マラグーティ ブログ ルーフ160ie
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マラグーティ ブログ ルーフ160ie – 屋根付きスクーターが誘うコンフォータブルな走り

掲載日:2010年12月08日 試乗インプレ・レビュー    

屋根付きスクーターが誘う
コンフォータブルな走りとは・・・

イタリアは日本と並んで多くのメーカーを擁するバイク大国だ。ドゥカティやモト・グッツィ、アプリリアは言うに及ばず、ベスパ、ピアジオ、アディバなどスクーターでも世界にその名を知られるブランドが数多くある。その中のひとつ、マラグーティはバイクの街としても知られるボローニャ郊外に本拠地を置くスクーターメーカーだ。第2次世界大戦後に自転車製造から出発したマラグーティは、職人気質を感じさせるお洒落で個性的なデザインが特徴である。今回ご紹介する「ブログ ルーフ160ie」はユニークな屋根付きスクーター。大きな風防と屋根、本格的なワイパーを備えることで、雨天や風、夏の日差しなどからライダーをプロテクトし、快適なライディングを実現するものだ。バイクの機動力にクルマの快適性を取り入れた、新感覚のコミューターの実力をチェックしてみたい。

マラグーティ ブログ ルーフ160ieの試乗インプレッション

マラグーティ ブログ ルーフ160ieの画像

快適性は捨てがたいが
失うものもある

ブログルーフの第一印象は「普通」な感じ。スタイリングも特に斬新さを感じさせるものはないが、これは国産スクーターにも最近はけっこうアバンギャルドな雰囲気を持ったモデルが多くなったからかもしれない。ただ、大きな違いは「屋根付き」ということ。それも、ピザのデリバリーなどで見かけるタイプより、本格的な構造物になっている。がっしりしているが重そうだ。乗り込もうとするとヘルメットが屋根に当たった。ルーフの高さは自分の身長とほぼ同じぐらいだが、乗り降りにはちょっとした慣れが必要だ。データを見ると全高は183㎝なので、走行中に注意する必要はまずないのだが、それでも地下駐車場などに入っていくときはちょっと心配になるときはあった。走り出しは少し重い。大柄な車体に対して4スト160ccの排気量は少々荷が重いのかも。

マラグーティ ブログ ルーフ160ieの画像

スロットル全開で引っ張っていけばクルマの先頭を走ることもできるが、屋根付きによる重量増や空気抵抗の分を考えると250cc程度は欲しいところだ。ブレーキは前後とも良く効くしコントロール性も悪くないのだが、現代の交通環境や全天候型モデルというキャラクターを考えたら、欲を言えばABSを装備してほしいところ。サスペンションは欧州のスクーターらしくけっこうカッチリした印象でギャップにもそこそこ対応してくれる。直進安定性はまずまずで、高速道路を巡航しているときでも直立付近はどっしり感がある。一般的なスクーターと違うのは倒し込みのときで、想像はしていたが“グラリ”とくる。旋回に入ってバンク角が決まればまた安定するのだが、その間がちょっと心もとない感じだ。屋根を含む構造物は6㎏程度ということだが、やはりトップヘビーな感じは否めない。強風のときは当然影響を受けるし、渋滞路など低速でバランスを取らなくてはならないときなども、スクーター特有の遠心クラッチのタイムラグも含めてバランスに気を遣う場面もあった。ただ、バイクを降りて取り回してみると体感的な重量は国産250ccクラスと同レベルかむしろ軽いぐらい。これは慣性力の問題。マスが分散しているので仕方ないのだ。

一方で最大のウリである「屋根」そのものは素晴らしい。まず作りが本格的なので安心感がある。屋根と一体型のフロントスクリーンも剛性感があり、走行中のガタやビビリなどもほとんどない。視界もクリアで走っていると目の前にスクリーンがあることを忘れてしまうほど。防風効果も高く、今の時期でも防寒着がいらないほどだ。ワイパーもクルマ並みにしっかり作られていて作動も滑らか。雨天で試せなかったのがむしろ残念だ。ただ、側面は守られていないため、本格的な雨天では肩から腕、下半身などは濡れてしまうだろう。ブログルーフに多くを期待するのは酷だ。むしろ、私だったらビジネスに使い方を限定したい。冬でも軽装で乗れて、ちょっとした雨の中での移動にも便利なシティコミューターとして活躍するモデルだと思う。さらなる快適性や機動力など、より多くのポテンシャルを期待するなら大人しくクルマやバイクに乗ればいいのである。

マラグーティ ブログ ルーフ160ieの特徴は次ページにて

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