スズキ ジェンマ
スズキ ジェンマ

スズキ ジェンマ – 何者にも似ない個性的フォルム

掲載日:2008年12月25日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

スズキ ジェンマの試乗インプレッション

スズキ ジェンマの画像

今までのビッグスクーターには無い
異次元のクルージングフィールを満喫

乗った瞬間に戸惑った、と言えばいいのだろうか。形は個性的でも、いわゆるビッグスクーターだからそう変らないだろうと思っていたが、すぐに間違いだと気づいたのだ。確かに、変速機構は一般的なビッグスクーターに採用されている無段階変速で、特に変わったシステムは付いていない。しかし、走り出すとこれまでのバイクとは違う走行感覚に驚かされてしまうのだ。地を這うような走り、といえばいいのだろうか。低く長いボディが静かに加速し、ロングホイールベースによってぴたりと安定する。特に高速道路のクルージングは格別で、クルマの流れの間をすべるように走り抜けていくのだ。250cc単気筒エンジンゆえに急激な加速や驚くような最高速という点ではもう少し力が欲しいと思うかも知れないが、ジェンマの面白さはそこではない。ロードスポーツに比べ頭二つ分は低い視点と、タンデム時にも安定感のあるボディは、ゆったりと流すクルージングに最適で、まるで波間をたゆたうような心地よさがある。このとろけるようなクルージング感覚は、ビッグスクーターともクルーザーとも違う快感だ。また、風の抵抗も思ったより少なく、時速100km/hの巡航なら風圧が苦しいということも無いだろう。

スズキ ジェンマの画像

クルージング以外でも、ジェンマは優等生だ。さすがにタイトなコーナーが続くワインディングでは本領を発揮できないものの、それ以外の街中や郊外の道など、いずれも快適な走行が可能だ。特にブレーキが秀逸で、コントロール感はソフトだが、本気でレバーを引き込めばかなり強力なブレーキングが可能だ。これくらい扱いやすくて効きがよければ、荷重がかかるタンデムライドでも安心だろう。サスペンションもほどよい硬さで、高速道路での安定性を確保しながら、街乗りで求められるソフトさも十分。とはいえ、ジェンマ最大の魅力はやはりクルージング。正直に白状してしまうと、あまりにも楽しかったため、深夜の首都高速をぐるぐると流した上に、常磐道で茨城方面まで往復してしまった。この新しい感覚は、乗れば乗るほど癖になってしまいそうだ。

こんな方にオススメ

上質なクルージングバイクを求める
大人のライダーたちに捧ぐ

週末はパートナーとタンデムでツーリングに、というライダーなら、ジェンマは是非とも視野にいれておきたいバイクだ。お互いの会話が聞こえる静粛性を備え、ライダーもパッセンジャーも快適に過ごせる居住空間を持つバイクは意外と少ない。やみくもに飛ばすのではなく、じっくりと二人の時間を味わいたい大人にこそ、ジェンマはふさわしいと言えるだろう。また、ルックスが気に入ったというライダーにもおすすめ。既存のバイクと同じカテゴリでくくれない独創的なスタイルはかなりの注目度。実際今回の試乗でも、料金所を通るたびに話しかけられてしまうほどだった。この個性は、自分だけのものにする価値があるはずだ。

総合評価

ビッグスクーターとくくりたくない
新発想のタンデムクルーザー

ジェンマは、世間のカテゴリで言うとビッグスクーターに分類されるバイクだ。しかし、個人的にはオートマチックだからといって、安易にそのカテゴリに入れてしまいたくはない。機構的にはそうかもしれないが、あの街をすべるようなクルージング感覚は、これまでのバイクでは味わえなかったものだ。それにしても、最近のオートマチックモデルの進化には、毎回驚かされてしまう。ただ変速動作が自動で行われる、というだけでなく、新しい走りの面白さを提案してくれることが多く、ますます目が離せないカテゴリになっていくのではないだろうか。特に今回試乗したジェンマは、走行距離が伸びるほど深い快感がじんわりと伝わってくる、新感覚のクルージングマシンと呼ぶにふさわしい存在だった。スペックや変速機構だけで、バイクをカテゴライズする時代はそろそろ終わりに近づいてきているのかもしれない。そんなことを感じさせてくれるジェンマは、乗ってみる価値のあるバイクと言えるだろう。

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