秘境ツーリング

掲載日:2007年08月28日 ツーリング情報局四国エリア    

涼を求めて走る
四国秘境ツーリング

残暑お見舞い申し上げます!四国エリア担当のmiyoです。立秋も過ぎ、だいぶ過ごしやすくなってきましたが、ここ四国ではまだまだ日中は暑い日が続いています。こんなときこそ、涼を求めて走りましょう! 今回の目的地は徳島県三好市祖谷(いや)地方。「日本三大秘境の1つ」とされているそうで、秘境と名がつくほどですからきっと涼しいはず! 名づけて「祖谷よ祖谷よも好きのうちツーリング」です。

イメージ今回のスタート地点は香川県さぬき市にあります「道の駅ながお」。ここは前回ご紹介した四国八十八箇所巡りの最後の札所「大窪寺」の近くにあり、連日多くのお遍路さんで賑わっています。ここから県道3号線、国道377号線、国道193号線を経由し、まずは徳島県の吉野川を目指しましょう。国道193号線を走っていると「土柱」の看板をあちらこちらで目にしました。せっかくなので行ってみましょう。この「阿波の土柱」は世界三大土柱の一つであり、国の天然記念物にも指定されています。いまから100万年前の氷河時代に堆積した扇状地がその後隆起し、雨水の浸食作用を受けて形成された雄大な自然の芸術品です。入場料も無料ですので、近くを通る際には立ち寄ってみてはいかがでしょう。

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「阿波の土柱」からは県道139号線を南下し、そのまま県道12号線に入っていきます。この県道12号線ですが、吉野川沿いを走る道路で、交通量も少なく気持ちよく走れます。その途中に「うだつの町並み」があり、せっかくなのでこちらも寄ってみましょう。「うだつの町並み」とは、江戸時代中期に阿波藍の集散地として栄えた地域で、今でも白壁に本瓦葺きの昔ながらの家屋が建ち並んでいます。その家屋の隣家との境にある小屋根付の防火壁を「うだつ」と言い、設置にかなりの費用がかかったため、うだつが造れないことを「うだつがあがらない」と言い、出世できないことを表すようになったとか…。「うだつの上がる男になるぞ!」と思いながらツーリングの再開です。

奥深く続く山道を抜け
平家落人の里へ向かいます

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県道12号線から国道32号線に移ります。国道32号線を走っていると祖谷口駅が見え、そこから県道32号線へ。対向車にほとんど出会うこともなく、連続するワインディングを楽しみながら走りますが、進めど進めど山道が続きます。ここは慌てずのんびりと山道を走りましょう。祖谷街道をしばらく走っていると、街道で一番の難所と言われる七曲と呼ばれる場所があります。そこの断崖絶壁の上に小便小僧の銅像が立っているのですが、これには昔、旅人達が岩の上に立ち、度胸ためしをした由来があるそうです。早速私も度胸試しに…と言うのは冗談です(苦笑)。ここは谷底まで200mもあり、柵を乗り越えるのは禁止されていますのでご注意を。しかし、今のようにクネクネながらも立派な(?)道路ができたのは近代の話でしょう。それまでは歩くしか行く方法がなかったのですから、この祖谷は相当人里離れていたはず。断崖絶壁に立つこと以上に、ここに来ること自体が度胸試しなのでは?と感じずにはいられません。

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また、祖谷と言えば「平家落人伝説」。源平合戦で敗れた平家の落人が、ここへ逃げ延びて暮らしていたという伝説がこの地には伝わっています。この地の観光地である「かずら橋」は、追っ手が迫ってきた際にいつでも切り離せるよう、刀で切り落とせるツタで編まれているそうです。このかずら橋、もちろん渡ることも可能ですが、高所恐怖症の方にはお薦めできません。このあたりで少々小腹が空いてきたので、この地方の名物である川魚を頂くことにしましょう。「かずら橋」近くのいろいろなお店の軒先で、炭焼きのアユなどが並んでいました。頭から尻尾まで全部食べられるパリパリの川魚をぜひ堪能してみてください。お店の軒先で川魚を頂いていると、お店の人から東祖谷(今いるところは西祖谷)にも「かずら橋」があるとの情報を得ることができました。これは行ってみないといけません。

風味が活きた名、祖谷ソバを食し
奥祖谷かずら橋で涼を満喫

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県道32号線を抜け、このレポートでは何度も登場しているヨサク道(国道439号線)で向かいます。このヨサク道、1車線になったり2車線になったり、普通なら酷道への変貌でドキッとするものですが、この国道439号線に限っては狭道の方が何だかヨサクらしく感じられ、ちょっとほっとする面もあります。ヨサク道をしばらく走っていると「そば道場」の看板を発見。そういえば、まだ川魚しか食べていません。祖谷ソバも祖谷を代表する特産物だけに食べておかなければなりませんね。他の地域のモノとは少し違い、祖谷ソバは麺が太くザラっとした食感をしています。これまで食べたどのソバとも違う、素材の風味が活きた祖谷ソバに舌鼓を打ちました。ちなみに、そば道場は予約すればソバ打ちも体験できるとのこと。お時間のある方は、ソバ打ちにチャンレンジしてみてはいかがでしょうか? では、お腹もいっぱいになりましたので先を急ぎましょう。

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再びヨサク道を楽しみながら(格闘しながら?)奥へ奥へと進んで行くと、なんとか日が高いうちに2つ目のかずら橋に到着することが出来ました。こちらのかずら橋は「奥祖谷二重かずら橋」と呼ばれ、かずら橋が2本並んで架かっていることから、通称「男橋女橋」とも「夫婦橋」などとも呼ばれています。こちらの「かずら橋」は西祖谷に比べあまり有名ではないため、観光客も少なく、ゆっくりと渡ることができるでしょう。空気もひんやりと気持ちよく、今回の目的である『涼』を存分に味わうことができました。このままここでのんびりと過ごしたい気持ちでいっぱいですが、秘境だけあって日が暮れるまでに帰路に着かないと遭難しそうです。名残惜しいですが、出発しましょう(苦笑)。帰りはヨサク道から国道438号線に乗り換えます。この国道438号線もヨサクに負けず劣らずの酷道。特に日本百名山にも選ばれている標高1955mの剣山越えはなかなか走り応えがあるはず。その剣山もなんとか乗り越え、今回のツーリングの最終地点である「道の駅ことなみ」に到着しました。

今回のツーリングは秘境だけあって、かなり山道と格闘しましたが、まだまだ日本にもこういう場所が残されているのだと、安心感と懐かしさでいっぱいになりました。秋には紅葉で山が色づき、夏とは違った楽しみ方もできると思いますので、これからの季節にもお薦めできるツーリングスポットだと思います。でも、きっと冬は走れないでしょうね(苦笑)。

スポット紹介

祖谷のかずら橋(西祖谷山村公式HP)

URL/西祖谷山村公式HP

そば道場

住所/徳島県三好市東祖谷落合651

電話/0883-88-2577

営業/11:00~17:00

定休/木曜

miyo
プロフィール
miyo

香川県在住、40歳。昨年から12年ぶりにハーレーXL1200Rでバイクに復帰したリターンライダー。香川が生まれ故郷なものの、社会人になりしばらく故郷を離れていたため、四国をバイクで走るのは昨年からが初めて。新鮮な気持ちで四国を走っている模様。

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