掲載日:2023年11月08日 プロが造るカスタム
取材協力/YSP西東京 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターブーム当時、ヤマハ正規販売店である各YSP店も精力的にカスタム車を製作していた。今回紹介するのは、当時はYSP練馬と呼ばれ、現在はYSP西東京として活躍するディーラーが2006年に製作したグランドマジェスティとなる。フロントマスクからサイド、アンダーへと描かれたド派手なファイヤーパターン。それに合わせて内外装もメタリックパープルへと彩られ、アメリカのカーカスタムカルチャーをオマージュした作品に仕上がっている。
特筆すべきは、ヤマハディーラー店が製作ということで、過度なローダウンもせず、見た目よりも実は実用的な内容を集約していることだ。そのため、エアロパーツはフロントフェイスのみ。足回りはバネサス、マフラーも性能重視のスーパートラップで走りを楽しめる仕様を追求。そして、外装のペイントに合わせて、フロントヘッドライトのHIDプロジェクター化や電飾加工により、闇夜のライディングでも存在感を主張するスタイルに変貌させた。
あの時代は、過激なハードカスタム車を次々と繰り出す専門店に対して、初心者でも親しみやすいライトカスタムを盛り上げる役目を担っていたのが、こういったディーラーの存在だったのだ。しかしモラルの徹底化により、ヤマハだけではなく全社ディーラー店がビッグスクーターのカスタムから手を引いた、というのがブーム終焉のひとつの要因である。どちらが偉いという論争ではなく、相反するスタイルを関係各社がたくさん生み出すことで、それぞれのウィークポイントを補い合った結果が、あのブームだったわけだ。あの頃のような大流行とまではいかなくても、ユーザー層を獲得していくためには、ディーラーが務めていた初心者ユーザーをいかに楽しませるか、がポイントになるのだ。
エアロはシンプルなデザインが特徴のデイトナ製。HIDプロジェクターを採用した独特の目つきが懐かしい。
インナーパネルは全てメタリックパープルで統一。ハンドル周りもしっかりとメッキパーツで統一し、高級感を向上させている。ミラーはワイズギアから発売されていた視認性に優れたブルーミラータイプ。
ワンオフで張り替えたシートも、車体ベース色のメタリックパープルを基調に、座面とパイピングをファイヤーパターンに合わせてオレンジへと変更。
1990年代の一大ムーブメントを巻き起こしたマフラー、スーパートラップ。このGマジェにはディスクバッフルが表に無くサイレンサー内部に設置されたことで、外観が一般的な形状を持つ希少なインターナルタイプを採用。
トランクスペースに鎮座するのは、キッカーのアンプとウーファー。利便性よりも趣味性を高めるためのオーディオカスタムは、ビッグスクーターの定番だ。
ローダウンは前後共に40mmのみ。ホイールはリムをポリッシュ、スポーク部は粉体塗装(パウダーコート)でホワイトに塗り分けることで、クルマでいう2ピースホイールのような雰囲気を演出。
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