取材協力/スペシャルパーツ忠男  取材・撮影・文/淺倉恵介  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

ヤマハの新世代ネオクラシック・スポーツ・ネイキッドXSR900用スペシャルマフラーに、SP忠男のPOWER BOX FULLが満を持して登場。同社のマフラーは走った時に感じる”気持ちイーッ!!”というフィールと、”クラッチを繋いだ瞬間に笑みがこぼれる”体感できる高性能がテーマ。その、コンセプト通りの性能を実現した、POWER BOX FULLの魅力に迫る。

SP忠男の独自技術POWER BOXが
XSR900の走りを研ぎ澄ます

メガフォンサイレンサーの手前、四輪用マフラーの中間サイレンサーにも似た部分がパワーボックス。内部は構造は、一般的な中間サイレンサーとは異なり、膨張室が設けられている。排気ガスの脈動をコントロールするPOWER BOXの要の部分だ。

ショートメガフォンスタイルが、XSR900のフォルムに見事にマッチ。素材は超軽量ステンレスを採用し、ポリッシュ加工で仕上げられる。質感に優れるステンレスならではの光沢が、マシンの高級感を大きく引き上げる。

発売されて以来、爆発的なセールスを記録している、ヤマハのスポーツネイキッドXSR900。古き良きモーターサイクルのデザインをエッセンスにしながら、最新の走りを持つXSR900だけに、その人気の高さも納得だ。そのXSR900用のスペシャルマフラーが、老舗マフラーメーカーとして多くのライダーから支持を得ている”SP忠男”ことスペシャルパーツ忠男からリリースされた。それが、XSR900用POWER BOX FULLである。

ネーミングにある「POWER BOX」とは、エキゾーストパイプに設けられた膨張室を指す言葉。一般的なマフラーは、エキゾーストパイプの長さや太さ、サイレンサーの形状や構造の組み合わせで、狙ったパワー特性を作り出していた。そこに、POWER BOXという新たなファクターを追加することで、調整可能な要素を増やしマフラー特性の緻密なコントロールを実現したものだ。だが、単純に膨張室を設けただけでは、思ったようなパワー特性は得られるものではない。

膨張室の存在は、マフラー内の排気ガスのフローに大きな影響を与える。効果が大きいだけに、誤った位置や容量の膨張室を設けてしまうと、狙ったパワー特性を得られないばかりか悪影響を及ぼす可能性もある。SP忠男は長年にわたる研究から得た独自のノウハウにより、最適な膨張室の設計を可能とする技術を有している。膨張室の効果を最大限に引き出したマフラー、それがSP忠男のPOWER BOX FULLなのだ。

マフラー作りに対する、SP忠男のこだわりは並々ならぬものがある。XSR900にはMT-09とMT-09 TRACERという兄弟車が存在しており、エンジンやフレームといった、マシンを構成する基本要素を共有していることは、ライダーには良く知られた話である。SP忠男では、MT-09用とMT-09 TRACER用のマフラーを、先行して販売している。それぞれ車種別専用品として開発されたものなのだが、この度リリースされたXSR900用マフラーも、また専用品として新たに開発されたものである。

実のところ、物理的な話だけをすればMT-09用のSP忠男のマフラーは、XSR900にも装着するだけなら可能なのだという。だからと言って”装着できるから……”という理由だけで、XSR900対応品として世に出すのは、SP忠男の流儀ではない。バイクのキャラクターが違えば、ユーザーの志向や使用条件も違う。と、なれば、マフラーも同じで良い訳がない、というのがSP忠男の考え方なのだ。XSR900用POWER BOX FULLの開発にあたり、同社で最初に行なわれたのはXSR900というマシンのキャラクターを分析することだった。

テストライドは市街地を中心に行った。POWER BOX FULLを装着して走ると、ノーマルマフラーのパワー特性が神経質に感じてしまう。信号が青に変わり発進する度、交差点を曲がりスロットルを開ける度に感じる、パワフルでリニアなパワーフィールに楽しさが感じられる。

SP忠男では、MT-09はモタード的な特性を持つエクストリーム系マシン、MT-09 TRACERはスポーティなツアラーモデル、そしてXSR900は、軽快な走りを持つビッグネイキッドと位置付けている。XSR900の魅力は軽さが生み出す自由自在なハンドリングと、鋭く二次曲線的な加速感によるところが大きいと判断。だが、刺激的なパワー特性は魅力のひとつではあるが、乗り手を疲れさせる部分もある。特に、ノーマル状態でパワーが二段ロケット的に切り替わる回転域は、街乗りなど日常使用で多用する部分とぶつかるため、ギクシャク感を生み出してしまうという。そこで、ピーキーに感じられる部分をスムーズにし、気軽にスロットルの開閉を楽しめる特性がテーマのひとつに上げられた。

実際にPOWER BOX FULLを装着したXSR900で走ってみると、その目論見が見事に実現されていることがすぐに体感できる。ノーマルでは気を遣うハーフバンク時のスロットルコントロールなどが、実にイージーに行える。ラフなスロットルで起きるドン付き症状が、見事に軽減されておりマシンを加減速させることがなんとも楽しい。これは、レスポンスが鈍くなっているわけではない。むしろ逆で、スロットル操作に対しリニアにパワーが立ち上がるため、ライダーが求めるパワーが忠実に発生している。乗り手の意思と、マシンのパワーデリバリーにズレがないから、自由自在に操れるということなのだ。

パワーアップされていることは当然。低回転域からトルクが太っているから発進直後のコントロール性も向上、それでいて速いのだから素晴らしい。オーセンティックなXSR900のスタイリングに見合った、ビッグネイキッドらしい余裕ある走りができるのだ。コーナーを一速上のギヤで回れる、フレキシブルさが嬉しい。加えておくと、煩く感じない上質な排気音も秀逸。早朝や深夜の暖気も可能だろう。もちろん政府認証を取得しており、車検に対応するマフラーだ。

XSR900の魅力をさらに高める、SP忠男のPOWER BOX FULL。これはオーナーなら是非一度体験して欲しいマフラー、走りがさらに楽しくなること請け合いだ。

SP忠男の持つ技術の粋POWER BOX FULL
MT-09シリーズ用ラインナップも紹介

XSR900 POWER BOX FULL 16万2000円(税抜)/超軽量ステンレスエキゾーストパイプ 超軽量ステンレスサイレンサー 音量 91db(近接)/81db(加速) 政府認証マフラー XSR900(型式EBL-RN46J)対応。装着状態で、ドレンボルトとオイルフィルターの脱着が可能

POWER BOXの最大の特徴である膨張室は、その形状、大きさ、取り付け位置など様々な要素の組み合わせでパワー特性が変わってくる。だが、アウトプットがピンポイントになる傾向があり、その設計は非常に難しい。効果の高さに反するように、POWER BOXのように膨張室を設けたマフラーの実例が少ない理由のひとつだ。SP忠男では長年の研究と多くのマフラー製作実績から、独自の設計ノウハウの構築に成功。だが、机上の計算だけでは思ったような特性は得られないという。開発時には、試作とテスト走行を何度も繰り返し、狙ったパワーフィールに近づけていく作業が必須となる。XSR900のPOWER BOX FULLでも、開発がスタート当初は中速域の特性が思うように出ずに苦労したという。何度となく設計変更が行われ、現在の高性能を得ることができたのだ。

  • ショート&コンパクトなメガフォン形状のサイレンサー。優れた耐久性と、高い質感が魅力。排気音は太く迫力あるものだが、音量はけっして大きくない。政府認証マフラーだから、安心して公道走行が可能だ。

  • POWER BOXの内部には、パンチングパイプや仕切板を装備。排気ガスをコントロールして、理想のパワー特性を実現している。排気ガスを浄化するキャタライザーも、POWER BOXに内蔵されている。

  • ヘダーズパイプにはバイパスパイプを備える。240度等間隔という独特な爆発感覚を持つ三気筒エンジンにマッチさせるため、バイパスパイプの径や装着位置は念入りに検討され決定されたものだ。

  • エキゾーストパイプは大きな弧を描き、管長と最低地上高を確保。POWER BOXとサイレンサーは、車体にぴったりと沿って配置され、余裕のあるバンク角を実現している。

  • MT-09 POWER BOX FULL 15万8000円(税抜)/超軽量ステンレスエキゾーストパイプ 超軽量ステンレスサイレンサー 音量 91db(近接)/80db(加速) 政府認証マフラー MT-09(型式EBL-RN34J)対応。装着状態で、ドレンボルトとオイルフィルターの脱着が可能

  • MT-09 TRACER POWER BOX FULL 16万5000円(税抜)/超軽量ステンレスエキゾーストパイプ 超軽量ステンレスサイレンサー 音量 91db(近接)/79db(加速) 政府認証マフラー MT-09 TRACER(型式EBL-RN36J)対応。装着状態で、ドレンボルトとオイルフィルターの脱着が可能

POWER BOXの購入は、特典いっぱいのSP忠男ダイレクトストアで

SP忠男ではユーザーへのサービスを充実させるため、ネットでダイレクトストアを展開中。ダイレクトストアでは様々な購入者特典が用意されているので、SP忠男製品を購入するなら、SP忠男ダイレクトストアがお薦めだ。

SP忠男(スペシャルパーツ忠男)

工賃無料!出張取付サービス

機械イジリが苦手な人にとってマフラー交換はたいへんな難作業。ショップに依頼しても思った以上に工賃がかかるものだ。ところが、SP忠男ダイレクトストアでSP忠男製マフラーを購入した場合、なんと取付け工賃が無料! しかも、世界中どこでもSP忠男のメカニックが出張してくれるのだ。申し込みはマフラー購入時に「出張取付け希望」と申し出るだけ、交通費はユーザー負担となる。

ダイレクトストア『限定エンブレム』を選択可能

SP忠男ダイレクトストアでのマフラー購入者向けサービスとして、ダイレクトストア限定エンブレムが用意されている。専用デザインを採用しており、カラーは赤と青の2タイプから選択可能。他では絶対手に入らない、プレミア感抜群のエンブレムだ。

通常版のエンブレム(写真左)と、SP忠男ダイレクトストア限定のエンブレム(写真右)。限定エンブレムは写真の赤の他、同デザインで青いタイプも用意されている。どのエンブレムを選ぶかはユーザーの自由だ。

不要ノーマルマフラー回収サービス

マフラーを交換した後、始末に困るのが取り外されたノーマルマフラーだ。JMCA取得、政府認証マフラーのSP忠男製マフラーは車検対応なので、ノーマルマフラーを保管しておく必要も無い。しかし処分するには費用がかかる…。SP忠男ダイレクトストアでマフラーを購入した場合、不要になったノーマルマフラーを無償で回収してくれる。マフラー出張取付けを依頼すればマフラー交換時に回収してくれるし、それ以外はSP忠男上野店にマフラーを送ればいい。その際の送料はユーザー負担となる。

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