掲載日:2019年12月06日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1980年代前半、日本はアメリカンバイクがブームで各メーカーから各排気量がラインアップされていた。カワサキはシリーズの車名に“LTD”の文字が付いていて、国内向けに250cc、400cc、750ccなどがあった。
カワサキ以外の3メーカーは小さな50㏄に関してもミニバイク的なものから大柄サイズまで個性豊かなアメリカンがあった。そんな中、50㏄に一線を引いていたカワサキがついに、1982年4サイクルのアメリカンバイクを登場させた。それがAV50だ!
アメリカンの象徴であるティアドロップとプルバックハンドルはもちろん、タイヤも前後でサイズを変えられ、背もたれ風にシート後部が跳ね上がっているなど、50ccとは思えないほど造り込まれていた。そして何より、男くさい無骨なイメージのカワサキなのに……スタイルがかわいい(笑)。これは色んな意味、衝撃的なバイクだった。
カワサキ唯一の4サイクル50ccという価値があり、さらにスタイルもオシャレで悪くない、それなのに当時はあまり人気が出なかったらしい。
確かに、あの頃の若者がバイクを選ぶ基準はスピードなので、まず最初に飛びつくのはスポーツバイク。さらにギアチェンジの必要もなく手軽でオシャレなスクーターも台頭していたので、AV50を選ぶ若者は少なかったのだろう。
でもそんなAV50が僕は好きだ。パワーもそこそこあるようなので、いま乗っても楽しいと思うのだが、このスタイルでここまで作るならヘッドライトは絶対に丸型でしょ! と思うのは、僕だけじゃないよね(笑)?