掲載日:2018年05月16日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 撮影/山家 健一
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ278ccエンジンにF.I,システムを組み合わせた「Quasar」エンジンを搭載。現代のスクーターでは一般的なCVT(自動無段階変速機構)や自動遠心クラッチなどの駆動系が一体となったスイングユニット方式は、ベスパが最初に導入したシステムである。
ユーロ4対応としながらも最高出力は21psとパワフル。マットブラックのマフラーやホイールがレーシーな雰囲気。操作系のデザインを優先し、GTSスーパー300に搭載されているトラクションコントロールは省略されている。
あえてレトロな雰囲気にこだわったバルブ式のお椀型ヘッドライトを採用。ウインカーはベスパ特有のLEDポジションランプ兼用のビルトインタイプとなっている。かつては車体に直接ペイントされていたゼッケンはステッカーで再現されている。
メッキパーツで縁取りされた大きな角形テールランプが印象的なリアビュー。ボリューム感のあるボディ一体型リアカウルの左右には、フロント同様ビルトインタイプのウインカーを装備する。このあたりはGTS系と共通デザインだ。
前後12インチホイールに2チャンネルABSを装備することで安全性とハンドリングを向上。ブレーキも前後φ220mmディスクタイプを採用する。ホイール脱着が容易な片持ち式リンクアームフロントサスペンションはベスパの伝統だ。
レッグシールドに設置されたグローブボックスは容量は少なめだが、フラップ付きで小物などをスマートに収納できる。左側のヒューズボックスの下にUSB電源ポートを装備。
シートレザーは質感の異なる2種類を組み合わせたタイプで、白のパイピングとホワイトステッチ、そして座面の溶着ステッチなどを織り込んだ凝った作りだ。シート形状も後端部をやや盛り上げたシングルシート風のデザインになっている。
電動サドルオープナーによりスイッチひとつでロックを解除できるシート下スペース。ジェット型ヘルメットなどが余裕で1個収納できる容量だ。右後部には給油口が見える。
ほかのベスパのモデル同様、シート下スペースのトレーは簡単に取り外すことができ、ユニットスイング部分に容易にアクセスできるなど整備性の良さもポイント。ボディを形作る外装そのものが強度部材にもなっているモノコック構造がよく分かる。後端部にはリア側のツインショックが見えるはずだ。
高級感のあるアルミ製タンデムステップは引き出し式で、折り畳むとボディと面一に収納される作りになっている。こうしたディテールの美しさへのこだわりはイタリアンブランドならでは。
乗り降りしやすいフラットで広々としたフットレスト周りもベスパの特徴。滑り止めのゴムが前後方向にセットされていて、雨の日でも安心感がある。レッグシールドの縁に取り付けられたステンレス製のモールも独特だ。
シンプルでエレガントなメーター周り。円形のアナログ式メーターの上は燃料計で下に速度計を配置。その下のウインドーには時計と各種インジケーターを表示。研磨仕上げのウインドシールドも堅牢な作りだ。初期のベスパを彷彿させる金属パイプ製ハンドルバーがイイ感じだ。
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