ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツ
ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツ

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツ – 現行ベスパのトップモデル

掲載日:2013年02月26日 試乗インプレ・レビュー    

取材・撮影・文/田宮 徹

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの試乗インプレッション

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの画像

意外なほど俊敏なダッシュ力と
扱いやすいボディサイズが魅力

車体はコンパクトだが、シートポジションはやや高めで、身長167cmで体重66kgの筆者が、シート最後部にまたがった状態だと、両足のつま先が接地する程度。しかし、そこから少しだけ着座位置を前にずらすと、足着き性はだいぶよくなり、両足の裏が半分ほど接地する。車重は軽めなので、ベタ足でなくても支えているのに不安はない。

シートの前後長は、ライダー側のスペースが多めに確保されていて、このおかげで膝まわりには意外と余裕がある。フロアボードは、中央部にトンネルを備えているが、高さはかなり抑えられているので、フラットフロアタイプと同レベルで乗り降りはしやすい。

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの画像

搭載されるクオーサーエンジンは、アイドリング時にはやや振動が多め。ある意味で、クラシカルテイストなベスパのイメージとよく似合う。しかも、走り出すとこの振動は消えるので、長時間の走行でも不快な感覚はない。

さてこのクオーサーエンジンは、ベスパ以外にも多くの機種に採用され、そのスムーズかつパワフルな加速に定評があるが、もちろんこのGTS300i.e.スーパースポーツでも、その性能は健在だ。停車状態からのフル加速では、軽量ボディの恩恵もあって、クラシカルモデルらしからぬ機敏なスタートダッシュを披露。これといった落ち込みがないまま、一気に100km/hまで到達する。

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの画像

クオーサーのエンジン音は、国内メーカーの国内仕様車と比べれば大きめで、うるさすぎることはないが元気な印象。しかも、この機種に使われるスチールモノコックボディとの組み合わせでは、ボディとの共鳴や消音効果により、不快なノイズが低減されると同時に、ライダーへと伝わる低音が強調されて、非常に心地がよい。

車体はコンパクトかつライトウェイトで、市街地走行時などにとても扱いやすい。足まわりは、片持ち式のフロントまわりにリアツインショックの組み合わせと、クラシカルな設計ながら、超ハイスピード域でのコーナリングをのぞけば安定感は十分にあり、楽しくコーナリングできる。機敏な旋回で街を縫い、乗り心地のよさを感じながら時にはショートツーリングを楽しむ。そんな使い方にも向いている。

ただし、左コーナーではやや注意が必要。安定感のある車体は、とくに気を遣うことなく深めにバンクさせられてしまうが、左側のバンク角は浅く、スタンドの接地が思いのほか早いからだ。

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの画像

ボディや足まわりの基本デザインには、古くからの伝統を取り入れているが、必要な部分にはしっかり現代的な技術を取り入れているのも、最新ベスパの魅力。このモデルの場合、パワーユニット以外にそれを感じられるのがブレーキだ。高性能でハイスピード走行が可能なエンジンに対応するため、ブレーキは前後ともディスク式を採用。そしてこのブレーキシステムは、前後連動機能こそ与えられていないものの、非常にコントローラブルかつ制動力に優れる。100km/hくらいからでも、安定した素早い制動を可能としている。

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの画像

278ccという排気量は、日本では車検の取得が必要となるため、購入時には同じクオーサーエンジン搭載車ながら排気量が244ccのGTS250i.e.と、選択に悩むユーザーも多いことだろう。しかし、排気量に余裕があるぶん、出力特性の低回転化とトルクアップを達成した278cc仕様のエンジンは、さらなる機敏なシティランを可能としている。今回は試す時間がなかったが、タンデム走行時にも余裕があることだろう。

昔ながらのレトロなスタイリングの中に、あっと驚く機敏さを隠し持った女王蜂を、ぜひ多くのスクーター好きに楽しんでもらいたい。

ベスパ GTS300i.e. スーパースポーツの詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索