掲載日:2023年12月20日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターブームの頃には、新車の時点でライトなカスタムが施されたコンプリート仕様の車両が、各車から販売されていた。購入後すぐにカスタムを施すのならば、エアロやローダウンなど、最低限のパーツがすでに装着されているという状態は、リーズナブルな価格設定も魅力的であり、ビッグスクーターの世界に足を踏み入れたばかりの初心者にとっては、改造されているカスタムコンプリート車の存在は、とてもありがたいものだった。
今回紹介するオールシルバーのヤマハ・マグザムは、ピットインオートが2006年当時に手掛けていたコンプリート販売車の中の1台だ。エアロは、同店オリジナルブランド、B’s styleとC’s styleのフロントリップとリアスポイラーを装着。マフラーも同じくB’s styleとして販売していたマグザムに装着可能なKERKERマフラー。そして、ハンドル各部や足周りなどは、しっかりとフルメッキ化され高級感をアップ。シートもオリジナルに張り替えをしており、全体的にラグジュアリーな雰囲気を持つスタイルへと仕上がっていた。
当時のノーマルマグザムの新車価格が68万2500円。こちらのコンプリート車の価格が103万円。2点のエアロは純正色に塗られており、マフラーと合わせるとすでに12万を超える。これに、ローダウン、各部のフルメッキ仕上げ、ハンドル周りのパーツ交換、シート張り替えにインナーも塗装されている状態でこの値段というのは、当時でもかなりお買い得な値段設定だった。こういった車両の存在がビッグスクーターの初心者ユーザーを支えていたことが、業界全体の流行に繋がっていたのだ。
フロントとサイドにエアロは装着せずに、ヘッドライト下部のみにC’s styleフロントリップスポイラーを採用。純正ボディのエッジ感を踏襲するようなデザインで、視覚的なローダウン効果も期待できるアイデア品だった。
小振りでシンプルなリアスポイラーも、ピットインオートオリジナルのB’s style製。ラグジュアリー感を強調できるさり気ないデザインが特徴。純正トランクがセンター部分を中心にして、左右になだらかにボディラインが形成されていたため、この製品もセンター部にエッジを作って純正トランクに似合うデザインを生み出していた。
KERKER製マフラーは、マグザムにそのまま装着可能なボルトオンスタイルで、ピットインオートがB’s style名義で正式に販売していたもの。このアルミ製以外にも、部分メッキ、オールメッキ仕上げの3種類がラインナップされていた。
シートはタンデムバックレストまで含めて、全て張り替え済み。ボディカラーに合わせて基本はシルバーを使いながら、センター部分のみタックロールデザインにして、ブラックを採用。ボディに合わせた2色使いが印象的。
カスタムを楽しむうえで意外と予算が必要になるのがメッキ化だ。ホイールやフロントアフターフォークなど、一度外して作業する必要があるのも、高額になる理由。ピットインオートのメッキは、質感が高くさらに耐久性抜群という、プロショップに定評がある仕上げだったこともポイント。
ハンドルバー、ブレース、メッキマスターシリンダーやレバー類、スイッチボックス周りもフルメッキ化と、こちらも徹底して仕上げられている。パーツ代、メッキ並びに交換工賃を追加するとそれなりの金額になるため、この新車カスタムコンプリートがいかにお得だったか分かってもらえるはず。
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