ヤマハ ドラッグスター400 長期インプレ vol.06【未舗装路編】

掲載日:2016年05月10日 トピックス    

取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)

意外と出くわす、未舗装路での走行に備える!

誰もドラッグスター400で好き好んで林道に入ったり、ダートを楽しむ人はいないでしょう。ただ、ロングツーリングをしていると、ときにはどうしても走らなければならないときがくるものだ。

たとえば、一時的にアスファルトをはがしてある工事中の道、山奥のキャンプ場への私道、イベント会場の特設駐車場など、意外と砂利道など未舗装路を走らなければならない機会は多い。今回はそんなときのため、未舗装路での走行性能をチェックします!

未舗装路の中にも、砂利道や土道、川原、砂浜のそば、木の根が這う林道など、さまざま種類がある。なかでも普通にツーリングをしていて、たびたび走らなければならない状況になるのが、細かい砂利道だ。

写真のようにフラットにならされているところであれば、スピードを出さなくていいという前提のもとならドラッグスター400でも問題なく走れる。ただ、走ってもあまり楽しさは感じられないので、距離が長くなると億劫になるだろう。

また、フォワードコントロールでステップ位置が前にあるため、スタンディングでの乗車ができない。お尻でショックを吸収することになり、腰に響き、走破性も低い。

未舗装路での走行性能でポイントとなるのがサスペンション。クルーザーモデルの前側サスペンションはキャスター角があり、ハンドリングが重め。大きい石などに前輪が乗りハンドルを取られてしまうと操作が利かなくなる恐れがあるので、未舗装路では慎重に進む必要がある。

ただ、砂利道や土道を走っていてサスペンションのショックを吸収する能力自体は意外とイケる印象だった。19インチというタイヤサイズやショックを吸収するサイドウォール(タイヤの側面)が広いこともこの要因と考えられる。

リアサスペンションはリジット風に見えて、見えないところにモノショック(中央に一本の)サスペンションが搭載されている。

乗車時はサスペンションの上に座っている状態となるのだが、未舗装路を走っているときにはあまりショックを吸収してくれている感じはなく、けっこうダイレクトに衝撃が伝わってきた。長距離の走行はやはり腰に悪そうだ。

また、覚えておかなければならないのは、タイヤが前後ともにチューブタイプだということ。チューブタイプは、チューブに穴が開いてパンクをしてしまうと一気に空気が抜けて走れなくなる。やはり進んで未舗装路へ飛び込むことはおすすめできない車種なのだ。

未舗装路での注意点

低速時のトルクが強いため、未舗装路で発進するときは慎重に行なわないと、写真のように空転し、ズリッと簡単に滑る。雨の日の発進と同じく優しくアクセルを開けていくといい。

未舗装路での停車は比較的行ないやすいスタンドだ。左に大きく傾くことと、スタンドの先端面が広いことがその要因。写真のような細かい砂利ならさほど気にすることなく停められる。それでも砂地やぬかるんだ泥の上ではスタンドが潜ってしまうので、平らな石や潰れた空き缶などを見つけてスタンドの下に敷くようにしよう。

未舗装路で面倒なのが方向転換やUターンだ。ドラッグスター400はその点では優れている。シート高が低いため、バランスが崩れたとき、パッと足を付くことができる。また、フォワードコントロールなので、ペダルから足をスライドするだけで写真のような体勢になれて安心。足を着く際は踵から着いて、つま先から抜けるようにするとスムーズだ。

砂利道よりも頻度は少ない土の道。こっちの方がやっかいだった。低速時のトルクが強いため、ぬかるんでいると土に後輪が潜ってしまう。かといってスピードが出せるわけでもない。同様に嵐のあとや紅葉の時期など、落ち葉の上での発進・走行は充分気をつけたい。

とはいえ、県道や市道の脇に人がなかなか入らないような魅力的な場所を見つけたら走りたいものだけど……。

そんなマニアックな道を抜けると、爽快な風景が広がっていることもある。自分だけの景色を求めて自由に走るのもバイク旅の醍醐味だと筆者は思う。

ドラッグスター400は、見た目のイメージの通り、オフロードをバリバリ走れるバイクでは決してなかったが、シート高が低い分、ネイキッドやスポーツモデルよりは「転びにくそうな」安心感がある。

キャンプ場までの未舗装路の私道程度なら充分走れる。「あ、未舗装路だ、やめておこう」と危機管理する気持ちと、自分の腕に応じて「このくらいなら走れる」という見極めを行なって各々の判断で楽しんでみてほしい。ただ、無理のしすぎと、パンクしそうな路面、はまったら抜けられなさそうなぬかるみや砂地には充分お気をつけて!

次回は、苦手な人も多い夜間と雨天でのインプレッションを行ないます。

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