
まずチェーンカバーを車体前方に被せる。カバーは前方部分を分かりやすくするために赤いワンポイントが施されている。車体後方にかけてシートを被せてゆく。カバーの縁に重りとなるウエイトチェーンが入っているため、ごく自然にバイクを包み込む。車体全体にカバーを被せたら、ファスナーを下げる。これだけの作業で完了だ。煩わしい車体下部のベルト装着や、引っ張りながらバイクを何周もしなければならないようなゴム紐も使われていない。
自動車と違い、シート、コクピット、エンジンなどすべてが外部にさらされているオートバイの場合、バイクカバーは必需品だといえる。私自身、四半世紀以上のバイク歴において、幾度となくバイクカバーを購入してきたが、一長一短、というよりも、どれも似たようなものだった。
そんな中、ここで紹介する『チェーンカバー』というバイクカバーは画期的なアイデアが盛り込まれており、その内容を知るだけでワクワクせずにはいられないものだった。
チェーンカバーを生み出したのは、ヘルメットをはじめ様々なバイク用品を手掛けているリード工業だ。チャレンジングかつフロンティアスピリットを持つ社風によって、これまでも多数のヒット商品を世に送り出してきたブランドである。
チェーンカバーの最大の特徴は、バイクカバーの裾に“重り”となるウエイトチェーンが仕込まれていることだ。そのことにより、バイクに被せた際、重力によっておのずと裾部分に下方向のテンションが掛かる。これこそがポイントなのだ。
既存の一般的なバイクカバーの場合、薄手のものだと風などの影響で被せにくいし、厚手の素材であってもミラーやステップに引っかかることはよくある。チェーンカバーでは、そもそも下方向に力が作用しているので、バタつかないうえに、ステップなどに引っかかっても、裾に仕込まれたチェーン部分を持ち、一振りすれば、引っかかりが落ちるのだ。
実際にチェーンカバーを使用してみるとわかるのだが、最初こそこれまで使ってきたカバーと異なるため、やや違和感があったものの、慣れてしまえば投網の要領で使うことができ、秒速でカバーをかけることができる。いちいちバイクの周りをまわってカバーがちゃんと被っているか確認する作業も省けるので省スペースでも使うことができる。そして車体下部を通すようなベルトも持たないため、エキパイが冷めるのを待つ時間も必要無い。
チェーンカバーの開発は、そもそもバイクカバーの下についている固定ベルトが熱で溶けやすく、バイクが冷めないと使いにくいため、固定ベルトをなくしたいと考えたところからスタートしたとのこと。ベルトの代わりに後ろにファスナーが装着され、最初の使用時にサイド部に備わったアジャスターベルトを調整しておけば、その後はファスナーの操作だけでバイクから飛ばされることはなくなるのだ。
性能云々以外の部分も付け加えるならば、チェーンが内蔵されているということもあり、通常のバイクカバーと比べやや重い。そのために未使用時に風で飛ばされる心配も少ない。そもそもバイクカバーというものはあまり持ち運んで使うことはないものなので、少々重くてもよいのである。
これまでのバイクカバーが何だったのかと考えさせられる画期的な新商品『チェーンカバー』、その使い勝手を、多くのライダーに早く知っていただきたい。
カバー左右にアジャスターベルトが備わっている。最初に使うときだけ愛車のサイズに調整しておけば、その後は後方のファスナーだけで、カバーが飛ばされることはなくなる。
車体への固定は後方に備わったファスナーとなる。慣れてくれば、本当に数秒でバイクカバーを被せることができるようになる。「GRAVITY EFFECT(重力の作用)」というロゴが描かれている。
カバーの前後に、外部ロック用のスリットが備わっている。なおカバーの前後や、バックミラーがあたる位置が分かるように、前方には赤いパーツが、バックミラーの部分にはグレーのパーツが使われる。
CHAIN COVER〔チェーンカバー〕BZ-955A
L:11,250円(税別)
LL:12,000円(税別)
3L:12,500円(税別)
4L:15,000円(税別)
ウエイトチェーンのおかげで、未使用時もまとまりがよく、風で飛ばされることもない。この画期的なチェーンカバーの使用動画が、リード工業のホームページでアップされているのでチェックして欲しい。