『ツーリングのつぼ』

テントマット(3)

掲載日:2012年10月30日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

ウレタンやポリエチレンなどの、いわゆる銀マットの類しかなかった70年代に、アメリカで『サーマレスト』は誕生した。厚さ 20 ミリほどのウレタンフォームの、周囲どころか内部にまで空気を取り込み、軽量でコンパクトなテントマットを開発した。もうひとつの特長は、セルフインフレート。簡単に言うと、エアバルブを開ければ、何もせず空気が入る構造になっている。ゴムボートのように空気入れは必要ないし、そもそも販売されていない。

そのため、使い方は簡単。テントの中に広げてエアバルブを開けるだけ。空気が入るまでしばらく時間がかかるので、その間にバイクの整備をしたりコーヒーを飲んだりしていれば、勝手にふくらんでくれる。そして最後に、少しだけ息をふき足せば完成だ。空気を入れ過ぎると硬くて寝心地が悪いので、ちょうどバイクのタイヤの空気圧のように、実際にマットの上に寝転んでから、エアバルブを開けて空気を抜いて、好みの硬さにするのがコツだ。

このエアバルブが壊れてしまうと、ただの薄いウレタンマットになってしまう恐れがあるが心配は要らない。キャンプでほぼ毎日使っても、実際に3年ほど壊れずに使えた。3年で買い替えた理由はエアバルブではなく、本体のパンクだ。主にサボテンなど、尖った植物のトゲなどが原因で、どうしても年に4~5カ所の穴があいてしまう。パンク修理のキットが付属しているので修理できるが、パンクの数が増えると空気は漏れてしまう。

サーマレストの表面は、滑り止めのため少しザラザラしている。そのため、特に地面が斜めになっている場所で、銀マットのように朝起きるとマットからズリ落ちていたということはなかった。直接寝ても肌触りは良いが、汗をかく夏は、好みのシーツを1枚敷けばさらに快適になる。コンクリートの床でも、サーマレストを敷けば快眠ができた。コンパクトになって空いたスペースには、いつもより多くのビールを詰めて旅に出て欲しい。

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