

掲載日:2009年01月15日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
モトグッツィは、世界でも有数の歴史を持つ伝統あるメーカーだ。その古参メーカーをもっとも特徴づける要素は、1967年に登場した「V7」より受け継ぐ縦置き空冷Vツインとシャフトドライブだ。そのレイアウトは登場して以来、40年を超える現代でも脈々と受け継がれ、熟成を重ね続けることで、他のメーカーとは一味違うバイクになっている。そんなモトグッツィの現行ラインナップの中でも、最もクラシカルなテイストを持つのが、初代モデルの発売35周年を記念して発売された「カリフォルニアビンテージ」だ。その理由は、エンジンにある。現在発売されているモトグッツィのビッグツインは、2003年にミラノショーで発表されたブレヴァ1100に搭載されている新世代エンジン、エボルツィオーネエンジンをベースとして発展しているが、カリフォルニビンテージのみV7由来の旧タイプのエンジンを搭載しているのだ。「今のグッツィよりも濃厚でまろやか」と評される伝統のエンジンと、1970年代のクルーザーが復活したかのようなスタイルの組み合わせは、「古き良き時代のモーターサイクル」といった風情がある。今のモトグッツィの原点ともなるエンジンを受け継いだヴィンテージ・クルーザーの味わいはどのようなものか、早速インプレッションしてみよう。
カリフォルニアビンテージを語る上で、エンジンは外せない要素だ。おおよそ40年前にモトグッツィのカルカーノ技師が設計した空冷OHV2バルブエンジンは、V7に搭載されていたころは排気量が700ccだったが、現在は1100ccまで拡大されている。もちろん、ただ伝統が長いだけでなく、エボルツィオーネエンジンから最新の技術がフィードバックされており、インジェクションやツインプラグなどの採用で、55kW/7,000rpm、88N・m/5,000rpmという十分なパフォーマンスを実現。外観も歴史にふさわしい重厚な雰囲気で、このバイクがモトグッツィの伝統の継承者であることを如実に語ってくれる。
スタイルも、ビンテージにふさわしいクラシックな雰囲気だ。ブラックのボディにあしらわれたホワイトのストライプ、白黒のツートンシート、美しいクロームメッキ仕上げのフェンダーなどは、1972年に発売されたカリフォルニアシリーズの初代モデル、V850カリフォルニアをモチーフにしたもの。両サイドのパニアケースや大型のウインドシールド、クロームメッキのリアキャリア、大型のフットボードなども共通の装備で、当時の雰囲気を現代風にていねいにアレンジして再現している。モトグッツィは旧モデルを現代風にリバイバルする手腕において卓越した技術をもっており、クラシックなテイストでありながら当時のリプロ的なものに陥らず、ニューモデルとしてのオリジナリティを上手く組み込んでいる。縦置きエンジンとシャフトドライブという個性的な組み合わせ、そして長い歴史をリスペクトした美しいデザインがあいまって、カリフォルニアビンテージは唯一無二の存在感を獲得している。停まっているだけでこれほどの雰囲気を醸し出せるバイクは、世界を探してもそう数は無いだろう。
モトグッツィのアイデンティティとも言える、縦置きの空冷ビッグツインエンジン。中でもカリフォルニアビンテージに搭載されているものは最新技術を投入しながらも、現ラインナップ中においてオールド・グッツィのまろやかなテイストを最も色濃く継承している。
両サイドに専用設計のパニアケースを装着しており、片側で35リットルの容量を確保している。フタは跳ね上げ式で荷物の出し入れも容易だ。また、リアキャリアを備えているため、パニアと合わせてフルに活用すれば相当な量の積載が可能になっている。
カリフォルニアビンテージには、標準でクリアタイプのウインドシールドが装備されている。比較的背が高く幅の広いサイズだが、透明度が高いため視界は良好。高速道路での防風性も十分なもので、長時間走行時の疲労を大きく低減してくれる。
ツートンカラーのダブルシートは適度な硬さのクッションで座り心地は快適。プルバックされたハンドルポジションとあいまって、リラックスしたライディングが楽しめる。パッセンジャー側の座面も程よい広さとなっており、タンデムツーリングも快適にこなせる。
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