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取材協力/ガレージT&F 取材・撮影・文/高城一磨 構成/ストリートライド編集部

掲載日/2011年8月31日

イクはパーツの集合体。自ら製作しその細部を熟知しているからこそ、スタイルや価格を含めた様々なリクエストに応じることができる。愛知県大府市のガレージT&Fは、国産アメリカンというジャンルに限るが、その膨大なパーツノウハウを生かしたカスタムがウリのショップだ。スティードやドラッグスターのカスタムに興味のある人なら、どこかで聞いたことのある名ではないだろうか。約10年もの間、国産アメリカン専門に様々なパーツを生み出し、リーズナブルな価格でカスタムシーンを支えてきたメーカー兼ショップである。1年ほど前からコンプリートカスタムを含めた車両プロデュースも手がけているが、パーツについて熟知しているだけに、ユーザーの立場に立ったプランを即応で提供できるところが強い。とくに価格については、かなりリーズナブルな提案ができるようだ。

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「ようやく、ですね。車両プロデュースは長年の夢でしたが、実績もなにもない状態で始めても難しいと思い、好きで始めたパーツの製作・販売をまずはとことんやり、納得してから挑戦しようと考えていました。約10年国産アメリカンのパーツ専門店として活動してきましたが、おかげさまでオリジナルを含め、パーツ取り扱い点数が2000点以上になりました。国産アメリカンに関して言えば、エンジン本体、フレーム、タイヤ、ホイール以外は、なんらかのオリジナルパーツがありますよ」というのは、オーナーの船橋氏。国産アメリカンというジャンルにこだわっているのも、ひとつをやりきらないうちに他に手を出しても、中途半端になるのがいやだから、とか。完璧主義、と言ってもいいこだわり方だ。

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「最初は自分の愛車であるスティードのパーツから始めたのですが、作り始めるとすべてのパーツを作りたくなる。そうこうしているうちに、いまなんてドラッグスターのタンクは5種類も在庫するようになった。作り始めると、売れる売れ

ないは二の次になってしまって……、困ったもんです(笑)」

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2~3年前から、国産アメリカンのパーツの新作ネタも出尽くしたと感じていたらしく、2010年の春から車両製作販売にも踏み切ることに。満を持して、である。

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「車両作りに踏み込んでから1年経ちましたが、おもしろいですね! パーツの世界だけでは考えられなかった手間暇がかかりますが、逆にお客さんの漠然としたリクエストに対して、具体的にパーツを見せたり、なければ作ってしまったりと、臨機応変に対応するたのしみがある。カスタムって、自分でコツコツ変更して少しずつ変化を楽しむ方法と、最初からすべてカスタム済みの状態で乗りたいという、大別すれば二通りに分かれると思いますが、トータルで安く済ませたいなら、コンプリートカスタムを購入するほうがオススメです。バラで同じことをやろうとすると、どうしても高くなるから」

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コンプリートモデルと言っても、その内容はオーダーメイドに近いものだ。というのも、パーツチョイスを自在に変更でき、オーナーの思う形に近づけることができるからだ。フレーム変更や大幅なモディファイはコストがかさむが、そこまでせずとも足周り、外装パーツの構成を変えるだけで、かなりの変化を生み出せる。下記写真に代表的なカスタム例を3台ほど並べてみたので見比べてほしいが、シートレール等の切削はあっても、メインフレームの変更はどれも行っていない。基本的にボルトオンパーツを駆使することで、あのような変化を生み出している。その価格がまたリーズナブル。コンプリートモデルを製作する場合はベース車両の仕入れから始まるが、車両代込みで60~90万円で済んでしまう。ノーマルでいいから格安中古車を、と思っている人には高く感じるかもしれないが、カスタムの経験がある人なら価格の魅力も伝わるのではないだろうか。

上/T&Fが製作した、タイプの異なる3台のカスタム。シャドウやスティード、ドラッグスター等がここまで大きく様変わりする。

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右/ノーマルを生かす、社外パーツを使う、その割合は? そんな悩みも親身になって相談にのってくれる。

T&Fの1Fメインフロアは、カスタム待ちの車両や販売車両がズラリと並ぶ。他にメンテナンススペース、事務所も1Fにあり、ロフトになっている2Fは、豊富なパーツを一括管理するウエアハウスになっている。

ーダーメイドのコンプリートモデルを用意する一方で、ガレージT&Fが積極的に進めているところに、手頃な価格でたのしむカスタムもある。変化をたのしむのがカスタムの王道なら、そのおもしろさはウインカーひとつ、ハンドル1本を交換するだけでも堪能できるからだ。

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「ハンドルやレバーなど、パーツ交換作業もお手頃価格でやっていますので、気軽に利用してほしいです。パーツに関しては経験があるので、とくに組み合わせ時の機能的なマッチングやスタイルの変化については、ついでにアドバイスできることも多いと思いますよ。パーツ単体なら装着後の変化は誰でも想像できるでしょうが、それが複数になった場合は組み合わせての装着が可能かどうかを含めて、判断が難しいのではないでしょうか。また先々どのような方向で愛車に手を加えていきたいのか、方向性について現状で漠然としているなら、お気に入りのパーツを装着することでその先どんなスタイルが選べるのか、そのパーツに合う他のおすすめパーツは……等々、お話できることはたくさんあると思います」

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よくあるパターンが、好きなパーツをひとつずつ交換していくうちに、全体がなんだかまとまりのないスタイルになってしまうという例。これは意識が枝葉(パーツ)に集中して、全体(スタイル)への気配りが薄い際に起こりやすい典型例だが、それもプロのアドバイスをもらいながらであれば、修正しやすい。なにより、価格に対するアドバイスを親身に受けてくれるのはありがたい。

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「ウェブやカタログで金額の足し算はできても工賃や諸費用がどれだけ掛かるか

はわからないでしょうし、自分が使える金額に対しどこまでどう遊べるのか、そんなアドバイスもできると思います」

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T&Fがカスタムの価格を抑えられる理由、それは人気パーツを自社生産し、使える部分はノーマルパーツを駆使、または必要に応じて程度のいい中古パーツを駆使するなど、パーツノウハウを駆使しているからに他ならない。自社パーツは、価格を抑えていても耐久性を考慮した作りを持たせているので、ご安心を。

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「おかげさまで、フラットフェンダーはかなりの人気です。国内生産のため歪みや曲がりがほとんどなく、サイズをR違いで2種類用意しています。どちらかを利用することで大概のリアタイヤに対してきれいなアーチを描くリア周りを作ることができます。フェンダーのデザイン自体は同じですから、1種類のほうがコスト的には助かるのですが(笑)。また新作のクラシックタイプフェンダーは振動によるクラック等を防ぐために、裏にカーボンを当てて補強を入れています。外からは見えない部分なのですが、この辺りは作る上でのこだわりですね」

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取り扱うのは国産のアメリカンモデルだけ。でもこのジャンルにこだわり、パーツに関して10年という時間をかけて理解を深めてきた経験を生かし、コンプリートから手軽なライトカスタムまで生み出すガレージT&F。このショップの強みは、視点を臨機に変え、様々なポイントからバイクの魅力を引き出す術を知っていることだ。今後は車両販売に関しても、格安中古車を仕入れ遊べる土台づくりをさらに拡げていくというので、車両を探している人もぜひ注目されたい。

ガレージT&F代表の船橋氏。元々は4輪のパーツ卸業だったが、趣味が高じオリジナルパーツ販売を開始。いつのまにかそちらが本業となり、カスタムショップに発展。今後中古車両販売にも力を入れるという。

カスタムは基本的にボルトオンパーツを多く使うが、加工が必要な場合も安心。時間があれば、その場で作業してくれる。切削や溶接加工はもちろん、キャブのオーバーホールなど通常のメンテナンスもOK。


オリジナルから定番汎用パーツまで豊富に取り揃える、
パーツスペシャリストのストックヤード

T&Fの強みであるパーツワークだが、2Fストックヤードには外装から足周り、灯火類、ボルト・ナットに至るまで在庫しており、注文と同時に装着作業に取り掛かるためタイムロスなく作業が進む。表に出ない部分だが、これもパーツ点数のある強みのひとつと言える。格安中古パーツもあるので、スペアパーツが必要な場合も頼ってみると掘り出し物にめぐり合えるかも。



ガレージT&F

愛知県大府市にあるガレージT&Fは、ショップというよりもファクトリー的な店構えを持つ。代表の船橋氏と若手従業員2名という少人数で切り盛りしている。国産アメリカンなら排気量問わず扱っており、250や400だけではなく750や1100もOK。カスタムだけではなく、修理や車検ももちろん対応してくれる。

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住所/愛知県大府市追分町2-289
電話/0562-46-3669
営業時間/10:00~19:00(月、火、木、金)
10:00~18:00(土、日)
定休日/水曜、祝日