

掲載日:2011年10月13日 試乗インプレ・レビュー
新たなジャンルを築き上げた
パフォーマンスクルーザーの先駆車
クルーザー=ゆったりとした巡航を楽しむモデル。改めて考えてみると、そもそもこういった概念を作ったのは、1900年代初頭からVツイン各車の熟成を続けてきたハーレーなのだが、2002年に同社が発売したV-RODは、その概念を打ち崩すモデルだった。もちろん、V-RODにクルーザーとしての資質がないわけではない。ただし、スーパーバイクレーサーやドラッグレーサーの技術を取り入れて開発されたこのモデルには、既存のクルーザーとは一線を画する運動性能が与えられていたのだ。
V-RODが先鞭を付けた“パフォーマンスクルーザー”という分野には、後にヤマハ(XV1700ウォーリアー)やスズキ(イントルーダーM1500/1800)、ドゥカティ(ディアベル)なども参戦。一方のハーレー自身は、ナイトロッドやストリートロッド、市販ドラッグレーサーのVRXSEといった派生モデルを追加していくものの、5台をラインアップに揃えた2006年を頂点として、ここ最近のV-RODファミリーは縮小傾向にあった。ただし2012年度はアニバーサリーエディションが追加されたことで、モデル数が 2→3 へと増加している。
独自のスタンスを貫きつつも
フレンドリーさを身に付けた2012年型
V-RODの特徴と言うと……、他のハーレーを基準に考えるなら、このバイクは特徴だらけである。まず最大の注目点であるエンジンは、伝統のOHV2バルブ空冷45度Vツインではなく、ロードレーサーのVR1000(’90年代のAMAスーパーバイクに参戦していた)をベースとするDOHC4バルブ水冷60度Vツイン。フレーム形式は他のハーレーと同じダブルクレードルだが、他のハーレーが昔ながらのオーソドックスな手法で作られるのに対して、V-RODは水圧を利用したハイドロフォーミング製法。さらに言えば、吸気用スロットルボディが設置されるのはエンジン右側面ではなく上方で、クラッチはエンブレを抑制するためのスリッパー式で(2008年から)、ブレーキキャリパー/マスターはイタリアのブレンボ製で(2006年から)……といった感じで、V-RODを構成するパーツは、ことごとく他のハーレーとは異なるのである。
さて、そんなV-RODの2012年型には、VRCDX 10th ANV(生誕10周年 アニバーサリーエディション)、VRCDX(ナイトロッド)、VRSCF(V-ROD マッスル)が存在し、この3車の中でカラーリング以外は同じ構成のアニバーサリーエディションとナイトロッドが仕様変更を実施。ハーレー本社からは、テールカウルのデザインを一新したり、フロントフォークが正立→倒立式になったり、前後ホイールが新作となったり(前後とも約1400gの軽量化を実現)といった内容が発表されているものの、日本人にとって最もありがたいのは、ハンドルグリップ位置が約76mm、左右ステップバーが約25mm手前に移動したことだろう。手足を前方に投げ出す従来のライディングポジションは、無理な姿勢で荒馬に乗っている感があって、それはそれで面白いと言う人もいたけれど、日常的に乗るには少々ツラいものがあった。だが2012年型ではハンドルグリップとステップバーが手前に移動したことで、まずとっつきがすごく良くなったし、乗車中の手足に妙な力が入らないせいだろうか、ハンドリングも向上したように感じられるのである。 …この記事の続きをバージン・ハーレーで読む
価格(消費税込み) = 224万1,000円
V-RODはハーレー唯一の水冷エンジンを搭載するパフォーマンスクルーザー。生誕10周年を記念して発売される2012年型のアニバーサリーエディションでは、初期のVRSCAを彷彿とさせるカラーリングを採用しつつ、足まわりやライディングポジションを中心とした仕様変更が行われている(兄弟車のナイトロッドスペシャルも同様の変更を実施)。
■サイズ = 全長2,440×全幅890×全高1,065mm
■ホイールベース = 1,705mm
■最低地上高 = 115mm
■加重時シート高 = 650mm
■ボア×ストローク = 105.0 × 72.0mm
■最大トルク = 105Nm/7,000rpm
■タンク容量 = 18.9L
■燃費 = 17.9km/L(ハイウェイ) 14.5km/L(市街地)
■エンジン = Revolution (インジェクション)
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