掲載日:2009年07月03日 ツーリング情報局 › 九州エリア
このレポートは BMW BIKES Vol.44 (2008年9月13日発売)掲載の『BBC Report』を再編集したものです。
山鹿灯篭と
八千代座の町
先日、とあるツーリングの帰り道、豊前街道を走っていると、ザザァーッと通り雨。たまらず思わず一軒の店の軒先をお借りして雨宿りをした。ひょいと見上げると“山鹿灯篭の店”とある。「こんちは~」と威勢よく木戸口をあけて店内に入ったが、その、雰囲気が異様なのである。そういえばこの町に入った途端に、空はにわかに暗くなりオドロオドロと雷鳴がとどろきドカ雨が降るし、目の前の光景は日本古来の神社仏閣の模型が所狭しとひしめき合い、これって“千と千尋の…”世界だよ。「何か御用で」と奥からクモじいが、いやいや御亭主があらわれて(どこかで見た顔だなぁ)「あ~、山鹿灯篭師五人衆の方ですよネ、テレビで見たことあります。そういえばもうすぐ千人灯篭踊りですね」。と話し始めると、千人踊りは8月16日と少し先の話のよう。
「その前に灯篭踊りのイベントとかってないんですか、写真だけでも撮りたいですが」、「いやーないねー。練習風景でいいならそこでやっているけどね。でも、夜の9時からだしね」。あと5時間待ちはつらいなぁと思っていると御亭主が、「あんた、米倉さんは好きかね。今日は八千代座で米倉斉加年さんの海流座公演があってね、ちょうど券が2枚あるからあげるよ。時間まで見ておいで」。おほーラッキー。と八千代座に勇んでいってまたビックリ。一階は桝席で430席、二階の桟敷と合わせても700席ほどの小さな小屋で、冷暖房もなしで暑いのなんの。一番前のかぶりつきの席だから、役者さんの滝のように流れる汗は顔にぺちゃぺちゃ飛んできて、周りを見ればおじさんは大粒の涙で顔がくしゃくしゃ、おばさんは汗をタオルで拭いながらついでに鼻水をじゅるじゅるすすり上げる。その小屋の熱気たるや異常に膨れあがって、つられて感動の渦に巻き込まれてしまった。
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| 一歩路地へ入るとすてきなお店が 山鹿灯篭師なかしまさんの作業場は町に溶け込んでました。 |
聞けば、この八千代座はかなり古くからの芝居小屋らしくて毎年坂東玉三郎さんも公演されるとか。役者さんを最短1メートルの間近で感じられる小屋なんてそうはないですよ。千と千尋の世界に一度はおいでなんしょ。
スポット紹介
山鹿灯篭の店「なかしま」
住所/熊本県山鹿市山鹿1588
電話/0968-43-2659
営業時間/9時~19時
定休日/水曜日
熊本県熊本市在住。BMW R1150Rオーナー。詳細な地元自慢レポートを表現豊かに届けてくれる。奥さんと娘さん、家族3人バイク2台のツーリングもしばしば。
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