『ツーリングのつぼ』

ツーリングの携行薬(2)

掲載日:2013年11月19日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

慎重なA型のライダーは、薬を持つだけでは安心できないかもしれない。そういうライダーには、予防接種という手もある。世界1周にはA型肝炎、破傷風、狂犬病、黄熱病の予防接種を打って行った。それぞれの予防接種は、有効な期間や打つ回数が異なるので、記録しておかないと無駄になることもある。そのうち黄熱病だけ生ワクチンなので、遠くの検疫所まで行った記憶がある。

「原因不明、発生地アフリカ、致死率100%、治療法なし」

その待合所にはこのような怪しげな病気がA4の紙に書かれていて、それが壁一面を埋め尽くしていた。有名なエボラ出血熱は、それらの中のひとつだったのだ。

こどもの頃に“母子手帳”といった冊子を持っていたと思う。それには、いつ、どんな予防接種をしたのか、どんな病気をして、どんな処置をしたのかなどが記録されている。そして、いつの頃からか使われなくなる。しかしヨーロッパやアメリカでは、日本でいう母子手帳と同じような冊子を成人になっても使っている。日本で黄熱病のワクチンを接種すると証明書が発行されるが、それは1枚の紙っぺらである。黄熱病の接種が義務づけられている国があるので、そういう国に行く時に必須となる書類だ。諸外国では、子供の頃から使っている冊子に接種が記録されるが、日本だけ紙1枚なので、国境の役人に「これはニセモノである」と難癖をつけられたことがある。

もしこれからアフリカに行こうと考える奇特なライダーは、可能ならば冊子を手に入れて、そこにすべての予防接種を記入して、ついでにエイズやマラリアの予防接種も書き加えてもらえば、かの地に行っても苦労しないだろう。もちろんそんな予防接種は存在しないが、ワイロの防止には有効だ。また、薬の容器を重いガラスからプラスチックに替えて持っていたら、バイクの振動で錠剤が粉々になってしまったことがある。それと、私のような成人男子にありがちだが、たとえ英語でも説明書をよく読んで、服用量を確認するようにして欲しい。

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