掲載日:2011年11月09日 ツーリング情報局 › 九州エリア
投稿者/フジ丸さん | 取材日/2011年 夏
世間を賑わせたホラー映画
その原点とも言える地に足を……
作家の五木寛之さん曰く「旅というのはそもそも、日常定住して暮らしている人たちが異次元の世界へ、ただならぬ出会いをしに出かけることだ」(『旅のヒント』から抜粋)。
そうなのかぁ、異次元の世界へねえ。というわけで今回は、異次元ではないけれど、本を片手にホラーの世界へ旅立つことにした。行き先は熊本県の中部、宇土半島の先端に位置し、八代海に面している宇城市不知火(しらぬひ)町。町名からしてミステリアスだが、読者諸君は『リング』という映画を覚えておいでだろうか。ビデオテープを媒介に呪いの連鎖がおこり、貞子がブラウン管から……きゃあぁぁ!
あの山村貞子の母親、志津子のモデルと言われる人物が、不知火町に実在した。本名は御船千鶴子。明治19年に不知火町松合に生まれ、幼い頃から透視能力が話題になり、10代の終わりには、千里眼の実験で当時のマスコミを賑わせた。その後、いろいろな経緯を経て、26歳のときに服毒自殺でこの世を去った。
かつての不知火町は、漁業で栄えた。その町の中心部から急峻な坂を登ったところにある不知火松合小学校は、御船千鶴子も通っていたという。
「現在の児童数は100人にも満たんが、昔は800人おった、今は過疎化の波に揉まれとるばってん、千鶴子さんが小学校に通っていた頃はそりゃあ賑やかなもんじゃったと聞いておる」
と資料館の方から話を聞く。その後、何かもぞもぞとおっしゃるので聞き取りにくかったが要約すれば |
| 江戸時代から現存する当時のなまこ壁に沿う潮見坂。この坂から海を監視し出漁を決めたそうです。
千鶴子さんのお墓の傍からは不知火の町を一望できる。 |
「千鶴子さん家は駐車場になっててなにもないが、お墓はあるぞ」
えーー! いやあ、それはちょっと。
私は人一倍怖がりなもんで、かたくかたく固辞したんだけれど、ご丁寧に地図まで書いてくれたもんだから、泣く泣く行く破目に。お墓に行くまで心臓がバタバタしてたんだけど、遠めにお墓が見えた途端にうろたえたのか、案の定エンストしたからパニクって、いやパニクったのが先か、訳がわからず「すいません、仕事ですから」とうわずった声でお墓に向かって頭を何回も垂れて、写真を撮ってきた。お墓までのルートは、途中に分岐が何箇所かあるので、行きたい人は資料館で聞いてください。
話がホラーな方向で終止してしまったけれど、不知火町は、酒と醤油の醸造でも栄えた港町。土蔵白壁群の町並みも美しく、心を癒してくれることでしょう。きっと、多分。
スポット紹介
松合郷土資料館
所在地/熊本県宇城市不知火町松合136-1
電話番号/0964-42-3560
定休日/月曜、年末年始
営業案内/9:00~17:00
入場料/無料
道の駅 不知火
所在地/熊本県宇城市不知火町永尾1910-1
電話番号/0964-42-3730
定休日/第2・4月曜日(祝祭日の場合は翌日)、12月31日~1月1日
営業案内/10:00~19:00 (レストラン11:00~19:00、温泉10:00~21:00)
URL/
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-michi/michi_no_eki/kobetu/shiranui/shiranui.html
熊本県熊本市在住。BMW R1150Rオーナー。詳細な地元自慢レポートを表現豊かに届けてくれる。奥さんと娘さん、家族3人バイク2台のツーリングもしばしば。