さわやか高原ツーリング

掲載日:2008年08月27日 ツーリング情報局関東エリア    

真夏の暑さを避ける
涼しい高原ルートを紹介します

洞爺湖でのG8サミットで地球温暖化が採り上げられたせいか、今年の夏はよけい暑く感じられます。特にスクリーンやフェアリングなどを持つ防風効果の高いバイクほど、夏は暑い! 足元にはエンジンという名の大きな焚き火を抱え、外気の熱と一緒になると一瞬のうちに熱中症になりそう。たまらん! ついこの前まで「こんなスクリーンじゃ風を避けきれない!」と文句を言っていた私なのに、「体に風の当たる夏用バイクに買い換えたい。」と真剣に思ってしまいます。そんな季節ですから、さわやかな高原に行こう。そう思い立って、鬼怒川・川治・那須塩原・白河を一気に突き抜ける高原ツーリングに出発です。

イメージ週末の朝7時、「東北道蓮田SA」は車とバイクでいっぱい。狭い、とにかく狭い。面積がSAとしては異様に狭いのですが、集合場所にはとても便利な立地条件。これだけ混雑すると事故も起こりやすいので、早々に出発しましょう。東北道宇都宮ジャンクションから、車の少ない日光宇都宮道路に入ってギュ~ンと加速し「気持ちエエナア…」などと言っていますと、あっという間に大沢IC。蓮田からここまで100km足らず。一気走りです。「ピートダイゴルフクラブ」前を通って国道119号線に入りますと、杉並木が見えてきます。並木と言うより森。道が森に吸い込まれると、暗くなってほとんど空は見えません。幹も太いのですが、とにかく樹高がすごい。巨木に囲まれている、抱かれているという感覚です。杉の巨木に深々と抱かれて走っていると、なんと、ナビの衛星からの信号も届きません。

イメージバイクの妙味は、この鬱蒼とした森の空気を直接体で感じ、吸い込めることです。マイナスイオンを走りながら浴び、森林浴を楽しみます。この際、前車の排気ガスが混じっているなんてことは忘れておきましょう。杉並木のある今市(イマイチ)周辺は、実は有数の工業地域。ユニークな技術のある企業や元気な中小企業がたくさん立地している地域なんです。“イマイチ”どころかとても立派な産業地域でもあるのです。そうそう、忘れてはいけません。「イマイチ」は「日光市」と名称が変更になりました。七本桜という優雅な名称の交差点を右折し、会津田島に抜ける「会津西街道」(国道121号線)をぐんぐん北上してまいります。途中、テーマパーク「ウェスタン村」を通過しましたが何と閉鎖されていました! 閉鎖された施設は哀れなものです。「夏草やカウボーイどもが夢のあと」、と唱えながらその前で鬼怒川右岸に渡ります。左岸を行くと有料の「鬼怒川道路」や「龍王峡ライン」。でも、右岸でも道は快適、鬼怒川も楽しめるので、有料道路はパスいたしましょう。ガソリン代が高い昨今、節約は美徳です。そのまま進めば、渓谷美を誇る鬼怒川沿いに発達した鬼怒川温泉旅館街に到着。昔、社員旅行で来たことあるかも、って感じでなんとなく懐かしいほのぼのした温泉街ですが、クローズになっているホテルも散見されます。イマドキ、社員旅行も激減していますのでやむを得ないのでしょうが、少々もの悲しいですね。有料道路「日塩もみじライン」もパス。その代わり、川治温泉手前で左手にある県道23号線に入り、栗山村役場、土呂部、平家狩人村、湯西川温泉とループ状に回って五十里(いかり)湖畔に出るコースを取ります。トンネルが多く、入るとヒンヤリ。暗いトンネルはあまり好きではありませんが、外の33℃に比べ、トンネル内は27℃。キモチイイ! 勝手なものでトンネル大好きになってしまいます。たくさんある橋から下をのぞき見ると、絶景。そして、渓流釣りを楽しむ人々が。まさに、「さわやか高原ツーリング」の醍醐味です。

イメージそれから、私のツーリングレポートには漏れなくおまけでついくる。お約束のダム!この山中の道にはダムばっかり、まさに「ダム萌え」の私にぴったりの道なんです。でも、この山道は要注意。極めて小さなカーブが連続する場所が多く、幅員も狭い。平家の落人の里があるほどの相当な山奥なんです。一部の路面は荒れ、木の枝・葉、苔、そして小石や砂まで溜まっています。パワーのあるビッグバイクで不用意にアクセルを開ければ、ズリズリッとあっという間のスリップダウン! くわばらクワバラ(恐怖!)。川治温泉手前から五十里湖まで直行すればわずか8km。10 分足らずの行程。でも、トンネルとダムと浮き砂のある山道を堪能しますと、50kmの超山間ワインディングロードでした(汗)。キンチョー!

地元の名産を我慢して
知る人ぞ知る焼きそばを食す

イメージ五十里湖近くのみちの駅湯西川で一服して湖畔の快走路を北上。山のワインディングの後ですから、スピードも出ますし、気持ちイイ~快走路。そのまま飛ばしていくと福島県の会津田島に行ってしまうので、上三依(かみみより)で右折し、国道400号線で塩原温泉方面へ向かいます。「湯の香ライン」なんて洒落た名前ですが、古くは「会津東街道」と呼ばれていました。ループ状のワインディングで思わぬ時間を食いましたので、もうお昼。お腹ぺこぺこですが、我慢しつつ、「ビミョーなんだけどおいしいよ」と友人に教えてもらった釜彦食堂のスープ入り焼きそばを探します。十割蕎麦だのイワナだの美味しそうな看板やノボリがたくさん出ている場所なので、我慢も一苦労。塩原温泉郷を貫く道をきょろきょろしながらゆっくり進みますが、お目当ての食堂はなかなか見あたらず、もう温泉街も通り過ぎたかなと思う頃、いかにもバイク乗りといった姿で道を横切る姿を発見。これを目印にやっと釜彦食堂を見つけました。「ウチの駐車場はいっぱいなので、この先の足湯のところに駐めてください。」と言われ、無料足湯を横目にバイクを止めて早速食堂へ。なるほど見た目は焼きそばじゃない! 味も焼きそばじゃない! ビミョーな姿と味。スープはアヂアヂ! 汗ダラダラ! でも、なぜかまた食べたくなるという友人の言葉は本当でした。満腹になったら足湯も興味なし。あげくにもうちょっと走ったらバーベキューが楽しめる千本松牧場があるはず…なんてことまで考えてしまいました。ああ、私って食欲だけの人間なのかも…。

イメージスープを飲み干し、満腹ライディング数分で、長さ320m、幅1.5mの歩行者用吊橋「もみじ谷大吊橋」に到着。橋はあっても、対岸には何も無い? なぜこの橋があるのかは不明! 摩訶不思議な構造物です。それで入場料300円! う~ん、高い。観光用でこれだけ投資したのがすごいと感心してしまいました。それにしても暑い! グエェ、外気温計は36℃。メッシュとはいえプロテクター入りの長袖のジャケットとパンツはまさに拷問。ハイテクの国ニッポン、どなたかバイク用クーラーを作っていただけないだろうか? とにかく走らないと風が当たらないので、ひたすら那須高原方面へ。左手には、那須塩原の山々が優しい姿を見せています。涼しげな山並みではありますが、やっぱり暑い。ゴルフ場、牧場、別荘地などを抜け、どんどん標高をかせぎ、那須温泉郷に入ると卵の腐ったような臭いがしてきます。温泉の匂い。でも、それは硫化水素ですから本当はちょっと怖いのです。そんな匂いのする場所は駐停車禁止! その匂いを嗅ぎながら「那須ボルケーノハイウェイ」へ。有料260円也。途中にロープウェイの駅がありますが、無視してとにかく登る! 「上に行けば涼しいんじゃないか?」それだけ考えて一番上の峠の茶屋までの小さいカーブの連続をどんどん登ります。ところが、四輪車はだいたいチョースローペース。暑さに加え、ストレスが溜まります。さあて、やっと到着です。ロープウェイの山頂近くの駅が手に取るように見えますし、那須の茶臼岳など山々の頂を望むことができます。そしてなんといっても気温が低い。とても爽やかな空気がひんやりとして火照った体とバイクを冷やしてくれます。こんなに涼しいなら、もうこの山を降りたくない。ずっとここにいたい。下界の暑さを思い出すと、だだをこねたくなってしまいます。

高原ツーリングの最終目的地
秘湯、甲子温泉「大黒屋」

イメージ涼しさを満喫したら、くねくね小さいカーブを降りて、次の「那須甲子(なすかし)道路」に入ります。料金は930円。「距離の割に高いですねえ」と料金所で言うと、「そうそう、ちょっと評判悪いんだよねえ。でも、9月1日から無料になるからまた来てね。」ととても愛想の良いおじさんでした。愛想がいいから、「マッ、いいか!」ってことで。この道は、山道ですが、カーブがゆるく、スピードも出てコーナリングの醍醐味を味わうことができるとても素晴らしい道です。それに全くと言っていいほど車がいません。その理由は? 料金が高いから! 納得です。高い通行料を払ったけれど、この快適さは価値があります。無料になったら交通量が増えるんだろうなあ、とちょっと残念。

高速カーブをエンジョイしたら、あっという間に白河に抜ける国道289号線に到着。左折すると本日最後の目的地、秘湯中の秘湯、甲子温泉(かしおんせん)「大黒屋」なのです。国道289号線が消える場所にあるこの大黒屋、冬季は閉鎖休業するので注意してください。630円の入湯料で大きなお風呂に入り放題。ものすごく気持ちの良いサイコーのお風呂です。温まってリラックス。お風呂の真ん中には子宝石という岩が沈んでいます。でも、ご注意を!行きはよいよい帰りは怖い。宿の入り口からお風呂まで長い階段を降りていくのです。ほとんど谷川に近いところに古い古い湯屋があります。問題は、お風呂に入って体がぐにゃぐにゃになってから、この長い階段を上らなければならないこと。ツライ! 階段の途中に休憩所があるほど。お年寄りの宿泊客は、一度入浴したら懲りて二度は入らないと思われます。ところで、国道289号線の最新情報。長い間大黒屋で道は尽きていて、この国道をさらに行くなら「登山国道」と揶揄されていましたが、9月21日に開通が決定しました。大きなトンネルがあるようです。白河から会津方面に抜けるとびっきり楽しいルートができますよ!紅葉の時期が楽しみです。福島サイコー!

スポット紹介

食堂 釜彦

住所/栃木県那須塩原市塩原265-10

電話/0287-32-2560

営業/11:00~17:00

定休/不定休

千本松牧場

住所/栃木県那須塩原市千本松799

電話/0120-36-1025

営業/8:00~20:00

定休/不定休

URL/http://www.senbonmatsu.com/

大黒屋

住所/福島県西白河郡西郷村大字真船字寺平1

電話/0248-36-2301

営業/11月中旬~4月中旬まで降雪のため休業

URL/http://www3.ocn.ne.jp/~kashi/

WRT
プロフィール
WRT

32年のブランクを経てバイクの世界に戻ってきたリターンライダー。ツーリングで走るエリアは非常に広範囲で、関東を飛び出し甲信越や東北の一部まで達することも。愛車はロングツーリングに最適なモデルBMW R1200RT。

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