掲載日:2022年03月09日 プロが造るカスタム
取材協力/カスタムショップエタニティ 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターブームの中では、様々なカスタムテクニックが流行していった。その中でも、見た目のインパクトで最も重要とされるペイント術で流行したのが、ラップペイントだった。塩化ビニル樹脂、いわゆる食品用ラップを使って表現する独特のデザインで、ビッグスクーターに限らず、クルマ、バイクのあらゆるカスタムジャンルで活用されているので説明するまでもないだろう。
ここに紹介するスカイウェイブ(CJ43)は、エタニティが製作した車両だ。マジェスティCを中心とした商品展開をしていた同店が、スカイウェイブのエアロも開発。その記念すべき作品として2006年にこのフロントフェイスが誕生している。ラップ塗装や各部に採用されたメッキ加工の煌びやかさから、車両全体はグリッター(派手系)スタイル。しかし、フロントフェイスに目を向けると、スカイウェイブのボリューム感に合わせ、同店がマジェスティ系で築き上げたシンプルラインを継承する造形美で注目を集めたのだ。
それにしても、このスカイウェイブにはあの時代の華やかさがそこかしこに散りばめられている。あの時は当たり前のように購入できた様々なパーツも、16年が過ぎた今こうしてみると、貴重品となっているものが多数ある。新井コウテツによるロングホイールベースやカスタムガレージフリーダム製スピナー、ボスコム製テールランプなどは、正にその象徴。一方で、ブレス製エアロやマッドスピード製エアロは、現在も購入できるという奇跡も起こっている。遠い過去のブームを懐かしみつつ、今手に入れることができる情報とアイテムで、今のシーンを築いていく。そんな楽しみ方が、現代には求められている。
大きな純正ヘッドライトを小振りに見せることが定番だったこの時代に、その大きさを逆に利用してフェイス部分をシンプルに作り上げたのが特徴。メーターカバーをカットするタイプで、純正と比較して10cmほど低くなる。フロントフェンダーはマッドスピード。メーカーとしての歴史は終了しているが、そのブランドを継承した後継者により、密かに商品の販売が継続されている。
ボディラインに寄り添うように配置されたサイレンサーもエタニティによるもの。サイレンサーは汎用として現在も販売されている。リアの2枚重ねのスピナーはフリーダム製。上面と下面のブレードで、ブルーのペイントデザインを真逆にしているのがポイント。
リアスポイラーはブレス製。こちらも受注生産ながら販売が継続されている商品。クルマのようにハイマウントストップランプを装着できる穴有りと穴無しの2種類あり。リアアンダーカウルはマッドスピード。全面クリアのリアテールも、日本製としてユーザーに愛されたボスコム製。
エタニティはオリジナルシートの製作にも昔から力を入れている。このタックロールタイプは、かなり小型のタンデムバックレスト付き。タンデムバーはビッグスクーターでは当たり前だった左右一体タイプではなく、それを完全に左右別仕上げとしたワンオフ品。
スカイウェイブにはハンドルバーがインチ仕様のSSというグレードが販売されていたが、この車両はそのSS用インチハンドルを活用することで、ハーレー用ビレットグリップを装着したもの。レバー、マスターシリンダーもメッキ加工を施して統一感をアップ。スワロフスキーが貼られたモニターも懐かしいアイデアだった。そのモニターで隠されてしまっているが、メーターにはELメーターも装備している。
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