『ツーリングのつぼ』

浄水器(1)

掲載日:2013年05月14日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

今頃から梅雨までの間は、晴れの確率が高く、暑すぎず寒すぎず、ブヨなどの虫もジメジメした湿度も少ない。つまり絶好のツーリングシーズンなので、ツアラーは鍋を磨いて出かけて欲しい。もし予定が間に合わず梅雨に追いつかれたら、梅雨のない北海道に行くという手もある。

北海道ツーリングに行こうとすると、気になるのはエキノコックス。これは、寄生虫を原因とする、北海道特有の病気である。その予防には、かの地で動物(特にキツネや犬)に触ったりせず、流れている沢の水でも生水はそのまま飲まず、煮沸するのが肝心とのこと。

そこで、葉巻くらいの太さの浄水ストローを持って行ったことがある。これは筒の中にフィルターが組まれていて、先端を水につけて自分の肺活量で吸う製品だ。とあるキャンプの夜、コッフェルに満たした水道水で試してみたら、学生時代に水泳部と吹奏楽部に入っていた私でも息切れすることが観察された。特に病気で弱っている時には無理だろう。

次に試したのは、よく登山用品店に並んでいる液体タイプの浄水剤だ。目薬の要領で水に数滴加えてから、少し待てば飲める。飲んでみると「本当に殺菌効果があるのだろうか?」と心配になるくらい、味も匂いも変化はなかった。基本的に雨水など、そこそこ大丈夫な水を想定しているのだと思う。

同じ様に、登山用品店にあった、アメリカ製の浄水タブレット(錠剤)も使ってみた。そのタブレットを溶かしてみると、味も匂いも “効いている” 感が強い。どんな細菌でも消毒されているような安心感はあるが、その薬臭さで飲む気がしなくなるという重大な欠点があった。ジュースでも混ぜて味をごまかすような工夫が必要だと思う。

このように意味のない試行錯誤を経て、アメリカをツーリングしている時に、手のひらに乗るサイズの、 MSR 製のポンプ式浄水器を購入した。これで万が一でも安心なのか、はたまた余計な荷物が増えただけなのか…。

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