ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ
ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ – 2009年モデルで熟成されたFXDBのカスタムテイスト

掲載日:2009年02月12日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

ミニエイプハンドル採用の
カスタム色が濃いモデル

今回紹介するFXDBの話をする前に、ダイナファミリーについて少しおさらいをしてみよう。1960年代のビッグツインモデルには今のツーリングファミリーに当たるFLモデルしかなかった。しかし、ハーレーをベースにしたチョッパーなどのカスタムが隆盛になる中で、ハーレーもツアラー然としたモデルだけではなく、スポーツスターのフロント回りをFLモデルに移植した「FX1200スーパーグライド」を誕生させている。現在のダイナファミリーのルーツとなったのはこのモデルで、そこからショベルヘッド、エボリューションエンジンのFXRシリーズを経て、現在へと至った。現在では“ハーレーらしい伝統のスタイル”のように思われているダイナファミリーだが、過去を探ればメーカーが製作したカスタムモデルという位置づけもあったのだ。ここ数年、そういったカスタムDNAが色濃くなってきたのか、ダイナファミリーの動きが激しい。2005年モデルでクロームがきらびやかなFXDC、2006年モデルでFXDB、2008年にはデュアルヘッドライトが特徴的なFXDFが登場し、大いに注目を集めている。今回はその中からFXDBをチョイスし、その魅力を探ってみよう。

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 特徴

2009年モデルで熟成された
FXDBのカスタムテイスト

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真
ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真
ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真 ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真

FXDBが登場した2006年モデルは、ダイナファミリー全体に大きな仕様変更が加えられた年だった。ダイナファミリーのみ全モデルにインジェクションを採用、伝統的に装備されていたヘッドライトバイザーが取り外され、前年まではスポーツスターと同径だったフロントフォーク径が49mmと太くなっている。また、リアホイールが16→17インチ化、タイヤサイズも10mmワイドな160mmタイヤが装備されるなど、ファミリー全体に大きな変化が加えられた。ダイナファミリーの中でのFXDBの特徴はなんと言ってもエイプハンドルだろう。チョッパースタイルのワイドグライド(現行モデルではカタログ落ち)を除けば、ここまでゆったりとしたハンドルを装備したモデルはなく、他はスポーツライドに適したモノが採用されていた。エンジン腰下がブラックパウダーコート、シート下のカバー類もブラックアウトされたシックなカラーリングも個性的と言える。また、FXDLと並び、ファミリーで最も低い655mmのシート高も見逃せないポイントだ。スポーツスターファミリーと比較しても、FXDBよりシート高が低いモデルはXL883Lしかない。ハンドルポジションがゆったりとしており、フットポジションは体に近いミッドコントロール、そしてシート高も低いとなると、体格に自信がない人でも安心して乗ることができるはずだ。

と、ここまでが年式をまたいだFXDBの特徴。次に2009年モデルで仕様変更された部分に触れてみよう。好みが大きく分かれそうなポイントはエンジンカラーの変更だ。2008年モデルまでブラックパウダーコートされていたエンジン腰下部分が、2009年からはシルバーカラーとなっている。ブラックアウトされたエンジンを好んでFXDBをチョイスしていたユーザーからは評価が分かれるかもしれない。しかし、独自の個性的なパーツも採用されている点が2009年モデルならではの魅力と言える。FXDB以外にはソフテイルファミリーのFLSTSBにしか採用されていないカスタムテイスト溢れるブラックリムや、短くチョップされたリアフェンダー、クラシックテールライトなど、前年モデルよりさらにカスタム色が濃くなったと言えるだろう。さらに、新採用のチョップドストレートカットマフラーは従来のテーパードスタイルより、迫力のあるデザインで排気音の質も違う。登場当初からメーカーカスタムモデルのイメージがあったFXDBは、2009年モデルでさらにその度合いを増しているのだ。

エイプハンドルはダイナファミリーでFXDBのみが採用している。ノーマルのままでカスタム車のように見えるのが人気だが、ゆったりとしたポジションから得られる走行時の快適さも嬉しい。

ダイナファミリーで唯一のエイプハンドル

エイプハンドルはダイナファミリーでFXDBのみが採用している。ノーマルのままでカスタム車のように見えるのが人気だが、ゆったりとしたポジションから得られる走行時の快適さも嬉しい。

2008年モデルまでのテーパードマフラーから、より攻撃的なスタイルの形状へと変更。このスタイルのマフラーは規制に適合するスタイルながら、元気な排気音が楽しめるのも魅力的だ。

チョップドストレートカットマフラー

2008年モデルまでのテーパードマフラーから、より攻撃的なスタイルの形状へと変更。このスタイルのマフラーは規制に適合するスタイルながら、元気な排気音が楽しめるのも魅力的だ。

2009年モデルから採用したレトロスタイルテールライト。チョップドフェンダーと合わせて、ノーマルとは思えないコンパクトなリア回りを実現している。LED採用で後方からの視認性も◎。

レトロスタイルLEDテールライト

2009年モデルから採用したレトロスタイルテールライト。チョップドフェンダーと合わせて、ノーマルとは思えないコンパクトなリア回りを実現している。LED採用で後方からの視認性も◎。

全体の雰囲気を引き締めるブラックリムを採用。FXDFを除くダイナファミリーはホイールサイズが共通なため、FXDBのブラックリムは他のダイナモデルのカスタムパーツとしても流用できる。

カスタムテイスト溢れるブラックリム

全体の雰囲気を引き締めるブラックリムを採用。FXDFを除くダイナファミリーはホイールサイズが共通なため、FXDBのブラックリムは他のダイナモデルのカスタムパーツとしても流用できる。

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 試乗インプレッション

スタイル重視と思いきや
意外なほど素直な走りが楽しめる

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真スポーツスターに乗る私にとって、ダイナファミリーでの好みは車高の高いFXDやFXDCだ。そのため、実を言うとシート高が低く、カスタム色の強いFXDBの試乗には過度な期待はしていなかった。洗練されたスタイルは確かに魅力的なのだが、ダイナファミリーには多少の軽快感も期待してしまうのだ。しかし、丸1日試乗を行い、その印象は一変することになる。跨ってみての第一印象は、イメージ通りに足つきがよく、ハンドルの高さがほどよいため取り回し時にそれほど重さは感じないこと。ハンドルポジションは肩幅より少し低く、少しだけワイドといった感じで、狭い道が多い都心でもハンドル操作に気を遣うことはないだろう。エンジンを始動し、マフラーが奏で始める排気音はノーマルマフラーにしては元気なサウンドだ。以前、FXDFを試乗したときにも感じたが、FXDBのストレートカットや、FXDFのスラッシュカットの形状は歯切れのいい排気音を楽しむことができる。

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真試乗前には「少し薄いかな」と思っていたシートも、なかなかの座り心地だ。リアサスペンションが短く、シートが薄いためお尻が痛くなるかと思ったが、日帰りツーリングなどでは問題のないレベルと言える。ただ、1点注意して欲しいのが、ソロシート仕様のためバッグなどでリアフェンダーを傷つけないようにすること。ハーレー定番のサドルバッグを装備したらどうかと考えたが、リア回りがスッキリしたデザインにサドルバッグは合わないかもしれない。ソロシート仕様のまま楽しみたいオーナーは、ロングツーリング時の積載について工夫が必要だろう。肝心の走りについては、期待以上のものだった。ハンドル、シート、フットポジションのバランスがよく、コーナーに入る際の不安感はない。曲がる先を見て、体重をかけてやるだけで素直に車体は曲がっていく。ビッグツインの中ではスポーツ寄りとされるダイナファミリーの特徴は、FXDBにもしっかりと受け継がれている。

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ こんな方にオススメ

チョッパー好きな人だけでなく
体格に不安がある人にオススメ

車高の低さから同じダイナファミリーのFXDLと比較されることが多いようだが、そんなときは将来のカスタムスタイルで選んでみて欲しい。ロー&ロングのドラッグスタイルが好みであればFXDL、チョッパースタイルが好みであればFXDB。どちらもキャラクターがハッキリしているモデルなので、その個性を活かしてカスタムが進められるだろう。また、FXDBのブラックアウトされたエンジン仕様は2008年式までとそれ以降で違いがあるので、仕様による違いも注意して選んで欲しい。カスタムを前提に話を進めてきたが、ポジションの良さからFXDBをチョイスするのもいいだろう。体格に自信がない人でも、FXDBなら足つきを心配する必要は少ない。FXDLのように狭いハンドルではないので、重量のあるハーレーであっても慣れれば取り回しに不安もない。カスタム、ポジション、どちらから選んでもFXDBは長く付き合えるモデルになってくれるはずだ。

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 総合評価

見た目だけではなく
バランスの良さが◎

ハーレーのカスタムテイストを演出する上手さにはニューモデルが登場する度に驚かされてきたが、このFXDBのバランスの良さも素晴らしい。デザイン性の高いパーツやスタイルを実現するだけなら、ショップレベルで優秀なモノをいくらでも見つけることができる。メーカーが手がけるのならば、それに加えて「しっかりと走る」ことも前提条件になり、FXDBはそれをクリアしていた。最近のハーレーは各ファミリーで“ファクトリーカスタムモデル”を誕生させているが、どのモデルも初めてハーレーに乗るユーザーに不安を抱かせない造りになっており、このFXDBもベテランから初心者まで気軽に進めることのできるモデルだ。しっかり走り、カスタムも楽しめる。ハーレーの魅力が存分に詰まった車両と言えるだろう。

SPECIFICATIONS - HARLEY-DAVIDSON FXDB DYNA STREET BOB

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ 写真

価格(消費税込み) =
180万7,000円(モノトーン)

ダイナファミリーで唯一エイプハンドルを採用し、カスタム車両を思わせる各部の造り込みが評判のモデル。

■サイズ = 全長2,355×全幅940×全高1,285mm
■ホイールベース = 1,630mm
■最低地上高 = 142mm
■加重時シート高 = 655mm
■タンク容量 = 18.2L
■エンジン = TWIN CAM 96

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