノーマルサイレンサーに適合するため、取り回しも決して奇をてらったものではなく、エンジン前方から下方へ降りていくスタンダードなものである。ただ、パイプ中央にある「POWER BOX」のエンブレムが際立っている。

中央よりやや上側に「POWER BOX」のエンブレムを装着。このエキゾーストパイプがただ者ではないことをアピールしている。

エンジンを始動し、いざ走り出す。クラッチミートの瞬間に「おっ♪」と感動。SRは決してパワーのあるバイクではない。そのためクラッチを繋いだ瞬間にパワー不足を感じ、すぐにギアをポンポンと上げていきがちなのだが、パワーボックスを装着したこのマシンでは、純正のようにミートの瞬間に一瞬加速が落ちてしまうということがない。単気筒らしい粘り気が極低速域に発生し、違和感なく4000rpm付近まで引っ張っていくことができるのだ。余裕のあるトルクによって、街中でのせわしなさが解消されている。

しかも、1800~4000rpm付近のパルス感がまろやかになっていて、心地よさが増幅。トトトトッと心地よく加速していってくれて、ライダーとバイクの一体感がさらに増したように感じた。この辺りは感覚の話なので伝えるのがなんとも難しいが、単気筒らしい鼓動感はしっかり残しつつも、雑な荒々しさがなくなったという感じだろうか。

当然ながらO2センサー用の穴は標準装備。ノーマルサイレンサーを使用するので、音量の心配もない。車検適合品である。

今回は高速道路も走ってみたのだが、現行SR400は最大トルクを3000rpmに設定していて、4500rpm過ぎから加速がやや鈍る印象があった。それがPOWER BOXでは解消されていて、高速道路でも余裕のある走りが楽しめたのは、特筆すべきポイントである。

つまり、POWER BOXは街中でのせわしなさをなくし、高速道路やワインディングでのスポーツ走行では高速域までしっかりと回る……まさにワンクラス上の出力特性を作り出す逸品。決して派手なパーツではないが、確実に違いを出すことができる。大人のライダーを満足させる1本だといえるだろう。

サイレンサーは純正を使用。社外サイレンサーについては、細かく適合を確認しておりませんが サイレンサー交換によりトルクが落ちてしまったマフラーのフォローはしてくれると思います」とのこと。

SR用POWER BOXパイプはBOX(膨張室)をパイプ内部に装着するインナータイプを採用。シンプルなデザインなので、SRにもよく似合う。

INFORMATION

住所/東京都台東区花川戸2-17-10
電話/03-3845-2010
営業/10:00-19:00(平日)、9:30-18:00(土日祝)
定休/毎週水曜日、第1、3火曜日

高性能マフラーメーカーとして知られるSP忠男が展開するショップ。マフラーの販売、装着はもちろんのこと、タイヤ交換を中心とした足回りのメンテナンスを得意とする。タイヤに関する豊富な知識を持つスタッフが、親切丁寧な作業を行ってくれる。