『ツーリングのつぼ』

立ちゴケ

掲載日:2013年06月18日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

雨の日にレインウェアの裾がステップに引っかかったり、滑りやすい場所に足を着いてしまったり、もしくは私のように足が短かったりすると立ちゴケしてしまう。可倒式のステップなら衝撃は逃げやすいが、レバーやペダルは曲がったり折れたりしやすく、それだけでバイクの操作に違和感や困難が訪れてしまう。

それらの材質にはスチール(鉄)やアルミ製がある。スチールなら立ちゴケ程度では、曲がることはあっても折れることはないだろう。工具や適当な棒などを使い、テコの原理で戻せば良い。出先では欲張らずに、最低限使えるくらいまで戻ったら、そこで終えるのがコツだ。

問題は、レバーに良く使われているアルミだ。アルミには、製法により鍛造と鋳造の2種類がある。高価な鍛造だと粘るので、スチールと同じように曲げて元に戻すことができる。しかし一般的なバイクは鋳造なので、戻そうとすると折れてしまう。適度な熱を加えながら少しずつプレスすれば戻せるが、それは家に帰ってから落ち着いて修理しよう。

もし折れた場合、溶接して直せないこともないが、たいてい新品レバーの価格より高くついてしまう。そのためツーリングには、スペアを持って出かけよう。交換作業は、慣れた人なら5分くらいでできると思う。

雨の日や夜間などで、交換作業が面倒な時もある。そのため私は、レバーが折れても根元からではなく、少しだけ握る部分が残って交換しなくてすむように折れ目を付けてある。具体的に言うと「そこから折れてくれれば、ぎりぎり運転できるかなぁ」というくらいの位置に、ノコギリで小さく切れ目を入れてあるのだ。

慎重なA型で裕福ではない私は、それでも安心はしない。レバーよりも高価な、レバーホルダーを守ることも考えている。立ちゴケしたらクルリと回ってくれることを祈って、固定ボルトを締め過ぎないようにしているのだ。走行中には動かない締め加減が難しい。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索