掲載日:2023年05月31日 プロが造るカスタム
取材協力/S-SHOP DESIGN
取材・写真・文/ガスグラフィックス
スクーターの様々なカスタムジャンルの中でも、最近見かける頻度がかなり少なくなってしまったジャンルがスポーツコンパクト、いわゆるスポコンだ。ピンクやイエローなど、ド派手なボディカラーに、関係しているパーツメーカーのロゴを入れたグラフィック。そして、リアスポイラーは4輪からヒントをもらったGTウイングを装備。このジャンルの先駆者は湘南エリアであり、今でもドリフトに関連する有名ショップ=プロショップウェーブが、その当時、ビッグスクーター業界にも深く携わっていたことが関係している。その後、2006年に「ワイルドスピード TOKYOドリフト」が上映されたことで、そのスポコンブームは全国的に過熱。速さを連想させるそのスタイルは、ビッグスクーター界の中で大きな一派を形成していた。
そんな懐かしのスタイルをあの当時に手掛け、さらに今現在も現役で活動しているのが、大阪のプロペイントショップのエスショップデザイン(S-SHOP Design)だ。今回登場したこのマジェスティは、2006年頃に同店が制作したものだ。当時最先端の塗料だったEKISHOW(エキショウ)を使ってライトパープルに彩られ派手だが、グラフィックは控えめにするなど湘南と大阪の違いを感じ取れるのが興味深い。
しかし、この特徴的な色合いと目立つGTウイングこそスポコンの共通項のアイコンであることは間違いない。しかも、ここに装着されているウイングは、エスショップデザインがオリジナルエアロとして発売したGTウイングとなる。一般的な製品と比較すると、その構造はかなり特徴的。リアスポイラーとGTウイングが混在したデザインは、発表当初から注目を集めたのは間違いない。しかも、プロペイントショップがオリジナルエアロを作ったというこの事実は、ビッグスクーターが最盛期を物語る、貴重な商品のひとつとも言えるだろう。
ボディ全体に塗装されたライトパープルは、EKISHOW(エキショウ)を使って塗られている。テレビモニターなどで使われている液晶をパウダー処理し、それを塗料として開発されたもので、マジョーラもこの塗料の一種。光沢の加減で驚くほどその色合いを変化させる。
3連メーターからベース車両は2代目マジェスティ(5GM)であることが分かる。一般的にマジェCと呼ばれる5SJのマイナーチェンジ前モデルであり、つまりハンドルカバーが付いた、ビッグスクーターがオシャレな乗り物と言われる以前のモデルである。そのため、カバーを取り外してからこのハンドルを装着していることになり、ビッグスクーターが大ブームとなる直前には、当たり前のようにユーザーがやっていた手法なのだ。なおインナーカウルもEKISHOWで塗装済み。
エアクリーナー、リアサスペンション、クランクケースカバーにはメッキパーツを装着。一方、プーリーカバー側はラメ入りペイントを施してあり、オールメッキとしないこのアイデアはプロペイントショップならでは。
タンデムバーから延長して造形という、非常に珍しいデザインで生み出されたエスショップデザイン製GTウイング。既存のデザインは4輪でポピュラーなスタイルをビッグスクーターに取り入れたものが多かったが、それでは後付け感が高まってしまう。マジェスティならではの造形を上手く融合させてGTウイング化したレアパーツと言えるだろう。
リア側からGTウイングを見ると、このようなスタイルとなる。ウイング本体はFRP、左右の翼端板をカーボンと分けているのも特徴。タンデムバーから続くリアスポイラーにGTウイングを追加したようなデザインのため、リアテールの一部が隠れるのもポイント。
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