ロードホッパー TYPE2i  ZERO FIGHTER
ロードホッパー TYPE2i  ZERO FIGHTER

ロードホッパー TYPE2i ZERO FIGHTER – アートとプロダクトが融合したカスタム魂満載の量産車

掲載日:2014年12月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一

ロードホッパー TYPE2i ZERO FIGHTERの試乗インプレッション

ロードホッパー TYPE2i  ZERO FIGHTERの画像

ライダーの感性に訴えかける
古典的で新鮮な乗り味が楽しい

どこか蒸気機関車を思わせる、メカメカしい外観。エンジン剥き出しのリジッドフレームにいかにも機械っぽいスプリンガーフォーク、巨大なドーナツのようなバルーンタイヤ…。ゼロファイターに対面すると、まるでタイムマシンに乗って70年前にタイムスリップしたかのようだ。クラシック風カスタムには今まで何度か乗ったことはあるが、ここまで本物志向の完成車は初めてだ。しかも、正確にはカスタムではなく、ノーマルの量産車。ちょっとしたカルチャーショックだ。

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ライディングポジションは意外にも普通。スポーツスター1200Cなどと比べるとハンドルは低く、ステップは後退して割と高い位置にセットされている。けっこう走れそうなライディングポジションだ。とにかく車体はスリムで、というかスケルトンのようで、タンクも小粒なピーナツ型なので、ニーグリップなどという言葉は存在しない。しかも、シートは自転車のサドルそのものなので、跨るというよりはちょこんと座るイメージだ。

エンジン始動。サウンドはノーマルのスポーツスターそのものだ。よく考えれば当たり前なのだが、外観のイメージが先行していたためか、ちょっと拍子抜けするほどおとなしい。まあ、環境への配慮と捉えれば、大人の選択としては妥当だろう。

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走り出すとサドルのバネがギシギシ鳴って、ギャップに乗るごとにスプリンガーのトップ部分がピョコピョコ持ち上がり、ハードテールの後輪がポンポン跳ね上がる。そんな擬音での表現がぴったりな、まさに“ホッパー”だ。こんな体験は初めてのこと。そして無茶苦茶楽しい! 異文化コミュニケーションというか、今とは違う時代に生きた人と出会ったような感動がある。現行モデルなのに不思議な感じだ。

それでいてよく走る。エンジンはスポーツスターだから、ハーレーの中ではミドルクラス。ビッグツイン系のような腹に響くドコドコ感はないが、歯切れのいい鼓動感で軽量な車体を前に押し出していく。

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ECUとインジェクションシステムはロードホッパー専用タイプということで、トルクの出方はスポーツスターと比べるとより弾けている。加えて、リアサスペンションやスイングアームを持たないリジッドフレームだから、路面を蹴る後輪のリアクションが直に身体に伝わってくる。このダイレクト感がまた気持ち良いのだ。

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スプリンガーフォークも一般的なテレスコピック式と比べるとストローク量が少ない。しかも構造的にパーツが重いので、ハンドリングはまったりとして重々しい。でも、それはそれで全体としてはバランスしており、走りは意外にも素直で扱いやすい。作り込まれたクラシカルな乗り味は、むしろ現代のマスプロダクト製品では決して味わうことができない美点だろう。

ライディングポジションのバランスも良く、バンク角もけっこう深い。コーナーではその気になればフルバンク的な走りもできてしまうほど。ただし無理は禁物。いい気になり過ぎると、ギャップで弾かれてヒヤッとすることも。ブレーキは前後ディスクブレーキが装備され、必要十分な効力を確保しているが、やはり穏やかな気持ちで、まったりとシティクルーズを楽しむのが向いている。

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スイッチひとつ、ランプ1個に至るまで、隙なく気配りされた造形の美しさ、質感の高さはこのモデルならでは。ちゃんと走って曲がって止まれる、現代の技術で作った本気のクラシックマシンとして、ライダーに訴えてくる官能性能はピカイチである。きっと、オーナーが得られる幸福感は大きいと思う。

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ロードホッパー TYPE2i ZERO FIGHTERの詳細写真は次ページにて

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