

掲載日:2010年08月26日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
X-HOT150EFIに引き続き、今回もPGOのスポーツスクーター「G-MAX220」をご紹介しよう。前回ご報告した通り、X-HOT150EFIはレスポンスに優れるエンジンとシャープなハンドリングが特徴のホットモデル。一方、G-MAX220といえば同社のラインナップのなかでは最大排気量を誇るモデルであり、もう少し落ち着いた路線を担う存在、いわば旗艦モデルとすることができる。X-HOT150EFIの楽しくもシャープな走りは圧巻だったものの、メーカーの実力が端的に表現されているのはやはりフラッグシップだ。それゆえG-MAX220の走りや使い勝手をじっくりと検証すれば、PGOというメーカーの実力も浮き彫りになるに違いない。果して、スポーティな製品を得意とするアジアンメーカーが構築したフラッグシップモデルはいかなる乗り心地なのか…。
やや肉厚で座り心地の良いシート、視認性を重視したアナログ指針のタコメーターと大型液晶表示によるスピードメーター、極々標準的な左右グリップ回り。G-MAX220の着座位置から眺める景色は前回試乗したX-HOT150EFIとは対象的で実にスクーターらしいものだ。しかし、前後サスペンションの沈み込みは決して多くはなく、走り出す前からある種の予感があった。アクセルを開け発進すると、自動遠心クラッチの繋がりがややダルな方向に調整されており、ライダーの疲労を軽減するよう考慮されていることが分かる。しかし、市街地を抜け試乗コースの最初のコーナーに進入した瞬間、G-MAX220は早くもその本性を見せ始めた。ザザッという音とともに路肩まで長く延びた草が肩口とヘルメットを擦る。予想よりもはるかに早くイン側についてしまったためアクセルを開けてラインを修正。それぐらいG-MAX220の旋回性が高いのだ。
ソフトに発進する低回転域を超えれば、エンジンは非常にパワフルでレスポンスにも優れる。アクセルでグリッと曲がることもたやすく、飛ばさなければ極普通のビッグスクーターとして街中を快適に走れることだろう。しかし「もっと開けろ」とG-MAX220は誘ってくる。エンジンはPGOが誇る4バルブではなく、2バルブの排気量を220ccまで拡大したものだ。それゆえ実際にはスタート時からトルクフルなのだが、自動遠心クラッチの味付けもあって基本的に中速域以上を欲しがるパワーユニットとなっている。その領域まで達するとトルク感はより強まり、中間加速も実に爽快。高回転域では胸のすく吹け上がりも待っている。この出来の良いエンジンと、ハードなセッティングのフロントフォークやロードホールディングに優れるリアサスペンション、そして制動力重視のリアブレーキ、コントロール性重視のフロントブレーキを駆使すれば、スクーターらしからぬコーナーリングも堪能できるというわけだ。最初はあまりにシャープなハンドリングに戸惑ってしまうかもしれないが、走り慣れればその強烈な旋回性能をコントロール余地として温存しておくことができる。常に飛ばすのではなく、必要なときにそのポテンシャルを発揮するというのはとてもフラッグシップらしい走りだと言えるだろう。複雑なリアサスペンション機構に追いやられた燃料タンクがステップボード中央に居座っているため、脚の自由度が極めて少ないのがラグジュアリー感に欠ける点だが、この評価はオーナーの用途によっても変わってくるはずだ。普段は排気量220ccの余裕あるクルージングを楽しみ、ワインディングでは鋭いコーナーリングを密かに堪能する。そんな使い方が想像できる1台である。
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