掲載日:2015年12月17日 日本の絶景100選 › 北海道エリア
文・写真/藤原かんいち
撮影場所/北海道河東郡上士幌町
撮影時期/2010年10月
絶景と呼ばれる風景は人の数だけあるのだと思う。その光景を見た人が「これは絶景だ!」と感じたら、それは誰が何と言おうと間違いなく絶景なのだ。僕は北海道でこれまでと一味違う絶景に出会った。それは帯広から国道273号で三国峠へ向かう途中で見つけた、林の中で静かに眠る古いコンクリートアーチ橋だった。調べるとそれは「旧国鉄士幌線アーチ橋梁群」と呼ばれるもので、87年に廃止になった鉄道の跡であることがわかった。その後、帯広の友人と二人で改めてその地を訪れた。国道を離れ雑草の生い茂る斜面を降りて行くと、林の中に時代流れから取り残されたような空間が広がっていた。崩れ落ちたコンクリート、変色した柱に過ぎた年月を感じる。二度と列車が通ることにないアーチ橋の上に、僕は空想の銀河鉄道を走らせた。