掲載日:2010年05月24日 特集記事
2010年5月24日発行 アウトライダー 6月号より記事提供
北海道に上陸した3日目。垂れ込めた雲が消え、日差しが強くなった。釧路から厚岸に抜け、道道142号北太平洋シーサイドラインという海岸線を東へ向かう。海と丘陵と道。シンプルだが雄大で長大で茫洋とした景色の中を走っていると、勝手に脳内ジュークボックスから曲が流れてくる。ジャクソン・ブラウン『ランニング・オン・エンプティ』、ドゥービーブラザーズ『ロング・トレイン・ランニング』、ブルース・スプリングスティーン『サンダー・ロード』『ボーン・トゥ・ラン』。おお、やっぱり曲名に「走る」とか「道」が入ってるやつが出てくるな。シャドウの鼓動がなんかドラムに聞こえてきたぞ。初日、二日目は雨だったので、やっと北海道ツーリングらしくなってきた。
ノリノリで走っていると昼過ぎに根室に到着。港に向かうと、そこはすでにお祭り騒ぎで、車、バイク、人がごった返し、誘導係りのおじさんがあたふたしている。この日、根室では年に1度の大イベント「根室カニ祭り」が行なわれていたのだ。
僕も駐車場にバイクを停め、人の波をかき分け、店舗の前に山積みになったカニを物色する。相場はハナサキガニが1杯1000円~2000円。タラバは3000円~5000円。1000円のハナサキを指して「2杯買うからオマケしてよ」
ダメもとでそう言ってみると、店のおばちゃんは少し考えてから「じゃあ、ホラ、これっ」
ともう1杯カゴにっ! やった1杯666円だ。そこらの縁石に座り込んでわき目もふらずにむしゃぶりつく。うむむ、このコク、歯ごたえ、のど越し。小原さんも写真を撮るのを忘れてバキバキと足を折っている。3杯を二人で食べ、すっかり満足したところで、お土産用に「2杯買うからオマケして」作戦を再び実行してみると、また成功。小原さんも試す……成功。どうやらこれは値切った人だけにもう1杯オマケしてくれるという暗黙の了解らしい。だからもし皆さんが今年のカニ祭りに行った際は、試しにこの作戦を実行されたし。もちろんたまたま僕らがカニを買った「カネアキ水産」のおばちゃんの機嫌が良かっただけかもしれないけど……。
満たされた気持ちで会場を後にして、一路最東端の納沙布岬へ。するとさっきまでの晴れがウソのように曇りだし、岬に着いたときには5メートル先も見えないような霧。「ボオオオッ」と霧笛が鳴る中、急激な気温の低下ですっかり冷えてしまった僕は、店の屋根に「さんま丼はここで生まれ、ここだけの味」とデカデカと書かれている鈴木食堂に入ることにした。もちろんさんま丼を注文する。ドカっと現れたどんぶりにはテンコ盛りでさんまが載っていた。生のさんまが秘伝のタレで漬け込まれているため、青魚の臭みなどはまったくなく、またそのタレがめっちゃご飯にあってて、とっても美味しいです! と、どこかのADのような発言をしてしまうぐらいウマイ。ご主人に聞けばこの食堂ではライダーハウスもやっているという。隣接のプレハブを見せてもらうと、簡素ながら清潔感があっていい部屋だった。次回、晴れた納沙布岬の景色を見に来たときは、ここに泊まってまたさんま丼を堪能しよう。また一つ、僕の「北海道幸せスポット」のリストが増えた。
根室かに祭り カニの量はハンパじゃない | 鈴木食堂 ご飯が見えないほど、さんまの切り身がのる | |||||||||
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その日、会場一帯はカニの嵐 ハナサキガニの産地として有名な根室市が主催する年に1度のお祭り。根室港に設けられた特設会場では、ゆでガニ、焼きガニ、てっぽう汁など大量のカニの即売が行なわれ、しかも通常よりもかなり安くカニが楽しめる。現場から地方への発送も可能なのでお土産として送るのもいいだろう。 ゆでハナサキガニ:1000円~/ | 最東端の食堂でサンマ丼を 日本最東端の「納沙布岬」の目と鼻の先に建つ日本最東端の食堂がここ。名物はサンマ丼とハナサキガニの汁のセット。新鮮な生のサンマを甘辛いタレで漬けたものがテンコ盛でどんぶりに乗る。カニ汁もカニ味噌が濃厚で激ウマ! しかもライダーハウスも併設しているので、利用価値は非常に高い。 サンマ丼とハナサキガニの汁のセット:1400円/ |
こんな景色ならダートでも、まったくかまわない
![]() がっつきぶりに、隣の女の子が引いてる? | ![]() 霧多布岬は相変わらず美しい | ![]() 納沙布は深い霧。霧笛が寂しげに鳴る |
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