掲載日:2021年11月24日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターが大流行していた時代は、現在のようなカスタムショップではなく、各メーカーのディーラーがオリジナル商品を開発販売しカスタムを請け負うことで、このジャンルが盛り上がっていた。その後ハードカスタムが主流になり、バイクメーカーによるビッグスクーターカスタムへの評価が変化。さらにブームに陰りが見えたこともあり、その結果、このジャンルに貢献していた各ディーラーのほとんどが撤退してしまったのだ。しかし、それらの店舗は、バイク販売店として今でも業務を続けていることが多く、今回紹介するこのマグザムも東京都内の販売店として現役で活躍するピットインオートが手掛けたものだ。
2005年前後のブーム最盛期、ピットインオートではB’s styleというオリジナルブランドを中心にして、各車種に合わせたエアロやマフラーなどを開発販売していた。しかも、それらの商品を新車に装着し、コンプリート車両としての販売も展開。その結果、バイク販売店としてもトップランクに入るビッグスクーターブームの盛り上げ役のひとつとして注目されていた実績がある。同店が製作してきた車両のスタイルは、無加工で装着できるパーツでまとめたライトカスタムがメイン。ローダウンもバランスと乗り心地重視。エアロは派手さばかりではなく、大人も楽しめるシンプルなデザイン。マフラーは、老舗のKERKERと提携し、ビッグスクーター専用品として法令順守の音質を楽しませる、といったスタイルにこだわり続けてきた。実際このマグザムもノーマルのスタイルを尊重し、さりげないエアロと随所に煌めくメッキパーツを選定し、落ち着いた雰囲気を醸し出すラグジュアリースタイルを目指している。
本来のビッグスクーターが流行り始めた当初の状況を振り返ると、このようなライトカスタムがマーケットの主流にあり、そこから極一部のレベルの高いユーザーが、ハードカスタムへとステップを踏んでいった。現在はハードカスタムばかりが注目されているが、このジャンルに興味を持ってもらうための第一段階として、このようなシンプル系ライトカスタムの存在は、今の時代にこそ必要なのではないだろうか。
フロントフェイスやヘッドライト下に装着されたリップスポイラーは、どちらもピットインオートオリジナル。スクリーンをカットするチョップタイプだが、ヘッドライト側は純正品質を落とさないデザインがポイント。リップスポイラーは視覚的ローダウン効果を高めるアイデア商品だった。
一見ノーマルのように見えるが、シート下のサイドパネル部分もフロアサイドパネルとして正式に商品化されていたもの。本来であればインナーカウルとなる部分を外装と一体化したように見せてあり、色分けすることで純正との違いをさりげなく表現できる。シートも最近では少なくなったオーストリッチで仕上げた。
ハンドルはグリップ、マスターシリンダー、スイッチボックス、ミラーと全てメッキ化。この時代のメッキ関連商品はデイトナなどの日本の由緒正しいメーカーが販売していたため、品質は中国製コピー商品とは比較にならない。ブラウンに染めたインナーと共に、高級感とは何かを教えてくれるハンドル回りだ。
前後ホイールは純正にメッキ加工を施した。各部のメッキ化も信頼ある専門業者に依頼することで、質感、耐久性共に抜群の足回りに変貌する。最近はメッキ加工に資金を使うユーザーが少ないため、この煌びやかさに懐かしさを覚える人もいるだろう。
ピットインオートでは、KERKERの正規品としてビッグスクーター用マフラーを各車種用でラインナップしていた。図太い排気音を奏でながらも騒音規制はクリア。さらに、マグザム用としては、フルエキゾーストタイプでアルミ、メッキ、オールメッキの3種類がラインナップされていたのだ。
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