『ツーリングのつぼ』

高速道路の走り方(2)

掲載日:2013年10月22日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

ところで、世界のほとんどの国で高速道路は無料で、たとえ有料だとしても、日本とは比べものにならないほど安かった。いったい日本は、どこの国を参考にしたのだろうか?

アメリカのハイウェイは、そのほとんどが無料。大陸を東から西へ横断したけれど、有料だった部分はニューヨークを出入りする橋とトンネルくらいだった。その料金でも100円くらいだ(私が訪れた90年代後半)。そして制限速度は州によっても違うけれど、たいてい時速65~80マイル(105~130キロ)くらい。しかし、90年代は時速55マイル(90キロ)と、意外に遅かった。現地の人は、それに不満を持ちながらも、制限速度ピッタリで走っていることが多かった。カントの『純粋理性批判』を引くまでもなく、自分の自由を得るには他人の自由を侵してはいけないのだろう。さすが自由の国だと感心したものだ。

ドイツと言えば、無料のうえに制限速度も無いアウトバーンが有名だ。混みやすい都市近郊では速度が制限されているが、『制限解除』の看板が出た先は、本当に何キロ出しても構わない。そこで借り物のヤマハFJR1300に乗って時速200キロ巡航(瞬間ではなく巡航!)していたら、左のミラーに後続車のヘッドライトがキラリと光った。次の瞬間、メルセデスだかポルシェに「バシュッ!」という風切り音と共に圧倒的な速度差で抜かれたことがある。もう一度言うが、こちらは時速200キロで走行中である。とは言えアウトバーンでは、道路もクルマも速度を出すためにつくられているので、危険はまったく感じられない。スズキ隼などスーパースポーツ車のオーナーは、死ぬまでに一度走ってみて欲しい場所だ。ちなみに、合理的な速度として130キロが推奨されていて、実際にはそのくらいの速度で走っている人が多い。

イタリアのアウトストラーダは有料で、日本と同じように、入り口で券をもらい、出口で清算をするシステムだった。なぜか制限速度を守らない人が多いことも日本と似ている。少し異なるのは、高速のパーキングから簡単に一般道に出れてしまうこと。誰も出ないという紳士協定なのだろうが、ごめんなさい。

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