『ツーリングのつぼ』

スポーツの秋(2)

掲載日:2013年11月05日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

トライアルのいいトコロは、もちろんプロではないサンデーレーサーに限るが、「動きが遅い」ことにある。そのため他の競技に比べて圧倒的にケガが少なく、マシンを壊しにくいので維持費が安く済むのだ。成績はマシンの性能ではなく、ライダーの腕前が大半(個人的な印象では、ほぼ100%)を占める点も気に入っている。

「トライアルをやっている」と言うと、ほとんどの人から「ウイリーして」とか「そこの岩を登ってみて」とか言われるが、私にそんなことはできない。みんなYouTubeの見過ぎではないだろうか。アレは上手な人が投稿しているのだ。しかしこんな私でも、山形のサンシャイントライアル(いわゆる草レース)に何度か参戦したことがある。ちなみに順位は、大会最後の年で98人中48位という成績だった。

ところで、トライアルがツーリングにどう役立つかと聞かれて考えてみた。まず競技の特性上、ハンドルをフルロックしてマシンを倒しながら斜面でターンしまくるので、Uターンに自信が持てると思う。ドゥカティ1199パニガーレのオーナーにもおススメしたい。また、タイヤが地面から離れても動揺しないとか、転ぶのがアタリマエなので転倒しても驚かないと思う。

今まで仕事やプライベートで、他人や自分の転倒を経験したことがある。転倒に慣れない人は、必ずと言っていいくらい「大丈夫」と言ってすぐに立ち上がろうとする。しかし、たいてい2、3歩動くとフラフラして座り込んでしまう。その時に割れたミラーの破片でケガをしたり、マフラーで火傷をしたりもする。もし公道で転倒したら、後続車に踏まれないことだけ確認して、気持ちが落ち着くまで横になっていればよろしい。私の場合、ゴロゴロ転がって歩道に入ったら気絶して、目が覚めたら病院のベッドの上にいたことがある。つまりトライアルは、ケガをしにくい遅いスピードで、自分の技術の限界を知ることができるので、ツーリングに余裕を持てる、というメリットがあると思う。

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